男の子たちの変態的な日常

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195 変態宗教〜後編〜

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 リョウは素肌の上に直接ブラックレザーのジャケットを羽織り、アーミーパンツにブーツというワイルドな出で立ちだった。
 剥き出しの胸板は厚くて逞しい。めくりあげた袖口から突きでた二の腕もしなやかで太く、鍛え抜かれた肉体が輝くように美しかった。
 野生味溢れる瞳が見る者をハッとさせるほど鋭く深い。
 リョウは歓喜に堪えきれなくなったように牙を剥いて笑いながらエスエム教徒たちを撥ね飛ばしていく。
 巨大バイクの後輪で踏みつけられたエスエム教徒が、弱々しい声をあげながら脱出しようとして身を動かしかけた。

「おいおい、まだ生きてやがったのか! ダメだろ、ちゃんと死ななきゃwww」

 ギョババババババッ!!!
 巨大なホイールが高速で回転し、血しぶきを巻き込みながらエスエム教徒の背中の肉を削り取る。血と肉片がこびりついたタイヤの回転がとまった時、エスエム教徒はピクリとも動かなくなっていた。
 それを見ていた他のエスエム教徒たちは、圧し黙ったままただカクカクと膝を震わせている。

「ひ……怯むな! レーザー、ロケット、一斉攻撃だ~ッ!」

 大慌てでリーダー格の男が喚き散らす。完全に機先を制されていたが、いまだ数の上ではエスエム教徒に分がある。

「ウオオ~ッ!」

 エスエム教徒たちは恐怖心を制するように叫び、巨大バイクに跨がるリョウの前へと集中した。
 ドッ!
 対戦車用のロケットランチャーが火を吹き、レーザーライフルから発せられた光条が空間を埋めつくす。
 全ての火力がリョウに向けて集中した。
 ドン!という爆発音が響き、爆風が渦を巻く。

「リョウッ⁉︎」

 僕はアオイを抱きしめながら、爆風の中心部に向かって叫んでいた。

「やったか⁉︎ ふはははッ、エスエム教の教えに従わぬ者はこうなるのだぁ~!!!」

 リーダー格の男はくぐもった笑い声をあげ、バンザイのつもりか、グロチンポを天に掲げた。
 しかし、リーダー格の男の喜びは長くは続かなかった。
 熱風渦巻く爆煙の中から、「ふふふ……」という低い笑い声が聞こえてきたのだ。
 硝煙の幕が刃によって両断されるがごとく、斜めに割れて拡散する。
 白煙を切り裂いたのは、リョウの剛腕であった。

「なかなか面白いオモチャを持ってるようだが、その程度じゃ、俺は殺せねえぜッ! 核弾頭100発ぐらいは持って来ねえとなwww」
「ひぃ~、コイツは人間じゃねえ……変態だッ!」
「誰が変態だ、ゴラ~ッ!」

 リョウがキレると、その背後で巨大バイクが鋭角的なカウルに身を包み、SFチックなスタイルへと変化する。リョウのバイクには高性能AIが搭載されていて、脳波による指令で操ることが可能なのだ。
 さらに巨大バイクの各部が変形、移動し、見る間に、強力な四肢を持つ対人用戦闘マシンへと変貌する。背面に折りたたんだタイヤが翼のようにも見える。
 変形した巨大バイクが硬質の足音をたて、大味だがなかなか素早い動きでエスエム教徒に迫り、アームの部分をブンと叩きつける。

「ひぃぃぃぃぃぃ~⁉︎」

 アームの部分には強力なスタンガンが組み込まれている。電極を押し当てられたエスエム教徒たちは電撃にやられ、次々に昏倒していった。
 リョウは銃撃をものともせず、群がるエスエム教徒たちをショルダータックルで吹き飛ばす。

「テメエが大将かッ! 死ねぇ~!!!」

 リョウの声にリーダー格の男が振り向いた時、眼前には硬くごついシューズの踵が迫っていた。

「ひでぶッ!」

 リョウが前方へ宙返りをして、その勢いのまま重い踵をリーダー格の男の顔面に打ち込んだのだ。回転運動は勢いを増し、結果、リーダー格の男の顔面が潰れるほどの衝撃が加わった。
 リーダー格の男の顔は完全に陥没していた。そのまま後方へ数メートルも吹っ飛び、そして倒れたままピクリとも動かなくなった。
 念のためリョウは爪先で蹴って男の息の根がとまっていることを確認すると、僕の方に来て優しく抱きしめてくれた。
 僕は自分の心臓がドクンと、とんでもなく大きな音をたてるのを聞いた。
 心臓が破裂しそうなくらいにドキドキしている僕の耳たぶに、軽くリョウの唇が触れる。

「らめぇ……はあッ……!」

 思わず声をあげた僕は、耳朶を嚙まれたまま、リョウの腕の中で華奢な身体を震わせた。
 ピンクに染まった耳たぶを、チロチロとリョウの舌先がつつく。唇で優しく嚙み、髪をかきあげてくる。反対側の耳たぶには、指先で触れるか触れないかといった感じの繊細な愛撫を加えてきた。

「ふぁ……らめぇ……」

 リョウの指が耳の輪郭にそって動くたび、首筋に軽くキスされるたびに、僕は切ない声をあげて身体をよじる。
 ふと僕の耳もとに、リョウが「ふぅ~」と息を吹きかける。

「やんッ!」

 ビクンと肩をすくませる僕の首筋から胸もとにかけて、リョウの唇が撫でるように降りていく。

「アキラみたいに可愛過ぎるのも問題だなぁ。アキラを性奴隷にしたいと思うヤツなんて世界中にわんさかいるだろうから、常に俺が傍で守ってやんねえと♡」

 そう言うと、リョウは切なげに身をよじる僕の唇にそっと自分の唇を重ねるのだった。
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