【完結】AnazonでVRを買い、トリセツで飼い猫と神になりました。

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第2章 スローライフよ、今いずこ(9000字)

第26話 召喚できない10万円

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 戦いは終わったのだ——
 霧が晴れるにつれ、わたしは自身の勝利が、少し色褪せながらも胸に焼き付いていくのがわかった。
 戦いは終わったのだ。
 いまは、そう呟くことしかできない。
 興奮しているのに、どこか冷たいのは、なんだか絵空事のように思えてしまう。馬鹿馬鹿しく思えてしまうのだ。

「所詮ゲームだ」

 切り捨てることはできない。
 わたしは決断しなければならない。

 今すぐに——

「ロチ、報酬を今からもらうからね」
 
 わたしはロチに呼びかけた。なんのためかは不確かだった。

「ワン」ロチが答えた。

『配達、10万円!』

 わたしが叫ぶが、森はシーンと静かなままだ。
 もしかしてこれ、配達できない感じ?
 
「ロチ、現実もこの姿?」
「ワン」

 わたしは急いで収益額を確認する。「敵キャラ:YAMADA討伐 25万円ゲット」

「……ロチ、ボーナスが入ったからちょっと分けるね。苦しいから5万円にまけて」
「ワン!(万単位ならOK!)」

 いったんログアウトしてわたしはロチのいる路地裏へと向かった。


「ロチ、5万円だよー」

 わたしが呼ぶと、ちょっとがめつい犬はすぐに尻尾を振って飛び出してきた。おくではYAMADAが恨めしそうにこっちを見ている。
 
 わたしは、『敵キャラ』には気づかないふりをして1万円札を5枚見せびらかす。ロチが食いついてきたので、五万円の代わりにドッグフードを渡す。

「ウー……」

「あと、5万円ね」

「ワンワンワン……」

「ふっ、チョロい……」

「ワン?」

「いやなんも言ってないなんも言ってない」
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