夏、旅行先に選ぶならば

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Day1 夏、車を走らせるならば

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 福田明典ふくだあきのりは、カレンダーにスラッシュを入れてためいきをついた。夏も半分を過ぎて、だるさが増していく。だるさの底に落ちたときに夏休みは終わるのだから、全く厄介なものだ。

 それを知ってから福田は、必死に夏休みという怠慢に食らいついてきた。眠りに落ちたくなかったから。ウキウキドキドキという言葉の意味を知りたかったから——。

 でも、福田は、高校三年になっても、二年前と変わらず、夏をもてあましていた。

「ハァ……」福田はぼやく。「ウキウキとできることはないかなあ」

 高校二年生の秋に一人暮らしを始めた。福田は秋が好きだった。夏休みよ早く終われと思った。でも、九月から始まる学校生活を想像すると、ため息をついてしまった。

 アパートのなかは缶ビールやレジ袋で散らばっている。不意に涙がこぼれそうになった。

(何で泣くんだ!)グッと堪えても、涙は落ちている。涙がこぼれてしまった。あの涙は、夏の底に落ちていった。覆水不変ふくすいふへん——。不意に、中学で習った四字熟語を反芻はんすうした。

「やるか」といって、福田は整理を始めた。
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