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ミツケ
しおりを挟むあらあら、まあまあ。
事の顛末を見守り、わたしの出た感想はこんなもんだ。あらまあ、激しい結末になっちゃったなあ。
青年と少年に調査結果を告げた。
成り行きと言えば成り行きだったのだが頃合いとしては、こんなもんだったのだろう。
わたしだって、調査している身だ。
青年の尾行少年の尾行も行っていた。
依頼者側の油断からか、大抵依頼者側の尾行はとても簡単にボロが出る。
青年は、依頼日のあの様子は演技であると直ぐにわかった。警察にも何度もお世話になっていたようだ。もしかしたら薬物も手を出しているのかもしれない。それらしき売買行動があったが、今回の調査にはさほど関係ないため深くは調べなかった。まあこれが、女の子を恐れるきっかけになったのかもしれない。自分が殺して死んでいるはずの女が生きていることを考えるのは確かに、怖いだろうな。
少年は真面目に尾行やら掃除やらしてくれた。庭に実母がいると信じ込んでいるにも関わらず掘り返さない。育ての母を憎みきれてもいない。育ての
にさえ愛されたいと願うような。
とても繊細な子だと思った。
もちろん巻き込まない予定だったが、巻き込まれてきてくれたのはラッキーだった。あの家に近付くことができた。
そして、わたしはわたしなりに実母の存在に気づいていた。と、いうのも簡単な話であの父親と、祖母を尾行したときに分かっていた。
行き交う若い女性たちの中でも、短時間で出てくる。そして繰り返してくる。
なにかの様子を聞きに来ている。
その女性を尾行してみると、母親の通う産婦人科の清掃員をしていた。
さりげなく声をかけた。
妻が出産をひかえているから、病院のつくりを把握しようと思っているのだけど、給湯室などはあるのかな?というような内容で声をかけ、親切にもその場まで誘導し教えてくれた彼女に、子供はいるのかときいたのだ。離れて暮らしているんです。と答えた彼女に「それは心配だね。なにかあればすぐに連絡を取った方がいいよ。世の中物騒だからね」
とだけ言ったのだ。
すると、彼女はあの祖母の家への来訪頻度をあげた。少年の尾行は調度母親へ移った頃だった。
頻回にしつこく息子の様子を聞きに来るようになった祖母は苛立ち玄関で大きな声を出した。必死な母親も大きな声となった。
「あの子が出ていってもう3ヶ月は経っていませんか?大丈夫なんでしょうか?ほんとに、なんの連絡もきていませんか??」
「勝手に出て行ったんだから知らないよ!うちの子じゃないしなにをしてようがもう知らないよ!こっちとしては、勝手にいなくなってくれて喜んでるんだ!いないもんはいない!二度と来ないでくれ!」
このやり取りでピンとこない人はいないだろう。
こうして、わたしの仕事はあと証拠だけだったんだが、それぞれが暴走した行動を取ってくれたおかげで、面倒で厄介な証拠集めをしなくても済んだ訳だ。
少年と母親が思い切って一緒に出ていっていたなら、ほんとに実母はあの少年と会えなかっただろう。あの玄関先での祖母の台詞そのまま受け入れるだけだったに違いない。
少年がわたしのもとへ来たこと。
そして、青年がわたしをあの家に近づかせたこと。
全てが巡り巡って、弱者がいい結果を手に入れた。
あの青年は死んではいない。だが全ての悪事も晒された。
実母の方は正当防衛かなにかになるだろうか。あの少年と暮らしたいと願うだろうか?はたまた最悪、あの青年に結局数年後逆恨みで殺されるだろうか?
あの母と少年はどうするのだろうか。
妊娠には驚いた。
だが関係の無い事だ。
わたしの仕事は終わった。
次の依頼者の元へ行かねば。
まずは住処を提供してもらおうか。
長居はできない。
END
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