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第二章 遺恨編
遺恨Ⅴ 入り口端会議
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隠れ里エリフィーズの入り口。ラルカンバラとガステイルが待機している。ラルカンバラは周囲の動植物などの環境に興味を隠せずにいる。
「ふむ、やはりここまでの奥地となると見たこともない植物ばかりだな。平地や森の入り口付近とはどういう条件の違いがあるのだ?地質か?水質か?それとも気温……?」
ガステイルはラルカンバラを無視し、何かを報告するように定期的にブツブツ言っている。
「ガステイルとやら、この辺り一帯の植物で持ち帰っていいものってどれだ?」
ガステイルは慌てて
「いやいやいやダメですよ!この辺りの気象条件と天然の魔力密度でしか育たない希少種ばかりなんです。それに、とんでもない毒があったりするんですから!悪用されては困ります!」
ラルカンバラは毒があるという話に、ますます顔を輝かせる。足元の赤い花を指さしながら
「ほう、やはりそうなのか!例えばこれなんかだと、どういった効果があるんだ?」
とガステイルに尋ねる。ガステイルはしぶしぶ
「……幻覚作用、意識障害を引き起こす毒があります。特に根に多く含まれており、水に入れて長時間煮ることで毒を抜いて使います。煮汁は間違っても飲んだりしてはいけません。」
と答える。
「なるほどなるほど。このキノコなんかもヤバそうだな。」
「それは少量であれば運動能力と集中力を高める効果がある薬になります。」
「その言い方だと、食べ過ぎるとマズいみたいな言い方だな。」
「はい。運動能力の神経のはたらきを半ば無理やり向上させるものなので、薬といっても劇薬です。摂りすぎると副作用で攻撃性が増加し、怒りやすくなりますね……。基本的には軸の部分を1センチほど切って、すり潰して液体に溶かして飲みます。傘は効果が強すぎるので捨てます。」
「うげ……人格が変わるレベルかよ、とんでもねえな。だったらこれは?」
ラルカンバラは足元の青い花を指さす。
「花びらと葉っぱに強い多幸感を与える効果があります。酒に酔っ払うような感覚に近いと思います。」
「おいおい!全部毒じゃねえかよ!」
ラルカンバラは大慌てで後ずさる。
「そうですよ?持って帰るなんて正気の沙汰じゃないです。」
このやり取りで懲りたのかラルカンバラは少し大人しくなり、ガステイルは再び定期的に何かをつぶやくようになった。しばらくはお互い会話もなく待っていたが、ラルカンバラはすぐに痺れを切らした。
「しっかし、ガステイルの魔法はすごかったな!あんなに大量にいたスケアクローを全部一撃で仕留めるんだからよ。」
「……別に、あれくらいは誰にだってできますよ。」
「いやでもエルフっていうと属性魔法のイメージだったけどよ、ガステイルみたいな小さい子があんな変わった魔法使うなんて驚いたぜ。」
ラルカンバラの言葉に、ガステイルは機嫌を損ねる。
「ん……?どうした?」
「一応言っとくけど、俺、300歳超えてるからね。」
「……は?」
ラルカンバラは何が何だか分からないとばかりに、ガステイルを二度見する。
「あんた、ずっと失礼な態度してるけど、歳上だからね。」
ラルカンバラは腰を抜かし、そのまま後ずさる。
「えええええ!!エルフって言ったって、こんなちっこいのが300歳!?!?」
「ちっこいちっこい五月蝿いな!好きでちっこいんじゃないんだよ!!だいたい、あんたをここに置いて俺だけ戻ったっていいんだからな!」
「ああいや、悪かった!それだけは勘弁してくれぇ!その……あれだ!これで手打ちにしてくれ!!」
ラルカンバラは懐から小さな球を取り出した。ガステイルの目の色が変わる。
「これは……?」
「クッキーのような生地で作った菓子だ。とりあえず食ってみろ。」
ガステイルは勧められるがままにそれを齧る。
「んっ……これは、中が空洞になっていて……甘いクリームが入っている!?」
ガステイルは夢中になって食べ進める。
「美味しい……!ラルカンバラ、これはなんという菓子なんだ?」
ガステイルはそれまでの不機嫌が嘘のように、ラルカンバラに尋ねる。
「それは、シュークリームってんだ。俺のお手製だから、いつでもいくらでも食わせてやるぜ。」
「ほんとか!!!」
ガステイルは目をキラキラとさせながらラルカンバラに言った。
(やっぱり、子供じゃねえか)
「ふはっ」
ラルカンバラは微笑ましさに思わず笑いがこぼれる。ガステイルはそれを聞き、我に返る。
「……まあ、今までの態度は許してやらんこともないかな。」
「だーっはっはっは!!」
ラルカンバラは耐えきれずに大笑いしてしまう。
「なっ、笑うなぁ!」
ガステイルは耳の先まで真っ赤になりながらラルカンバラを小突く。
「いやー、かわいい一面もあるじゃないのよ!しっかし、本当にすげえ魔法だったぜ。すげえ研鑽を積んだんだな。」
ガステイルの顔が少しだけ曇る。
「……まあ、俺には力が必要だから。」
ラルカンバラも空気を感じとり、真剣な眼差しでガステイルを見つめる。
「何かあるみたいだな。生半可な覚悟じゃない何かが……」
突如、二人に緊張が走る。
「「誰だ!!」」
二人が振り返り、臨戦態勢を整える。そこには
「うわぁ!俺たちは戦う意思なんてありませんよ!アルエット様、どうにかしてくださいよ!」
「あれ、なんで里の入り口なのに人間とエルフが立ち往生してるのよ。」
「迷子……なんでしょうか?人間の方はよく分かりませんが。」
アルエット一行が、エリフィーズに到着していた。
「ふむ、やはりここまでの奥地となると見たこともない植物ばかりだな。平地や森の入り口付近とはどういう条件の違いがあるのだ?地質か?水質か?それとも気温……?」
ガステイルはラルカンバラを無視し、何かを報告するように定期的にブツブツ言っている。
「ガステイルとやら、この辺り一帯の植物で持ち帰っていいものってどれだ?」
ガステイルは慌てて
「いやいやいやダメですよ!この辺りの気象条件と天然の魔力密度でしか育たない希少種ばかりなんです。それに、とんでもない毒があったりするんですから!悪用されては困ります!」
ラルカンバラは毒があるという話に、ますます顔を輝かせる。足元の赤い花を指さしながら
「ほう、やはりそうなのか!例えばこれなんかだと、どういった効果があるんだ?」
とガステイルに尋ねる。ガステイルはしぶしぶ
「……幻覚作用、意識障害を引き起こす毒があります。特に根に多く含まれており、水に入れて長時間煮ることで毒を抜いて使います。煮汁は間違っても飲んだりしてはいけません。」
と答える。
「なるほどなるほど。このキノコなんかもヤバそうだな。」
「それは少量であれば運動能力と集中力を高める効果がある薬になります。」
「その言い方だと、食べ過ぎるとマズいみたいな言い方だな。」
「はい。運動能力の神経のはたらきを半ば無理やり向上させるものなので、薬といっても劇薬です。摂りすぎると副作用で攻撃性が増加し、怒りやすくなりますね……。基本的には軸の部分を1センチほど切って、すり潰して液体に溶かして飲みます。傘は効果が強すぎるので捨てます。」
「うげ……人格が変わるレベルかよ、とんでもねえな。だったらこれは?」
ラルカンバラは足元の青い花を指さす。
「花びらと葉っぱに強い多幸感を与える効果があります。酒に酔っ払うような感覚に近いと思います。」
「おいおい!全部毒じゃねえかよ!」
ラルカンバラは大慌てで後ずさる。
「そうですよ?持って帰るなんて正気の沙汰じゃないです。」
このやり取りで懲りたのかラルカンバラは少し大人しくなり、ガステイルは再び定期的に何かをつぶやくようになった。しばらくはお互い会話もなく待っていたが、ラルカンバラはすぐに痺れを切らした。
「しっかし、ガステイルの魔法はすごかったな!あんなに大量にいたスケアクローを全部一撃で仕留めるんだからよ。」
「……別に、あれくらいは誰にだってできますよ。」
「いやでもエルフっていうと属性魔法のイメージだったけどよ、ガステイルみたいな小さい子があんな変わった魔法使うなんて驚いたぜ。」
ラルカンバラの言葉に、ガステイルは機嫌を損ねる。
「ん……?どうした?」
「一応言っとくけど、俺、300歳超えてるからね。」
「……は?」
ラルカンバラは何が何だか分からないとばかりに、ガステイルを二度見する。
「あんた、ずっと失礼な態度してるけど、歳上だからね。」
ラルカンバラは腰を抜かし、そのまま後ずさる。
「えええええ!!エルフって言ったって、こんなちっこいのが300歳!?!?」
「ちっこいちっこい五月蝿いな!好きでちっこいんじゃないんだよ!!だいたい、あんたをここに置いて俺だけ戻ったっていいんだからな!」
「ああいや、悪かった!それだけは勘弁してくれぇ!その……あれだ!これで手打ちにしてくれ!!」
ラルカンバラは懐から小さな球を取り出した。ガステイルの目の色が変わる。
「これは……?」
「クッキーのような生地で作った菓子だ。とりあえず食ってみろ。」
ガステイルは勧められるがままにそれを齧る。
「んっ……これは、中が空洞になっていて……甘いクリームが入っている!?」
ガステイルは夢中になって食べ進める。
「美味しい……!ラルカンバラ、これはなんという菓子なんだ?」
ガステイルはそれまでの不機嫌が嘘のように、ラルカンバラに尋ねる。
「それは、シュークリームってんだ。俺のお手製だから、いつでもいくらでも食わせてやるぜ。」
「ほんとか!!!」
ガステイルは目をキラキラとさせながらラルカンバラに言った。
(やっぱり、子供じゃねえか)
「ふはっ」
ラルカンバラは微笑ましさに思わず笑いがこぼれる。ガステイルはそれを聞き、我に返る。
「……まあ、今までの態度は許してやらんこともないかな。」
「だーっはっはっは!!」
ラルカンバラは耐えきれずに大笑いしてしまう。
「なっ、笑うなぁ!」
ガステイルは耳の先まで真っ赤になりながらラルカンバラを小突く。
「いやー、かわいい一面もあるじゃないのよ!しっかし、本当にすげえ魔法だったぜ。すげえ研鑽を積んだんだな。」
ガステイルの顔が少しだけ曇る。
「……まあ、俺には力が必要だから。」
ラルカンバラも空気を感じとり、真剣な眼差しでガステイルを見つめる。
「何かあるみたいだな。生半可な覚悟じゃない何かが……」
突如、二人に緊張が走る。
「「誰だ!!」」
二人が振り返り、臨戦態勢を整える。そこには
「うわぁ!俺たちは戦う意思なんてありませんよ!アルエット様、どうにかしてくださいよ!」
「あれ、なんで里の入り口なのに人間とエルフが立ち往生してるのよ。」
「迷子……なんでしょうか?人間の方はよく分かりませんが。」
アルエット一行が、エリフィーズに到着していた。
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