雪ひとひら

♁☽れお

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雪ひとひら

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最近仕事が忙しく、仕事終わり時刻は11時を回っていた。
冷たい風が吹く中家路に着く途中、彼女から連絡が来た。

「星が見たい」
その一文が送られてきた。

僕は明日予定がなかったので、二つ返事をした。
「いいよ!迎えに行く!」

家に着いた僕は急いで支度をしていた。

彼女の星を見て喜ぶ顔、寒いと震えてる顔。
月光に照らされた美しい横顔。

そんな事を思いながら車に乗り込み、彼女の家へ向かった。

彼女の家へ着くと、家の前に出て待っていた。
こんな寒い夜なのに…
急いで車に乗せて、星が綺麗に見える山道へ向かった。

彼女は俯きながら暗い表情を浮かべていた。
いつもはよく喋るのに、今日は口数が少ないな。元気がない。
「何かあったの?」
と聞いても
「何でもない。」
と言う。
そんなやりとりを続けていたら目的地に到着した。

サンルーフから星を眺めていると、彼女がつぶやいた。
「星って綺麗だよね…私も綺麗になれるかな…」
声が震えて聞こえた。

「どう言う事?」
僕が聞き返しても、彼女は俯いた表情のまま。
「はっきり喋ってよ!わからないよ!」
僕は強い口調で言ってしまった。
今日でもう会えない気がした。
振られるかもって。

情けないけど、そんな事を思うのが嫌で強く当たってしまった。

彼女は小さな声で、「風にあたりたい…」
そして車外へ出てガードレール側まで出て夜景と星を眺めて見ていた。

風に当たり揺れる髪の毛。
薄暗いが、よくわかる。
とても綺麗だ。

そんな事を思いながら彼女を追いかけた。
そして後ろから抱き寄せ、彼女と同じく夜景と星空を見ていた。

彼女は冷たい夜風の様に冷たくなっていた。
そんな彼女を温めようと強く抱きしめた。

「こんな寒い日になんで星を見たくなったの?」
僕は優しい口調で囁いた。
「あのね、最後にお願いがあるんだ。聞いてくれる?」

その時感じた。僕は今日で別れるんだ。
悲しさのあまり涙が零れ落ちた。

「どうしたの?聞くよ?」
精一杯の強がりだった。

「私を好きになって後悔してない?」
思いもよらぬ言葉だった。

僕は「当たり前だろ!」
と言うと

彼女は何も言わずに微笑んで

僕の唇に溶けていった。

そうか、もう君はいないんだね。



寂しい夜風と一枚の雪が
僕に溶け込んでいく。
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