1 / 1
雪ひとひら
しおりを挟む最近仕事が忙しく、仕事終わり時刻は11時を回っていた。
冷たい風が吹く中家路に着く途中、彼女から連絡が来た。
「星が見たい」
その一文が送られてきた。
僕は明日予定がなかったので、二つ返事をした。
「いいよ!迎えに行く!」
家に着いた僕は急いで支度をしていた。
彼女の星を見て喜ぶ顔、寒いと震えてる顔。
月光に照らされた美しい横顔。
そんな事を思いながら車に乗り込み、彼女の家へ向かった。
彼女の家へ着くと、家の前に出て待っていた。
こんな寒い夜なのに…
急いで車に乗せて、星が綺麗に見える山道へ向かった。
彼女は俯きながら暗い表情を浮かべていた。
いつもはよく喋るのに、今日は口数が少ないな。元気がない。
「何かあったの?」
と聞いても
「何でもない。」
と言う。
そんなやりとりを続けていたら目的地に到着した。
サンルーフから星を眺めていると、彼女がつぶやいた。
「星って綺麗だよね…私も綺麗になれるかな…」
声が震えて聞こえた。
「どう言う事?」
僕が聞き返しても、彼女は俯いた表情のまま。
「はっきり喋ってよ!わからないよ!」
僕は強い口調で言ってしまった。
今日でもう会えない気がした。
振られるかもって。
情けないけど、そんな事を思うのが嫌で強く当たってしまった。
彼女は小さな声で、「風にあたりたい…」
そして車外へ出てガードレール側まで出て夜景と星を眺めて見ていた。
風に当たり揺れる髪の毛。
薄暗いが、よくわかる。
とても綺麗だ。
そんな事を思いながら彼女を追いかけた。
そして後ろから抱き寄せ、彼女と同じく夜景と星空を見ていた。
彼女は冷たい夜風の様に冷たくなっていた。
そんな彼女を温めようと強く抱きしめた。
「こんな寒い日になんで星を見たくなったの?」
僕は優しい口調で囁いた。
「あのね、最後にお願いがあるんだ。聞いてくれる?」
その時感じた。僕は今日で別れるんだ。
悲しさのあまり涙が零れ落ちた。
「どうしたの?聞くよ?」
精一杯の強がりだった。
「私を好きになって後悔してない?」
思いもよらぬ言葉だった。
僕は「当たり前だろ!」
と言うと
彼女は何も言わずに微笑んで
僕の唇に溶けていった。
そうか、もう君はいないんだね。
寂しい夜風と一枚の雪が
僕に溶け込んでいく。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
6年前の私へ~その6年は無駄になる~
夏見颯一
恋愛
モルディス侯爵家に嫁いだウィニアは帰ってこない夫・フォレートを待っていた。6年も経ってからようやく帰ってきたフォレートは、妻と子供を連れていた。
テンプレものです。テンプレから脱却はしておりません。
婚約破棄、別れた二人の結末
四季
恋愛
学園一優秀と言われていたエレナ・アイベルン。
その婚約者であったアソンダソン。
婚約していた二人だが、正式に結ばれることはなく、まったく別の道を歩むこととなる……。
お前は要らない、ですか。そうですか、分かりました。では私は去りますね。あ、私、こう見えても人気があるので、次の相手もすぐに見つかりますよ。
四季
恋愛
お前は要らない、ですか。
そうですか、分かりました。
では私は去りますね。
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
恋の終わりに
オオトリ
恋愛
「我々の婚約は、破棄された」
私達が生まれる前から決まっていた婚約者である、王太子殿下から告げられた言葉。
その時、私は
私に、できたことはーーー
※小説家になろうさんでも投稿。
※一時間ごとに公開し、全3話で完結です。
タイトル及び、タグにご注意!不安のある方はお気をつけてください。
短編 お前なんか一生結婚できないって笑ってたくせに、私が王太子妃になったら泣き出すのはどういうこと?
ヨルノソラ
恋愛
「お前なんか、一生結婚できない」
そう笑ってた幼馴染、今どんな気持ち?
――私、王太子殿下の婚約者になりましたけど?
地味で冴えない伯爵令嬢エリナは、幼い頃からずっと幼馴染のカイルに「お前に嫁の貰い手なんていない」とからかわれてきた。
けれどある日、王都で開かれた舞踏会で、偶然王太子殿下と出会い――そして、求婚された。
はじめは噂だと笑っていたカイルも、正式な婚約発表を前に動揺を隠せない。
ついには「お前に王太子妃なんて務まるわけがない」と暴言を吐くが、王太子殿下がきっぱりと言い返す。
「見る目がないのは君のほうだ」
「私の婚約者を侮辱するのなら、貴族であろうと容赦はしない」
格の違いを見せつけられ、崩れ落ちるカイル。
そんな姿を、もう私は振り返らない。
――これは、ずっと見下されていた令嬢が、運命の人に見初められる物語。
最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる
椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。
その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。
──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。
全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。
だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。
「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」
その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。
裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる