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第1章
第1話
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私の名前は三日月 漣〈みかづき れん〉。
至って普通の高校2年生の男子だ。どちらかと言えば痩せ気味の体で、身長は170cm。視力は小学生から悪く、銀縁のメガネをかけている。
今日も屋上でお昼ご飯を食べている。
「漣は何か気になってることでもあるのか?」
話しかけてきたのは同じクラスの藤原 真司〈ふじわら しんじ〉。1番の友人と言えるだろう。
……他に友人と言える人間がいない訳では無い。日常会話はそつ無くこなしてるし、クラスで浮いた存在ではない。と思っている。
「そんなつもりは無いのですが、何か気になりましたか?」
「……自覚がないのか。漣は頭の回転が速すぎてすぐに結論が出るから、長時間悩むことなんてまず無いだろ?」
真司は少し呆れたように言う。
真司は抜群の運動神経を誇る。ボディービルダーのような筋肉量は無いが、その洗練された肉体は初見でも運動ができるであろうことを伝えてくる。
単なる運動バカという訳ではなく、頭もキレる。その天才的とも言えるセンスで、物事の本質を突くことができる。
「私の頭の回転が速すぎるということは無いと思うのですが……。確かに、このところ悩み事があるのは確かですね」
「田舎とは言え、それなりの進学校にありながら学校創立以来の天才と呼ばれる漣の悩み事が何か是非とも教えて欲しいところだ」
真司は少し大袈裟に驚きながら言った。しかし、その態度に反してその目には驚きはなく、物事の本質を捉えようとする鋭い目だ。
「残念ながら、まだ他人にうまく説明できるほど私の中でも整理できてないんですよ。……ざっくりした話で申し訳ないのですが、真司に1つ仮定の質問をしてもいいですか?」
「仮定の質問?」
「ええ。もし、こういう状況だったら、真司ならどうするか?という話です」
「……構わないぞ」
私の頭の中には10を超える選択肢が思い浮かび、それぞれの質問結果のシミュレーションを瞬間的に実施した。
「……では、お言葉に甘えて。真司が今日1日、1つだけみんなが常識だと思っていることを変えられるとしたら、何を変えますか?」
「また、突拍子の無い仮定だな。……そうだな、オレがセックスしたいと思って声をかけたやつとは誰とでもどこでも……それこそ白昼堂々セックスができるとかでもいいのか?」
真司は少し意地悪そうな笑みを浮かべて言った。真司はスポーツ万能でイケメン。そんな男が性欲の強さを隠そうとしない。いろんなタイプの女性がいるが、魅力的に思う女性も少なくない。実際、特定の彼女こそ作らないが、そっちの経験は豊富であることが会話から容易に読み取れる。
「いや、それはダメです。今の仮定は、変えられる常識は1つだけなんですよ。仮に声をかけられた女性がセックスをするのに違和感がなくとも、目撃した人間はレイプか公衆わいせつだと思うでしょうね」
「はは!漣もセックスとか言うんだな。……そしたら、無難に女性はパンツを履かないのが常識、とでもするかな」
「それが無難なのかは同意しかねますが……。回答ありがとうございます。参考になりました」
私には思いつかない発想をもらったので、心から素直に御礼を言った。
「こんな回答で良ければ何よりだ。……やっぱり、何でこんな質問をしたのかは教えてもらえないのか?」
「申し訳ないですが、まだ説明できるほど整理できてないんですよ」
「……そっか。まぁ、その様子だといくら言っても教えてもらえないんだろうから、諦めることにするわ。話せるようになったら教えてくれ」
私が真司を好ましいと思う点として、この察しの良さがある。真司は決してテストの点数は良くない。しかし、それはきっと本気になっていないだけであって、頭のキレという面では自分とも引けを取らないと認識している。
「ありがとうございます。話せるようになったら話しますね。
私はもう少し屋上でのんびりしてから戻ります。先に戻っててください」
「あいよ」
真司はさっと立ち上がり、空の弁当箱を持って屋上を後にした。
もうすぐ昼休みが終わるこの時間に屋上にいるのは漣ただ1人。漣は小声でこう呟いた。
「パンツは流石に確認のしようもないですしね……ブラジャーをつけないのが常識とでもしておきましょうか」
その瞬間、世界中の常識が変わった。
至って普通の高校2年生の男子だ。どちらかと言えば痩せ気味の体で、身長は170cm。視力は小学生から悪く、銀縁のメガネをかけている。
今日も屋上でお昼ご飯を食べている。
「漣は何か気になってることでもあるのか?」
話しかけてきたのは同じクラスの藤原 真司〈ふじわら しんじ〉。1番の友人と言えるだろう。
……他に友人と言える人間がいない訳では無い。日常会話はそつ無くこなしてるし、クラスで浮いた存在ではない。と思っている。
「そんなつもりは無いのですが、何か気になりましたか?」
「……自覚がないのか。漣は頭の回転が速すぎてすぐに結論が出るから、長時間悩むことなんてまず無いだろ?」
真司は少し呆れたように言う。
真司は抜群の運動神経を誇る。ボディービルダーのような筋肉量は無いが、その洗練された肉体は初見でも運動ができるであろうことを伝えてくる。
単なる運動バカという訳ではなく、頭もキレる。その天才的とも言えるセンスで、物事の本質を突くことができる。
「私の頭の回転が速すぎるということは無いと思うのですが……。確かに、このところ悩み事があるのは確かですね」
「田舎とは言え、それなりの進学校にありながら学校創立以来の天才と呼ばれる漣の悩み事が何か是非とも教えて欲しいところだ」
真司は少し大袈裟に驚きながら言った。しかし、その態度に反してその目には驚きはなく、物事の本質を捉えようとする鋭い目だ。
「残念ながら、まだ他人にうまく説明できるほど私の中でも整理できてないんですよ。……ざっくりした話で申し訳ないのですが、真司に1つ仮定の質問をしてもいいですか?」
「仮定の質問?」
「ええ。もし、こういう状況だったら、真司ならどうするか?という話です」
「……構わないぞ」
私の頭の中には10を超える選択肢が思い浮かび、それぞれの質問結果のシミュレーションを瞬間的に実施した。
「……では、お言葉に甘えて。真司が今日1日、1つだけみんなが常識だと思っていることを変えられるとしたら、何を変えますか?」
「また、突拍子の無い仮定だな。……そうだな、オレがセックスしたいと思って声をかけたやつとは誰とでもどこでも……それこそ白昼堂々セックスができるとかでもいいのか?」
真司は少し意地悪そうな笑みを浮かべて言った。真司はスポーツ万能でイケメン。そんな男が性欲の強さを隠そうとしない。いろんなタイプの女性がいるが、魅力的に思う女性も少なくない。実際、特定の彼女こそ作らないが、そっちの経験は豊富であることが会話から容易に読み取れる。
「いや、それはダメです。今の仮定は、変えられる常識は1つだけなんですよ。仮に声をかけられた女性がセックスをするのに違和感がなくとも、目撃した人間はレイプか公衆わいせつだと思うでしょうね」
「はは!漣もセックスとか言うんだな。……そしたら、無難に女性はパンツを履かないのが常識、とでもするかな」
「それが無難なのかは同意しかねますが……。回答ありがとうございます。参考になりました」
私には思いつかない発想をもらったので、心から素直に御礼を言った。
「こんな回答で良ければ何よりだ。……やっぱり、何でこんな質問をしたのかは教えてもらえないのか?」
「申し訳ないですが、まだ説明できるほど整理できてないんですよ」
「……そっか。まぁ、その様子だといくら言っても教えてもらえないんだろうから、諦めることにするわ。話せるようになったら教えてくれ」
私が真司を好ましいと思う点として、この察しの良さがある。真司は決してテストの点数は良くない。しかし、それはきっと本気になっていないだけであって、頭のキレという面では自分とも引けを取らないと認識している。
「ありがとうございます。話せるようになったら話しますね。
私はもう少し屋上でのんびりしてから戻ります。先に戻っててください」
「あいよ」
真司はさっと立ち上がり、空の弁当箱を持って屋上を後にした。
もうすぐ昼休みが終わるこの時間に屋上にいるのは漣ただ1人。漣は小声でこう呟いた。
「パンツは流石に確認のしようもないですしね……ブラジャーをつけないのが常識とでもしておきましょうか」
その瞬間、世界中の常識が変わった。
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