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第一章 銀魔星、母校を侵蝕す
集まれ!異世界移住希望者たちよッ!!①
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春の夕暮れ時とはいえ窓と黒いカーテンが閉め切られ、むせ返るような熱気の籠る6畳ほどの寮部屋内の空気を、“くちゅっ、ちゅばっ”という湿った響きと、甘い喘ぎを伴う荒い息遣いと断続的な切ない呻きが妖しく揺らめかせていた。
組み合わさった影の一方はしなやかな体躯を弓なりにのけ反らせ、やや大柄な片方はその前に跪いているようであった。
「……はっ、ああッ…ス、スゴく情熱的ッ……ク、クールボーイの代名詞のようなあなたにこんな一面があったなんてッ……!
で、でもゴ、ゴメンなさいね結城クン……せっかく柏田さんという恋人がいたというのに心を惑わせてしまって……で、でも、どうしてもあなたには加わってほしかったの……あはぁッ!」
奉仕者の頭部を両手で挟み、感に堪えたような呻きと共に殆ど海老反りとなった中性的な美声の主はぷるぷると全身を痙攣させて必死に昇天を押し留めようとするが、それを嘲笑うかのように結城はそれまで高価な壺を愛玩するかのごとく丹念に揉みしだいていた臀部をいきなり強く掴んで揺すぶり立てる。
「はああああッ!ダ…ダメぇッ!!」
同時に強く窄められていた両頬にさらに力が込められ、男性ならではの凶暴な前後運動が開始される。
「うっ…はあああああッ!
イ、イクうぅぅぅッッッ!!!」
聴く者の背筋に戦慄を疾らせる魔性の法悦に満ち満ちた絶叫を迸らせ、校内女子人気不動の絶対王者と自他共に認めるサッカー部主将の口内に、はしたなくも溜めに溜めた(10日間)濃厚にして芳醇な聖液を思い切り放ったのは、一部の審美主義者を自認する生徒間で密やかに、されど狂熱的な思慕を集める特抜学級念術科2年の“妖艶なる情緒的両性具有者”剣持巳智瑠なのであった……!
✦
特抜生の作戦会議室(遠征が休止されている現在では溜まり場と称した方が正確)といえる、山肌に面して最も陽当たりの悪い北棟のさらに地下にある〈秘密資料室〉に、春の新学期が始まった4月初旬のとある放課後集合したのは六名の“非部活者”であった──したがって当然ながら主宰者の愛人・結城 麟の姿はない。
しかし濃い緑色の制服とグレーのスラックス&スカートに身を包んだ男女比4:2の彼らは一様に美形であり、この会合に出席するには天与の条件が不可欠のようであった。
芳香剤を10個近く配置してあるものの幾星霜を経た室内のカビ臭さは拭い難く、陰鬱にして殺風景な景観と相俟って1時間も居ると核シェルターに長期籠城中のごときバッドトリップ感を味わうことができる。
「……しかしいくら特抜生だからって、学園が遠征を止めてんのに一生徒の独断で異世界に行けんのかな?」
“確信犯のリア充オタク”といった風貌の普通科2年・引地翔介が神経質そうに銀縁眼鏡をズリ上げながら懸念を表明するが、男性ファッション誌のグラビアを飾っても不相応とは見做されぬであろう情報科3年の富本恭平が気色ばみつつたしなめる。
「何を今さら……そもそもオマエ、志願者のクセに会長の話のドコ聞いてたんだよ?
まさにくどいほど強調されてたじゃねえか、“渡航手段は私の兄が率いる秘密巨大組織が提供するって……あの“伝説の最強特抜生”四元蓮馬の宿命のライバルで、現在はペトゥルナワスで大成功した“異世界起業家”であられる剣持巳津也先輩が引き受けてくれるってんだから、こんな安心なことはねえじゃねえか……なあみんな、そうだろ?」
「──あたしもマジでそう思う。
大体さ、あの美の化身のような巳智瑠先輩を信じられないってんならとっとと紫夢火を退会してくんない?
だって不信心者が一匹いるだけで、それでなくても換気の悪い資料室の空気が何倍にも濁って臭くなっちまうんだからサ……!」
こう断言したのは普通科3年の樺島薫子で、科こそ違えど教員間で“星渕の凶悪SM嬢”の異名を取った特抜学級OG・高瀬花凛の再来と怖れられているのも大いに頷けるサディスティックなセリフを美しき夜叉の微笑と共に投げつける。
「でもさ、実際のところ先方がどんな手段を行使するのかは気になるじゃん?
そこでオイラ、同級のよしみで剣もっちゃんに直接訊いてみたわけよ──そしたらな、アッサリ教えてくれたぜ」
一同が固唾を飲んで注目し、一般生徒との格の違いを大いに見せつけられたぜとご満悦の自称“坊主頭の美獣”特抜学級格闘科の竹林龍志郎は、重々しい口調で極秘情報を開陳する。
「──何でも今週土曜の夜八時に、学園の裏山の頂上にエメラルドグリーンのUFOに似た時空跳躍機が降りてくるそうだ。
とりあえず我々紫夢火メンバーはそれに乗り込んでペトゥルナワスへ向かうことになるが、異世界と地上じゃそもそも時間の流れが異なるから、日曜夜に戻ってもたっぷり1週間は過ぎたと感じちまうらしいぜ……。
ま、とりあえずそーやって週末や祝祭日にペトゥルナワスを視察して、長期の休みにゃ擬似的移住体験を重ねてだな、じっくり考え抜いた挙句に結論を出しゃいいってハナシよ……」
「そんなまどろっこしい……あたしとしては星渕を卒業する来年には巳智瑠様の右腕となって彼の地に紫夢火の確固とした基盤を築くため〈完全移住〉するつもりよ──ってことは、優柔不断な諸君がやっとこさ踏ん切りがついて乗り込んでくる頃にゃ、それこそ王侯貴族と平民以上の差が生じちゃってることになるけど、それでいいの?」
「う~む……」
眉間にシワを寄せた一同が腕組みして煩悶するのを小気味良さげに睥睨する農業科3年の小御門ちずえは、交際中の念術科在籍の特抜学級1年・式澤洋彦が3列並べられた大机の末尾に一人ポツンと俯きながら座っているのを歯がゆい思いで見つめながら、改めて“しっかりしてよ……ヒロくんさえその気になれば、紫夢火No.2は間違いないのにッ!
大体、ナチュラルボーン脳筋野郎のチクリンなんざ、その気になりゃ必殺の【心撃念弾】でイチコロだってベッドじゃ断言してんのに、何で最後列で項垂れてんのよッ!?この救い難き内弁慶ボーイがッ!!』
……あたかも〈場〉が一段落するのを待ち受けていたかのように痛みきった板戸がガタピシャと開かれると、赤いファイルを小脇に抱えた剣持巳智瑠会長が美しき賢者のごとき静謐な笑みを浮かべつつ入室してきたのである──。
組み合わさった影の一方はしなやかな体躯を弓なりにのけ反らせ、やや大柄な片方はその前に跪いているようであった。
「……はっ、ああッ…ス、スゴく情熱的ッ……ク、クールボーイの代名詞のようなあなたにこんな一面があったなんてッ……!
で、でもゴ、ゴメンなさいね結城クン……せっかく柏田さんという恋人がいたというのに心を惑わせてしまって……で、でも、どうしてもあなたには加わってほしかったの……あはぁッ!」
奉仕者の頭部を両手で挟み、感に堪えたような呻きと共に殆ど海老反りとなった中性的な美声の主はぷるぷると全身を痙攣させて必死に昇天を押し留めようとするが、それを嘲笑うかのように結城はそれまで高価な壺を愛玩するかのごとく丹念に揉みしだいていた臀部をいきなり強く掴んで揺すぶり立てる。
「はああああッ!ダ…ダメぇッ!!」
同時に強く窄められていた両頬にさらに力が込められ、男性ならではの凶暴な前後運動が開始される。
「うっ…はあああああッ!
イ、イクうぅぅぅッッッ!!!」
聴く者の背筋に戦慄を疾らせる魔性の法悦に満ち満ちた絶叫を迸らせ、校内女子人気不動の絶対王者と自他共に認めるサッカー部主将の口内に、はしたなくも溜めに溜めた(10日間)濃厚にして芳醇な聖液を思い切り放ったのは、一部の審美主義者を自認する生徒間で密やかに、されど狂熱的な思慕を集める特抜学級念術科2年の“妖艶なる情緒的両性具有者”剣持巳智瑠なのであった……!
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特抜生の作戦会議室(遠征が休止されている現在では溜まり場と称した方が正確)といえる、山肌に面して最も陽当たりの悪い北棟のさらに地下にある〈秘密資料室〉に、春の新学期が始まった4月初旬のとある放課後集合したのは六名の“非部活者”であった──したがって当然ながら主宰者の愛人・結城 麟の姿はない。
しかし濃い緑色の制服とグレーのスラックス&スカートに身を包んだ男女比4:2の彼らは一様に美形であり、この会合に出席するには天与の条件が不可欠のようであった。
芳香剤を10個近く配置してあるものの幾星霜を経た室内のカビ臭さは拭い難く、陰鬱にして殺風景な景観と相俟って1時間も居ると核シェルターに長期籠城中のごときバッドトリップ感を味わうことができる。
「……しかしいくら特抜生だからって、学園が遠征を止めてんのに一生徒の独断で異世界に行けんのかな?」
“確信犯のリア充オタク”といった風貌の普通科2年・引地翔介が神経質そうに銀縁眼鏡をズリ上げながら懸念を表明するが、男性ファッション誌のグラビアを飾っても不相応とは見做されぬであろう情報科3年の富本恭平が気色ばみつつたしなめる。
「何を今さら……そもそもオマエ、志願者のクセに会長の話のドコ聞いてたんだよ?
まさにくどいほど強調されてたじゃねえか、“渡航手段は私の兄が率いる秘密巨大組織が提供するって……あの“伝説の最強特抜生”四元蓮馬の宿命のライバルで、現在はペトゥルナワスで大成功した“異世界起業家”であられる剣持巳津也先輩が引き受けてくれるってんだから、こんな安心なことはねえじゃねえか……なあみんな、そうだろ?」
「──あたしもマジでそう思う。
大体さ、あの美の化身のような巳智瑠先輩を信じられないってんならとっとと紫夢火を退会してくんない?
だって不信心者が一匹いるだけで、それでなくても換気の悪い資料室の空気が何倍にも濁って臭くなっちまうんだからサ……!」
こう断言したのは普通科3年の樺島薫子で、科こそ違えど教員間で“星渕の凶悪SM嬢”の異名を取った特抜学級OG・高瀬花凛の再来と怖れられているのも大いに頷けるサディスティックなセリフを美しき夜叉の微笑と共に投げつける。
「でもさ、実際のところ先方がどんな手段を行使するのかは気になるじゃん?
そこでオイラ、同級のよしみで剣もっちゃんに直接訊いてみたわけよ──そしたらな、アッサリ教えてくれたぜ」
一同が固唾を飲んで注目し、一般生徒との格の違いを大いに見せつけられたぜとご満悦の自称“坊主頭の美獣”特抜学級格闘科の竹林龍志郎は、重々しい口調で極秘情報を開陳する。
「──何でも今週土曜の夜八時に、学園の裏山の頂上にエメラルドグリーンのUFOに似た時空跳躍機が降りてくるそうだ。
とりあえず我々紫夢火メンバーはそれに乗り込んでペトゥルナワスへ向かうことになるが、異世界と地上じゃそもそも時間の流れが異なるから、日曜夜に戻ってもたっぷり1週間は過ぎたと感じちまうらしいぜ……。
ま、とりあえずそーやって週末や祝祭日にペトゥルナワスを視察して、長期の休みにゃ擬似的移住体験を重ねてだな、じっくり考え抜いた挙句に結論を出しゃいいってハナシよ……」
「そんなまどろっこしい……あたしとしては星渕を卒業する来年には巳智瑠様の右腕となって彼の地に紫夢火の確固とした基盤を築くため〈完全移住〉するつもりよ──ってことは、優柔不断な諸君がやっとこさ踏ん切りがついて乗り込んでくる頃にゃ、それこそ王侯貴族と平民以上の差が生じちゃってることになるけど、それでいいの?」
「う~む……」
眉間にシワを寄せた一同が腕組みして煩悶するのを小気味良さげに睥睨する農業科3年の小御門ちずえは、交際中の念術科在籍の特抜学級1年・式澤洋彦が3列並べられた大机の末尾に一人ポツンと俯きながら座っているのを歯がゆい思いで見つめながら、改めて“しっかりしてよ……ヒロくんさえその気になれば、紫夢火No.2は間違いないのにッ!
大体、ナチュラルボーン脳筋野郎のチクリンなんざ、その気になりゃ必殺の【心撃念弾】でイチコロだってベッドじゃ断言してんのに、何で最後列で項垂れてんのよッ!?この救い難き内弁慶ボーイがッ!!』
……あたかも〈場〉が一段落するのを待ち受けていたかのように痛みきった板戸がガタピシャと開かれると、赤いファイルを小脇に抱えた剣持巳智瑠会長が美しき賢者のごとき静謐な笑みを浮かべつつ入室してきたのである──。
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