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第八章 魔島殲滅戦
宝麗仙宮崩壊⑮
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美沙門らが島に到達した時、宝麗仙宮は不気味に静まり返っていた。
3階の紅の間は煉瓦造りのバルコニー部分に至るまで黒く煤け、室内が完全に焼け焦げているが、決死の消火活動が為されたと見えて細い残煙が数条上がっているのみである…。
「あッ、あれがザジナスの部屋なんじゃないッ!?
凄く焼けててまだ煙が上がってる…!
きっとここで何かとんでもない大事件が起こったんだわッ!!」
「きっとそうだろう。
ひょっとして、太鬼が言ってたアクメピア星人がとうとう反乱を起こしたんじゃないかな…!?」
聖闘防霊団が白羽の矢を立てた逸材とあって蘭奈らの利発さには以前から感じ入ってはいたものの、決して取り乱すことなくあたかもクラスメートの噂話をするかのように淡々とこの殺伐とした事象の背景を推察する彼らの胆力に蛸ノ宮は内心舌を巻いていた。
「…うむ、たしかにザジナスの身に致命的な何かが起きたことは間違いなさそうだな…!
そして予想通り屋外は無人のようだ。
尤も背後の樹木林に何者かが潜んで侵入者に狙いを定めている可能性はあるが…。
それでは戦況を細かく中継すべく三銃翔獅子を散開させてみるか──ここからスクリーンを4分割するが、美沙門の画面は他の二倍に設定しよう…」
かくて事実上5分割された映像の左2~3番目分が現在紅の間の窓外に滞空する最強戦士の動きを伝え、三銃翔獅子たちはとりあえず散開して広大な庭を俯瞰する。
「──あッ!
蘭、ちょっと左隅の画面(青獅子専属カメラ)を見てごらんッ!
めっちゃデカい穴が空いてるぜッ!
そうかッ、ルリアさんをさらった奴はここに隠してた宇宙船を奪い脱出したんだッ!!
でも犯人はケイファーとレイガルどっちなんだろうッ!?」
瞬時に同意した雷の聖使第2号も叫ぶ。
「きっとそうだわッ!
でもレイガルとかいうアクメピア野郎はババイヴを神様みたいに崇めてるんでしょッ!?
ってことは、ソイツは今島を留守にしてて、ザジナスに毒酒を飲ませてたリュザーンド星人のケイファーって女医の仕業よ、きっとッッ!!」
『ううむ…みごとな洞察力というしかないが、あの太鬼とかいう小僧め、一体いかなる方法を使ってここまでの情報を収集したものか…!?
こ、こうなると懸念されるのは、隼矢や天香蝶に加えた狼藉から察するに、悪魔の化身ともいうべきあやつが二人に対して私のルリアへの想いをさぞ面白おかしく脚色して伝えたのではないかということだが…
さ、されど蘭奈の先程の口ぶりからして、少なくとも何らかの示唆は与えられたようだ…!
おッ、おのれッ!絶対に許せんッ!!
むろん状況次第だが、場合によっては来星以来ひた隠しにしてきたこの飛翔基地を地球人の目に露見させてでもババイヴとあやつだけは【超焔轟雷砲】の塵としてくれるわッッ!!!』
──その間に、美沙門は紅の間のバルコニーに降り立ち、大胆にも宝麗仙宮内部への潜入を図るつもりのようである。
その背後から続く飛翔カメラが真紅に染め上げられた広い部屋の中央に安置された悪趣味なダブルベッドの残骸に近付く人工戦士の雄姿を映し出すが、枕もクッションもシーツも焼失し、何も乗っていなかったはずの寝台上から何かがむっくりと起き上がった気配があり、次の刹那、美沙門のピンクの鬣が大きく乱れたのだ!
「──ッッ!!??」
何が起こったのか理解できぬ三人が絶句した瞬間、既に鎮火していたはずの室内に佇立する人工戦士の全身が金色の焔に包まれ、同時に発生した凄まじい熱圧に吹き飛ばされてバルコニーに激突してそのままくるりと裏返り、なす術もなく庭へと落下してしまう!
「ああッ、びーちゃんがッ!!
い、一体何が起こったの!?」
行平蘭奈の悲痛な叫びに応えるかのごとく、辛うじて破壊を免れた記録装置は画面から姿を消した美沙門よりも室内の様子を優先して怪異の発生源である寝台を映し続ける。
かくて数秒を経て、あたかも透明人間が実体化するかのようにあの異形の怪物が姿を現したのだ──
「ぐわっははははははッ!
誰かと思えば、余がとっくに絶滅させたはずの怯懦にして無力な蒼頭星人ではないかッ!?
相変わらず何を為すにしても傀儡を頼り、自ら敵の眼前に立つことのできぬ筋金入りの腰抜けぶりは健在のようだなッ!
愚か者めがッ、かくのごとき木偶人形を何百何千体送り込もうが、キサマの母星一個を完膚無きまでに破壊してのけたこの大教帝ババイヴ=ゴドゥエブンに通用するはずがないとまだ理解できんのかッ!?
ふっくふふふふふッ、まあそうは言ってもいかなる天恵か、カムフラージュのための【神層結露】に加えてわが必殺技である【神灰帝屍焔弾】も以前よりはるかに威力を増しているのはたしかなようだがな…!
されど断じて、ザジナスを事実上屠り脱走したあのケイファーとかいう女医の手腕などとは認めんぞッ!
何故ならばッ、
あやつめは何より肝心な余の翼の修復を怠ったまま逃亡しおったのだからなッッ!!」
3階の紅の間は煉瓦造りのバルコニー部分に至るまで黒く煤け、室内が完全に焼け焦げているが、決死の消火活動が為されたと見えて細い残煙が数条上がっているのみである…。
「あッ、あれがザジナスの部屋なんじゃないッ!?
凄く焼けててまだ煙が上がってる…!
きっとここで何かとんでもない大事件が起こったんだわッ!!」
「きっとそうだろう。
ひょっとして、太鬼が言ってたアクメピア星人がとうとう反乱を起こしたんじゃないかな…!?」
聖闘防霊団が白羽の矢を立てた逸材とあって蘭奈らの利発さには以前から感じ入ってはいたものの、決して取り乱すことなくあたかもクラスメートの噂話をするかのように淡々とこの殺伐とした事象の背景を推察する彼らの胆力に蛸ノ宮は内心舌を巻いていた。
「…うむ、たしかにザジナスの身に致命的な何かが起きたことは間違いなさそうだな…!
そして予想通り屋外は無人のようだ。
尤も背後の樹木林に何者かが潜んで侵入者に狙いを定めている可能性はあるが…。
それでは戦況を細かく中継すべく三銃翔獅子を散開させてみるか──ここからスクリーンを4分割するが、美沙門の画面は他の二倍に設定しよう…」
かくて事実上5分割された映像の左2~3番目分が現在紅の間の窓外に滞空する最強戦士の動きを伝え、三銃翔獅子たちはとりあえず散開して広大な庭を俯瞰する。
「──あッ!
蘭、ちょっと左隅の画面(青獅子専属カメラ)を見てごらんッ!
めっちゃデカい穴が空いてるぜッ!
そうかッ、ルリアさんをさらった奴はここに隠してた宇宙船を奪い脱出したんだッ!!
でも犯人はケイファーとレイガルどっちなんだろうッ!?」
瞬時に同意した雷の聖使第2号も叫ぶ。
「きっとそうだわッ!
でもレイガルとかいうアクメピア野郎はババイヴを神様みたいに崇めてるんでしょッ!?
ってことは、ソイツは今島を留守にしてて、ザジナスに毒酒を飲ませてたリュザーンド星人のケイファーって女医の仕業よ、きっとッッ!!」
『ううむ…みごとな洞察力というしかないが、あの太鬼とかいう小僧め、一体いかなる方法を使ってここまでの情報を収集したものか…!?
こ、こうなると懸念されるのは、隼矢や天香蝶に加えた狼藉から察するに、悪魔の化身ともいうべきあやつが二人に対して私のルリアへの想いをさぞ面白おかしく脚色して伝えたのではないかということだが…
さ、されど蘭奈の先程の口ぶりからして、少なくとも何らかの示唆は与えられたようだ…!
おッ、おのれッ!絶対に許せんッ!!
むろん状況次第だが、場合によっては来星以来ひた隠しにしてきたこの飛翔基地を地球人の目に露見させてでもババイヴとあやつだけは【超焔轟雷砲】の塵としてくれるわッッ!!!』
──その間に、美沙門は紅の間のバルコニーに降り立ち、大胆にも宝麗仙宮内部への潜入を図るつもりのようである。
その背後から続く飛翔カメラが真紅に染め上げられた広い部屋の中央に安置された悪趣味なダブルベッドの残骸に近付く人工戦士の雄姿を映し出すが、枕もクッションもシーツも焼失し、何も乗っていなかったはずの寝台上から何かがむっくりと起き上がった気配があり、次の刹那、美沙門のピンクの鬣が大きく乱れたのだ!
「──ッッ!!??」
何が起こったのか理解できぬ三人が絶句した瞬間、既に鎮火していたはずの室内に佇立する人工戦士の全身が金色の焔に包まれ、同時に発生した凄まじい熱圧に吹き飛ばされてバルコニーに激突してそのままくるりと裏返り、なす術もなく庭へと落下してしまう!
「ああッ、びーちゃんがッ!!
い、一体何が起こったの!?」
行平蘭奈の悲痛な叫びに応えるかのごとく、辛うじて破壊を免れた記録装置は画面から姿を消した美沙門よりも室内の様子を優先して怪異の発生源である寝台を映し続ける。
かくて数秒を経て、あたかも透明人間が実体化するかのようにあの異形の怪物が姿を現したのだ──
「ぐわっははははははッ!
誰かと思えば、余がとっくに絶滅させたはずの怯懦にして無力な蒼頭星人ではないかッ!?
相変わらず何を為すにしても傀儡を頼り、自ら敵の眼前に立つことのできぬ筋金入りの腰抜けぶりは健在のようだなッ!
愚か者めがッ、かくのごとき木偶人形を何百何千体送り込もうが、キサマの母星一個を完膚無きまでに破壊してのけたこの大教帝ババイヴ=ゴドゥエブンに通用するはずがないとまだ理解できんのかッ!?
ふっくふふふふふッ、まあそうは言ってもいかなる天恵か、カムフラージュのための【神層結露】に加えてわが必殺技である【神灰帝屍焔弾】も以前よりはるかに威力を増しているのはたしかなようだがな…!
されど断じて、ザジナスを事実上屠り脱走したあのケイファーとかいう女医の手腕などとは認めんぞッ!
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