魔人戦界ラージャーラ

幾橋テツミ

文字の大きさ
29 / 42
第三章 凶幻獣戦域の覇者

超魔人、再び…!①

しおりを挟む
 いつまでもこのままの状態を続けることは当然許されず、萩邑りさらは佐原真悠花の小さな体をそっと引き離して自分の前方に結跏趺坐させると、直ちに天翔魔鱏ヴェセアムの起動にかかった。

 旧式聖幻晶においては集中が高まるにつれて特級操獣師の肉体はまばゆいばかりの白光に包まれたものだったが、愛華領の紋章を象った新型が放射したのは神々しいまでの金色こんじきであり、それに感応したかのように真悠花のコバルト色の正方形スクエア聖幻晶も放光するが、あたかも大量の金粉を散らしたかのごとく2色が混然一体となっていた!

『やっぱりこの子、只者じゃないわね……ごく自然に他者の操獣波を自分のそれに融合させて、単独の場合より数倍強力な操獣力をいとも容易くゲットしちゃったみたい……!

 まあ人によっては〈エネルギーヴァンパイア〉なんて悪しざまに腐すんだろうけど、一昔前のロンリーバトル時代ならともかくコラボ戦闘全盛の現在じゃ最も必要とされるなのかも……。

 それにもう一つ特筆すべきは、この凄まじいばかりの集中力──ついさっきまでベソかいてたのがマジで信じられないほど、アッという間にスーパーZ(zoneの略。絆獣との融魂度が最高レベルに達していることを意味する)に入ってる……その証拠に、全身を包む星辰アストラル体から青い焔がメラメラと燃え上がっちゃってるじゃない……!

 でもこうなると話が変わってくるわね……少しでも豊富に実戦経験を積ませるためにもここは当面真悠花に任せて、あたしはイザという時の用心棒サポートに回ることにしよう……』

 こう決めたりさらは愛弟子にその旨を伝え、弓葉のメレゼスが金色の鬣をなびかせて神霊薬花園を駆け出すのを確認しつつ、ガートス用の臨時滑走路脇の大地から出撃した。

『接近中の巨大刃獣はスペンサーが総指揮を執る3機(CBK・星拳鬼會・皇帝狼所属)の強襲戦闘機デルタスライダーが足止めしてくれるみたいだけど、皇帝狼機はチームリーダーのベルガーによる反逆罪の連帯責任で全員降ろされ、CBKと初搭乗の闘士団のハイブリッドメンバーで運用されてるから多くは望めない……あたしの勘だと多少損壊してようが愛華領ここまでやって来るのは間違いないわッ!

 もしそうなったら、気がかりだけどヴェセアムは真悠花に任せてあたしはレオーランに乗り移らなくちゃならなくなるはず……願わくばスペンサーたちができるだけ深いダメージを負わせておいてくれることを祈るばかりね。

 そうなれば那崎を含めた三人で嵩にかかって攻め込むことであわよくば撃破できるかもしれない……!

 もちろんフィニッシュは二人の合体技=烈空衝破星で決められれば理想的なんだけど、さすがにあたしが力を貸したところで魔王蛸(教軍が前回の戦いで切り札として投入した巨大刃獣)よりデカい相手をリフトするなんて到底ムリだろうから、ガートス軍団と合同での破壊光弾一斉発射あたりに落ち着くことになりそうね……!』

 既にウォベル麾下の15機のガートスは数十体の仔ザヌザどもと凄まじい乱戦を展開中であったが、あくまでウビラス星心領出身の一般教民に過ぎぬ彼がラージャーラ屈指の戦闘機乗りとの評価を勝ち得、あまつさえその薫陶を受けた荒武者たちが吐き気を催すような奇怪な形状と鳴き声の空の妖怪群を前に一歩も退かぬどころか、むしろ圧倒している戦況を目の当たりにして萩邑りさらは舌を巻く思いだった。

 今となっては初陣の新人二人を率いることでウォベルらとは大きく距離を隔てた戦場エリアでの完全別行動となったことにむしろ安堵しつつ、りさらは内心で独白する──

『(故・竹澤夏月)総隊長からも闘士団かれらはヤバいってよく聞かされてたけど、これまで組む機会がなかったからどれほどのものなのか分からなかった──でもさすがに今は亡き“伝説の殺戮姫”を唸らせるだけのことはあったわね。

 ハッキリ言って、前回共に戦ったルドストン凱鱗領のパイロットたちよりもウォベルたちの戦意と技量は数段上だわ……!

 このままだと絆獣聖団あたしたちは完全に傭兵部隊の後塵を拝することになってしまう──それだけは阻止しなければッ!!』

 ただならぬ危機感に駆られ、激励するように両手を真悠花の肩に置いた特級操獣師は、

「さあッ、いよいよ戦闘開始よッ!

 記念すべき初ターゲットは、群れからはぐれて一匹だけフラフラと漂ってるアイツで決まりねッ!

 料理の仕方はあなたに任せるから、思ったとおりに攻めてみなさいッ!!」

 と発破をかけるが、何故か聖団期待のホープからは反応が無い……。

「真悠…いいえ佐原操獣師、一体どうしたっていうの?

 まさかまたまた臆病風に吹かれたんじゃないでしょうねッ!?

 でも私は代わってあげられないわよ──少なくともアイツを撃破するまではねッ、さあ名誉ある操獣師らしくシャキッとしなさいッ!!」

 次の刹那あたかも彫像のごとく固まっていた愛弟子が不意に振り返ったのであるが、その表情を一瞥した萩邑りさらは背中に氷水を浴びせられたかのような戦慄を味わった!

「真悠花……あなた、その眼……!

 ──!?」

「ふふふ、さすがに余が依巫よりましとして選んだだけのことはある……相変わらず聡明で、そして美しいな、リサラよ……!」

 むろんその声は可憐な少女のものではなく、中性的にして妖艶な、

「か、鏡の教聖……ど、どうしてここに……そして真悠花に……!?」



 
  



 

 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...