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第三章 凶幻獣戦域の覇者
超魔人、再び…!①
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いつまでもこのままの状態を続けることは当然許されず、萩邑りさらは佐原真悠花の小さな体をそっと引き離して自分の前方に結跏趺坐させると、直ちに天翔魔鱏の起動にかかった。
旧式聖幻晶においては集中が高まるにつれて特級操獣師の肉体は眩いばかりの白光に包まれたものだったが、愛華領の紋章を象った新型が放射したのは神々しいまでの金色であり、それに感応したかのように真悠花のコバルト色の正方形聖幻晶も放光するが、あたかも大量の金粉を散らしたかのごとく2色が混然一体となっていた!
『やっぱりこの子、只者じゃないわね……ごく自然に他者の操獣波を自分のそれに融合させて、単独の場合より数倍強力な操獣力をいとも容易くゲットしちゃったみたい……!
まあ人によっては〈エネルギーヴァンパイア〉なんて悪しざまに腐すんだろうけど、一昔前のロンリーバトル時代ならともかくコラボ戦闘全盛の現在じゃ最も必要とされるサバイバル能力なのかも……。
それにもう一つ特筆すべきは、この凄まじいばかりの集中力──ついさっきまでベソかいてたのがマジで信じられないほど、アッという間にスーパーZ(zoneの略。絆獣との融魂度が最高レベルに達していることを意味する)に入ってる……その証拠に、全身を包む星辰体から青い焔がメラメラと燃え上がっちゃってるじゃない……!
でもこうなると話が変わってくるわね……少しでも豊富に実戦経験を積ませるためにもここは当面真悠花に任せて、あたしはイザという時の用心棒に回ることにしよう……』
こう決めたりさらは愛弟子にその旨を伝え、弓葉のメレゼスが金色の鬣をなびかせて神霊薬花園を駆け出すのを確認しつつ、ガートス用の臨時滑走路脇の大地から出撃した。
『接近中の巨大刃獣はスペンサーが総指揮を執る3機(CBK・星拳鬼會・皇帝狼所属)の強襲戦闘機が足止めしてくれるみたいだけど、皇帝狼機はチームリーダーのベルガーによる反逆罪の連帯責任で全員降ろされ、CBKと初搭乗の闘士団のハイブリッドメンバーで運用されてるから多くは望めない……あたしの勘だと多少損壊してようが愛華領までやって来るのは間違いないわッ!
もしそうなったら、気がかりだけどヴェセアムは真悠花に任せてあたしはレオーランに乗り移らなくちゃならなくなるはず……願わくばスペンサーたちができるだけ深いダメージを負わせておいてくれることを祈るばかりね。
そうなれば那崎を含めた三人で嵩にかかって攻め込むことであわよくば撃破できるかもしれない……!
もちろんフィニッシュは二人の合体技=烈空衝破星で決められれば理想的なんだけど、さすがにあたしが力を貸したところで魔王蛸(教軍が前回の戦いで切り札として投入した巨大刃獣)よりデカい相手をリフトするなんて到底ムリだろうから、ガートス軍団と合同での破壊光弾一斉発射あたりに落ち着くことになりそうね……!』
既にウォベル麾下の15機のガートスは数十体の仔ザヌザどもと凄まじい乱戦を展開中であったが、あくまでウビラス星心領出身の一般教民に過ぎぬ彼がラージャーラ屈指の戦闘機乗りとの評価を勝ち得、あまつさえその薫陶を受けた荒武者たちが吐き気を催すような奇怪な形状と鳴き声の空の妖怪群を前に一歩も退かぬどころか、むしろ圧倒している戦況を目の当たりにして萩邑りさらは舌を巻く思いだった。
今となっては初陣の新人二人を率いることでウォベルらとは大きく距離を隔てた戦場での完全別行動となったことにむしろ安堵しつつ、りさらは内心で独白する──
『(故・竹澤夏月)総隊長からも闘士団はヤバいってよく聞かされてたけど、これまで組む機会がなかったからどれほどのものなのか分からなかった──でもさすがに今は亡き“伝説の殺戮姫”を唸らせるだけのことはあったわね。
ハッキリ言って、前回共に戦ったルドストン凱鱗領のパイロットたちよりもウォベルたちの戦意と技量は数段上だわ……!
このままだと絆獣聖団は完全に傭兵部隊の後塵を拝することになってしまう──それだけは阻止しなければッ!!』
ただならぬ危機感に駆られ、激励するように両手を真悠花の肩に置いた特級操獣師は、
「さあッ、いよいよ戦闘開始よッ!
記念すべき初ターゲットは、群れからはぐれて一匹だけフラフラと漂ってるアイツで決まりねッ!
料理の仕方はあなたに任せるから、思ったとおりに攻めてみなさいッ!!」
と発破をかけるが、何故か聖団期待のホープからは反応が無い……。
「真悠…いいえ佐原操獣師、一体どうしたっていうの?
まさかまたまた臆病風に吹かれたんじゃないでしょうねッ!?
でも私は代わってあげられないわよ──少なくともアイツを撃破するまではねッ、さあ名誉ある操獣師らしくシャキッとしなさいッ!!」
次の刹那あたかも彫像のごとく固まっていた愛弟子が不意に振り返ったのであるが、その表情を一瞥した萩邑りさらは背中に氷水を浴びせられたかのような戦慄を味わった!
「真悠花……あなた、その眼……!
いいえ、あなたは真悠花じゃない──一体誰なのッ!?」
「ふふふ、さすがに余が依巫として選んだだけのことはある……相変わらず聡明で、そして美しいな、リサラよ……!」
むろんその声は可憐な少女のものではなく、中性的にして妖艶な、ただ一度だけ遭遇したあの仮面の超魔人のもの以外にありえなかった!
「か、鏡の教聖……ど、どうしてここに……そして真悠花に……!?」
旧式聖幻晶においては集中が高まるにつれて特級操獣師の肉体は眩いばかりの白光に包まれたものだったが、愛華領の紋章を象った新型が放射したのは神々しいまでの金色であり、それに感応したかのように真悠花のコバルト色の正方形聖幻晶も放光するが、あたかも大量の金粉を散らしたかのごとく2色が混然一体となっていた!
『やっぱりこの子、只者じゃないわね……ごく自然に他者の操獣波を自分のそれに融合させて、単独の場合より数倍強力な操獣力をいとも容易くゲットしちゃったみたい……!
まあ人によっては〈エネルギーヴァンパイア〉なんて悪しざまに腐すんだろうけど、一昔前のロンリーバトル時代ならともかくコラボ戦闘全盛の現在じゃ最も必要とされるサバイバル能力なのかも……。
それにもう一つ特筆すべきは、この凄まじいばかりの集中力──ついさっきまでベソかいてたのがマジで信じられないほど、アッという間にスーパーZ(zoneの略。絆獣との融魂度が最高レベルに達していることを意味する)に入ってる……その証拠に、全身を包む星辰体から青い焔がメラメラと燃え上がっちゃってるじゃない……!
でもこうなると話が変わってくるわね……少しでも豊富に実戦経験を積ませるためにもここは当面真悠花に任せて、あたしはイザという時の用心棒に回ることにしよう……』
こう決めたりさらは愛弟子にその旨を伝え、弓葉のメレゼスが金色の鬣をなびかせて神霊薬花園を駆け出すのを確認しつつ、ガートス用の臨時滑走路脇の大地から出撃した。
『接近中の巨大刃獣はスペンサーが総指揮を執る3機(CBK・星拳鬼會・皇帝狼所属)の強襲戦闘機が足止めしてくれるみたいだけど、皇帝狼機はチームリーダーのベルガーによる反逆罪の連帯責任で全員降ろされ、CBKと初搭乗の闘士団のハイブリッドメンバーで運用されてるから多くは望めない……あたしの勘だと多少損壊してようが愛華領までやって来るのは間違いないわッ!
もしそうなったら、気がかりだけどヴェセアムは真悠花に任せてあたしはレオーランに乗り移らなくちゃならなくなるはず……願わくばスペンサーたちができるだけ深いダメージを負わせておいてくれることを祈るばかりね。
そうなれば那崎を含めた三人で嵩にかかって攻め込むことであわよくば撃破できるかもしれない……!
もちろんフィニッシュは二人の合体技=烈空衝破星で決められれば理想的なんだけど、さすがにあたしが力を貸したところで魔王蛸(教軍が前回の戦いで切り札として投入した巨大刃獣)よりデカい相手をリフトするなんて到底ムリだろうから、ガートス軍団と合同での破壊光弾一斉発射あたりに落ち着くことになりそうね……!』
既にウォベル麾下の15機のガートスは数十体の仔ザヌザどもと凄まじい乱戦を展開中であったが、あくまでウビラス星心領出身の一般教民に過ぎぬ彼がラージャーラ屈指の戦闘機乗りとの評価を勝ち得、あまつさえその薫陶を受けた荒武者たちが吐き気を催すような奇怪な形状と鳴き声の空の妖怪群を前に一歩も退かぬどころか、むしろ圧倒している戦況を目の当たりにして萩邑りさらは舌を巻く思いだった。
今となっては初陣の新人二人を率いることでウォベルらとは大きく距離を隔てた戦場での完全別行動となったことにむしろ安堵しつつ、りさらは内心で独白する──
『(故・竹澤夏月)総隊長からも闘士団はヤバいってよく聞かされてたけど、これまで組む機会がなかったからどれほどのものなのか分からなかった──でもさすがに今は亡き“伝説の殺戮姫”を唸らせるだけのことはあったわね。
ハッキリ言って、前回共に戦ったルドストン凱鱗領のパイロットたちよりもウォベルたちの戦意と技量は数段上だわ……!
このままだと絆獣聖団は完全に傭兵部隊の後塵を拝することになってしまう──それだけは阻止しなければッ!!』
ただならぬ危機感に駆られ、激励するように両手を真悠花の肩に置いた特級操獣師は、
「さあッ、いよいよ戦闘開始よッ!
記念すべき初ターゲットは、群れからはぐれて一匹だけフラフラと漂ってるアイツで決まりねッ!
料理の仕方はあなたに任せるから、思ったとおりに攻めてみなさいッ!!」
と発破をかけるが、何故か聖団期待のホープからは反応が無い……。
「真悠…いいえ佐原操獣師、一体どうしたっていうの?
まさかまたまた臆病風に吹かれたんじゃないでしょうねッ!?
でも私は代わってあげられないわよ──少なくともアイツを撃破するまではねッ、さあ名誉ある操獣師らしくシャキッとしなさいッ!!」
次の刹那あたかも彫像のごとく固まっていた愛弟子が不意に振り返ったのであるが、その表情を一瞥した萩邑りさらは背中に氷水を浴びせられたかのような戦慄を味わった!
「真悠花……あなた、その眼……!
いいえ、あなたは真悠花じゃない──一体誰なのッ!?」
「ふふふ、さすがに余が依巫として選んだだけのことはある……相変わらず聡明で、そして美しいな、リサラよ……!」
むろんその声は可憐な少女のものではなく、中性的にして妖艶な、ただ一度だけ遭遇したあの仮面の超魔人のもの以外にありえなかった!
「か、鏡の教聖……ど、どうしてここに……そして真悠花に……!?」
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