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警告
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翌日、上がり口で私を呼ぶ声がするので出てみると、隠居が、役人を連れて来ていた。
「お前さん、何だか悪い噂を聞いてねえ」
隠居は、言いにくそうに、切り出した。
「お前さんのところには、子どもがいるね?」
「ええ、預かり子ですが」
「あんまり変なことをしてくれちゃ、困るよ」
「何のことですか」
「何だか川原で村の子どもらと悪い遊びをしているそうじゃないか」
「それは、私の監督不行き届きで、相すみませんが、藤松が悪いわけではないのです」
私は強く言ったが、そのことには大して取り合わずに、隠居は続けた。
「藤松というのかい。そうそう、夕べはばかに派手な着物で町から帰ってきたというじゃないか」
もう、そんなことまで伝わっているのか。
「あんた、子どもは大人のまねをすると言うよ。自分の行いも、も少し気をつけるがいい」
私は、恥じ入った。昨夜のことが知れているのでなければいいが、と思った。
「ただでさえ、あんたは気をつけねばならない身の上じゃないか、お前さんの親御様から、随分気をつけるように言われているんだよ」
勘当しておいて口だけ出すというのか。私は正座したももの上のこぶしを握りしめた。
「まあ、あんたも、自分でわかっていなさると思うから、くどくは言わないけれども、重々気をつけておくれよ」
隠居は言った。その後、役人が、私にいくつか質問し、何か帳面に書きつけると、二人は帰っていった。
私が溜息をついていると、藤松が側に来た。
「ああ、お前、咲之助さんのところへ行きたいかい。昨夜、咲之助が来て、そのことを言ってねえ」
私は藤松に尋ねた。
「磯松のところに行きたい」
「ああ、そうかい」
私は再び溜息をついた。
「やっぱりお前を、行かせねばならないのかねえ」
藤松は目をぱちぱちとさせた。
「ああ、お前がいなくなったらどんなに寂しいだろうか、今から思うだけで胸がはりさけそうだよ」
私が腰をかがめ藤松の肩に手をかけて言うと
「うん。でも、休みのときには帰ってくるから。それに夏さんには咲之助さんが会いに来てくれるだろうよ」
藤松の大人びたなぐさめに、
「こらこら、咲之助はそう来られやしないだろうよ」
私は返答に困りながら言った。
「大丈夫だよ、昨夜だって来てくれたんだし」
はて、藤松は眠っていたのではなかったか。
藤松は、
「ああ、僕も早くまた磯松に会いたいなあ」
などと、いっぱしな大人のような口をきくのだった。
「お前さん、何だか悪い噂を聞いてねえ」
隠居は、言いにくそうに、切り出した。
「お前さんのところには、子どもがいるね?」
「ええ、預かり子ですが」
「あんまり変なことをしてくれちゃ、困るよ」
「何のことですか」
「何だか川原で村の子どもらと悪い遊びをしているそうじゃないか」
「それは、私の監督不行き届きで、相すみませんが、藤松が悪いわけではないのです」
私は強く言ったが、そのことには大して取り合わずに、隠居は続けた。
「藤松というのかい。そうそう、夕べはばかに派手な着物で町から帰ってきたというじゃないか」
もう、そんなことまで伝わっているのか。
「あんた、子どもは大人のまねをすると言うよ。自分の行いも、も少し気をつけるがいい」
私は、恥じ入った。昨夜のことが知れているのでなければいいが、と思った。
「ただでさえ、あんたは気をつけねばならない身の上じゃないか、お前さんの親御様から、随分気をつけるように言われているんだよ」
勘当しておいて口だけ出すというのか。私は正座したももの上のこぶしを握りしめた。
「まあ、あんたも、自分でわかっていなさると思うから、くどくは言わないけれども、重々気をつけておくれよ」
隠居は言った。その後、役人が、私にいくつか質問し、何か帳面に書きつけると、二人は帰っていった。
私が溜息をついていると、藤松が側に来た。
「ああ、お前、咲之助さんのところへ行きたいかい。昨夜、咲之助が来て、そのことを言ってねえ」
私は藤松に尋ねた。
「磯松のところに行きたい」
「ああ、そうかい」
私は再び溜息をついた。
「やっぱりお前を、行かせねばならないのかねえ」
藤松は目をぱちぱちとさせた。
「ああ、お前がいなくなったらどんなに寂しいだろうか、今から思うだけで胸がはりさけそうだよ」
私が腰をかがめ藤松の肩に手をかけて言うと
「うん。でも、休みのときには帰ってくるから。それに夏さんには咲之助さんが会いに来てくれるだろうよ」
藤松の大人びたなぐさめに、
「こらこら、咲之助はそう来られやしないだろうよ」
私は返答に困りながら言った。
「大丈夫だよ、昨夜だって来てくれたんだし」
はて、藤松は眠っていたのではなかったか。
藤松は、
「ああ、僕も早くまた磯松に会いたいなあ」
などと、いっぱしな大人のような口をきくのだった。
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