【完結】竜王陛下に囁かれて、異世界で恋人契約結ばれました。~元社畜秘書、今では夜の寵愛係!?~

リリーブルー

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5.暴かれる感情と、番の証明

律の体内に宿る“感応系魔力”――
それは、竜王ゼルの魔力に共鳴するように、日ごとにその精度と影響力を増していた。

他者の感情を“読む”だけでなく、
時には感情そのものに引きずられ、意識を攫われることすらある。

(嬉しさや悲しさが、波のように……僕の中に流れ込んでくる)

律は、日中の任務のなかで幾度もそう感じるようになっていた。

そしてついに、その“感応”が暴走を起こす。





魔導学術院の地下区画。
魔力流通装置を検査していた律は、ふと胸の奥が軋むような痛みに襲われた。

「これは……この部屋の、魔力?」

「律殿、離れて。空気が異常に濁っています」

カイの声が飛ぶが、遅かった。
律の意識は、魔力の流れに飲み込まれ、ひときわ強い“負の想念”を拾ってしまう。

「……こんなものに、命を吸い上げられて……竜王に使われるために、生きてるんじゃない……!」

それは、魔導学術院に潜伏する“反竜派”のひとりが、制御装置に残した呪詛。
律は、その想念と“感情的に同調”してしまったのだ。

「僕だって、使い捨てられてた……社畜で、価値なんかなくて……!
 だから、あの人に選ばれたって、信じられない――っ!」

律の目から涙があふれ、膝が崩れる。
強まる負の波動。空間が揺らぎ、魔力の流れが逆流する。

「だめだ……このままじゃ、暴走する……!」

カイが結界を張ろうとするが、その一歩手前で――

「……律」

重厚な扉を打ち破って、ゼルが現れた。

「律、お前は……我を信じられないのか?」

その声に、律の身体がわずかに震える。

「……信じたい……でも、怖いんだ。
 あなたの“番”って言われても……僕なんか、本当にふさわしいのか、って……」

ゼルはゆっくりと、暴走する魔力の渦の中に踏み込む。

そして――

「ならば、信じるまで抱きしめる」

ずぶ濡れの魔力の中、ゼルは律を強く抱きしめた。

その腕の中で、律の感応魔力が静かに収束していく。

「お前は……自分を捨ててでも、人を想える。
 その優しさが、痛みが、我にとっての“救い”なんだ。
 他の誰でもない――律、お前だから、我は“番”として選んだ」

(ほんとうに、選ばれたんだ……ちゃんと、僕が)

ゼルの言葉が、魔力よりも強く、律の核に染み渡る。

ゆっくりと、感情の波が凪いでいく。
魔力が沈静化し、空間の乱れが止まった。

――静寂。

律は、ゼルの胸に顔を埋めながら、絞るように囁いた。

「……ごめん。怖かった。でも……やっぱり、あなたの隣にいたい。
 今度こそ、ちゃんと“番”として……愛されたい」

「……番として、愛する。何度でも誓う。
 だがそれ以上に――“律”という名の男を、我は愛している」

その夜、律はゼルの部屋で、ゆっくりと抱かれた。
快楽ではなく、愛の温度で。

「ん……ゼルさん……あ、そこ……っ、好き……」

「可愛い声を出す。……“番”としてではなく、“恋人”として、もっと甘やかしてやろう」

「んっ、あ……だめ、そんな奥……!」

快感の奥にある、幸福の震え。
ふたりの絆は、“魔力”ではなく“想い”で結び直された。





翌日、王城。

「竜王陛下とその番、瀬名律殿の絆は――揺るぎなし。
 今後、我々は“ふたりの在り方”を尊重することとする」

王宮の正式な布告が発表された。

カイ・ルグランはそれを聞きながら、小さく微笑んだ。

「ようやく、“番”の意味が定まったか……。
 あの方は、確かに――陛下に必要な“光”だ」

---

 🐉次章予告:第六章「光の中の影、再び交差する運命」

ゼルとの絆が深まり、王宮内での信頼を得た律。
だがその直後、“律の前世”に関わる謎が浮上する。
律が竜王の番となった本当の理由。そして、竜王と律が“出会うべきだった運命”の真実が、ゆっくりと明かされていく――

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