潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第十六章

トモ 10

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「トモさんみたいに、年上の人が、俺にそんなに夢中になるなんて」

潤は、そのことに、驚いていた。

叔父様や、譲も、潤に夢中なんだろうか?

そんな風には、見えなかった。

トモのように、苦しんでいるようには見えなかった。

叔父様や譲は、けして、自分の弱みを人に見せない。

「驚くよね?  気持ち悪いよね。だから……」

「ううん、そうじゃなくて」

潤は、あわててさえぎった。

「昴……兄さんや、……他の人は、そんな風に、言ってくれないから」

「そんな風にって?」

「正直に、自分の弱みを、見せてくれるというか」

「弱み……?」

「人を好きになるって、弱みじゃないですか?」

潤は聞いた。

「そうかもしれない……」

「だから、トモさんも、俺に、隠してたんでしょ?」

「そうかも……」

トモは、もう一度、潤の身体を抱きしめた。

「ごめん、こんな風に抱きしめてしまったら、きりがないよね?  毎回、今回限りにしようって思うから、次に会う約束もしないのに」

「そうだったんですか」

トモの体温が心地よかった。

「ずっと、こうして、トモさんの声を聞きながら、抱きしめられていたい」

潤は言った。

トモは、潤を強く抱きしめた。

トモは、潤にキスをしてきた。

「だめだね、こんな、キスなんかしたら、また」
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