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第三章
潤校長 12 ※
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「ちょっと」
潤が答えた。
「大丈夫ですよ。鍵はしまっているし。窓の外にも誰もいない」
「薔薇が植えてあるから人は近寄れない」
「ああ、薔薇。あの日の窓辺にも、薔薇が咲いていましたね」
潤の脳裏に、子ども部屋の窓辺に揺れていた赤い薔薇が鮮やかに蘇った。
忘れていた情熱。
そうだった、それで窓辺に薔薇を。
無意識に自分は、あの時のことを。
忘れようとしても忘れられない愛の記憶が潤の情熱を呼び覚ました。
あの時、確かに、瑤のことを愛していたのだ。
前後不覚の欲望に目が眩みながらも、確かに。
「突いてくれ」
「はい」
愛しているからといって、同性愛行為は許されなかったが、今は、官能に身を委ねていたい。
「少し、入りました。痛いですか?」
「うん、少し」
「私も……。もうちょっと力を抜いてくれませんか?」
「無理だ、これ以上」
「ええと、罪悪感を感じているんじゃないですか? こういったところに長く勤めていらっしゃるから。でも、今は、立場を離れて、私と楽しんでください」
「そうしたいのだけど、うまくできない」
「大丈夫ですよ。あんなに幼い時だって、貴方は、無知な少年の私を上手く誘導してくれたじゃないですか」
「あの時の自分は、間違いだったから」
潤が答えた。
「大丈夫ですよ。鍵はしまっているし。窓の外にも誰もいない」
「薔薇が植えてあるから人は近寄れない」
「ああ、薔薇。あの日の窓辺にも、薔薇が咲いていましたね」
潤の脳裏に、子ども部屋の窓辺に揺れていた赤い薔薇が鮮やかに蘇った。
忘れていた情熱。
そうだった、それで窓辺に薔薇を。
無意識に自分は、あの時のことを。
忘れようとしても忘れられない愛の記憶が潤の情熱を呼び覚ました。
あの時、確かに、瑤のことを愛していたのだ。
前後不覚の欲望に目が眩みながらも、確かに。
「突いてくれ」
「はい」
愛しているからといって、同性愛行為は許されなかったが、今は、官能に身を委ねていたい。
「少し、入りました。痛いですか?」
「うん、少し」
「私も……。もうちょっと力を抜いてくれませんか?」
「無理だ、これ以上」
「ええと、罪悪感を感じているんじゃないですか? こういったところに長く勤めていらっしゃるから。でも、今は、立場を離れて、私と楽しんでください」
「そうしたいのだけど、うまくできない」
「大丈夫ですよ。あんなに幼い時だって、貴方は、無知な少年の私を上手く誘導してくれたじゃないですか」
「あの時の自分は、間違いだったから」
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