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合宿初日。
森に到着した私たちは、早速宿泊施設に荷物を預けた。学校が管理している上、貴族の子供を泊まらせる前提なだけあって、高級ホテルとあまり変わらない。だが一歩外に出れば、鬱蒼とした森が広がっているのである。
一日目は学科合同での課外学習となる。
男女混合の五人一組で班に分かれ、森の中でご飯を作る。材料や必要な道具は一式最高級の物が揃えられているが、作り方などのヒントはなしだ。
ちなみに当然ながら、普通の貴族は料理なんてやったことがない。
課外学習を呑気に構えていたみんなは大慌てだ。
私は前世で少しは料理をしていた。遠い昔のことなので美味しい物が作れる保証はないが、ひとまず食べられる物にはありつけるだろう。
「料理は失敗しても大丈夫ですよ。この施設の周囲一キロメートルほどを白い塀で囲んでいます。その中に、渡した材料で作れるものには及びませんが、お腹を満たせる簡単なパンなどを隠しています。ただ、見つけるのは少し難しいかもしれませんね。キノコや野草を探してもいいでしょう。毒物はあらかじめないように管理しチェックしていますし、図鑑も貸し出します。不安なら聞いてくれれば鑑定いたしましょう」
なるほど。自然でいっぱいではあるが、塀の中は手の加えられた自然らしい。
「自信のある生徒は塀の中に放っている小動物を狩っても構いません。その場合、調理が難しい生徒はこちらで対応するので声をかけてください」
思ったよりも面白そうだ。班ごとに特色が出るだろう。
配られた材料を見る。
人参、ジャガイモ……野菜が中心だ。
どれも高級品なので、大きめに切って水と塩胡椒で煮るだけもそれなりに美味しいだろう。包丁や火を使ったことのない貴族にとってはハードルが高いだろうが。
「怪我や火事にはくれぐれも気をつけてくださいね。それでは、自由に班を組んでください」
サリーとコニーがささっと私の隣に並ぶ。
まあ、わかっていたがここは固定だろう。男女混合班と指定があったので、あとは男子を入れるべきだ。
「取り巻きの男子から選んでもいいんですが、フェリシア様とお近づきになりたいと変なことをしでかすかもしれませんし……」
「難しいところですね。信頼できる殿方がいれば……」
班のことは二人に任せることにして、私は周りを見渡した。合宿は学年ごとなので、クラスの垣根を越えて班を組む人もいるみたいだ。
特に、今回は領地が田舎にある貴族や、爵位が高くなく、家事にも多少馴染みのある零細貴族の取り合いになっている様子だった。
となれば。
「そう言えば、ライナスは料理できるの?」
「ん? まあ、できなくはないと思うぞ。俺、孤児院にいた時は結構キッチンに立ってたからな。ユーリはできるのか?」
「ライナスほどじゃないけど、趣味で少し。オレたちの班は料理でも良さそうだな」
ライナスとユーリの穏やかな会話。
だが、その周りにいた生徒、特に料理に自信のない女子生徒の顔つきが一変した。
当然だ。誰だってパンを探し回ったり野草やキノコを取るんじゃなくて、あたたかい料理を食べたい。それもイケメンの作った料理なら最高だ。
ライナスはまだぼんやりしているが、いち早く女子生徒に囲まれていることに気づいたユーリは大慌てで逃げ場を探し始めた。
「あの、二人ともよかったら……」
「ちょっと、わたしたちが先よ」
「こうなったら一人ずつ分け合うのはどう?」
哀れ。合宿早々彼らのサバイバルが始まってしまったらしい。
分け合うってなんだ。
と、思っていられたのも束の間だった。
可哀想にと思っていた私をユーリが見つけてしまう。ばちっと視線が合った。
あ。嫌な予感がする。
ユーリはライナスの腕を引いて、どんどんとこちらに歩いてきた。
「やあ。フェリシアさん。まだ班が決まってないんだったら、一緒にどうかな? ほら、同じサロンのよしみでさ。折角だし親睦を深めようじゃないか」
そんなにあの女子生徒たちの圧力が怖かったんだろうか。
逃げ込む先としては、私以上の場所などないんだろうけど。
「私は構わないわ。二人は………」
「フェリシア様がいいのなら」
「右に同じく」
双子は警戒するようにユーリとライナスを見つめている。
まあ、双子も彼らも根は優しいので問題にはならないだろう。
森に到着した私たちは、早速宿泊施設に荷物を預けた。学校が管理している上、貴族の子供を泊まらせる前提なだけあって、高級ホテルとあまり変わらない。だが一歩外に出れば、鬱蒼とした森が広がっているのである。
一日目は学科合同での課外学習となる。
男女混合の五人一組で班に分かれ、森の中でご飯を作る。材料や必要な道具は一式最高級の物が揃えられているが、作り方などのヒントはなしだ。
ちなみに当然ながら、普通の貴族は料理なんてやったことがない。
課外学習を呑気に構えていたみんなは大慌てだ。
私は前世で少しは料理をしていた。遠い昔のことなので美味しい物が作れる保証はないが、ひとまず食べられる物にはありつけるだろう。
「料理は失敗しても大丈夫ですよ。この施設の周囲一キロメートルほどを白い塀で囲んでいます。その中に、渡した材料で作れるものには及びませんが、お腹を満たせる簡単なパンなどを隠しています。ただ、見つけるのは少し難しいかもしれませんね。キノコや野草を探してもいいでしょう。毒物はあらかじめないように管理しチェックしていますし、図鑑も貸し出します。不安なら聞いてくれれば鑑定いたしましょう」
なるほど。自然でいっぱいではあるが、塀の中は手の加えられた自然らしい。
「自信のある生徒は塀の中に放っている小動物を狩っても構いません。その場合、調理が難しい生徒はこちらで対応するので声をかけてください」
思ったよりも面白そうだ。班ごとに特色が出るだろう。
配られた材料を見る。
人参、ジャガイモ……野菜が中心だ。
どれも高級品なので、大きめに切って水と塩胡椒で煮るだけもそれなりに美味しいだろう。包丁や火を使ったことのない貴族にとってはハードルが高いだろうが。
「怪我や火事にはくれぐれも気をつけてくださいね。それでは、自由に班を組んでください」
サリーとコニーがささっと私の隣に並ぶ。
まあ、わかっていたがここは固定だろう。男女混合班と指定があったので、あとは男子を入れるべきだ。
「取り巻きの男子から選んでもいいんですが、フェリシア様とお近づきになりたいと変なことをしでかすかもしれませんし……」
「難しいところですね。信頼できる殿方がいれば……」
班のことは二人に任せることにして、私は周りを見渡した。合宿は学年ごとなので、クラスの垣根を越えて班を組む人もいるみたいだ。
特に、今回は領地が田舎にある貴族や、爵位が高くなく、家事にも多少馴染みのある零細貴族の取り合いになっている様子だった。
となれば。
「そう言えば、ライナスは料理できるの?」
「ん? まあ、できなくはないと思うぞ。俺、孤児院にいた時は結構キッチンに立ってたからな。ユーリはできるのか?」
「ライナスほどじゃないけど、趣味で少し。オレたちの班は料理でも良さそうだな」
ライナスとユーリの穏やかな会話。
だが、その周りにいた生徒、特に料理に自信のない女子生徒の顔つきが一変した。
当然だ。誰だってパンを探し回ったり野草やキノコを取るんじゃなくて、あたたかい料理を食べたい。それもイケメンの作った料理なら最高だ。
ライナスはまだぼんやりしているが、いち早く女子生徒に囲まれていることに気づいたユーリは大慌てで逃げ場を探し始めた。
「あの、二人ともよかったら……」
「ちょっと、わたしたちが先よ」
「こうなったら一人ずつ分け合うのはどう?」
哀れ。合宿早々彼らのサバイバルが始まってしまったらしい。
分け合うってなんだ。
と、思っていられたのも束の間だった。
可哀想にと思っていた私をユーリが見つけてしまう。ばちっと視線が合った。
あ。嫌な予感がする。
ユーリはライナスの腕を引いて、どんどんとこちらに歩いてきた。
「やあ。フェリシアさん。まだ班が決まってないんだったら、一緒にどうかな? ほら、同じサロンのよしみでさ。折角だし親睦を深めようじゃないか」
そんなにあの女子生徒たちの圧力が怖かったんだろうか。
逃げ込む先としては、私以上の場所などないんだろうけど。
「私は構わないわ。二人は………」
「フェリシア様がいいのなら」
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