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スライムも積もれば魔王になる(かもしれない)
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スライム(おそらく女)とスライム(もしかしたら男)の間に、一匹のスライムがうまれた。
「お母さんお父さん、じゃあまず僕の名前を考えよう!なにがいいと思う?やはりこの天才的な僕に相応しい名前をつけるべきだと思うよね?となると、」
「うっさいわ黙れボケ」
「母さん、あまり怒っちゃだめだよぉ~のんびりまったりしようねぇ~」
そんな号泣必須な超感動的な家族トークが行われたあと、なんだかんだあってそいつの名前は『アカ』になった。なぜかというと、生まれたてのこのスライムは赤色だったからである。
青色が多いスライムの中では珍しい。
というか、見たことない。
ちなみに、名付け親は本人である。
壊滅的にネーミングセンスがなかったので、シンプルなものになったのだ。
まぁそんなこんなでアカはさっそく、『じんせいけーかく』……じゃなくて『すらいむせいけーかく』をたてることにした。
「ふ~ん、アカはちゃんと将来の夢を考えてるんだね~」
生まれて一時間後に将来について考えるスライム。
人間におきかえるとすさまじい成長速度である。というか、赤ちゃんが将来について真面目に考えるという図もなかなかシュールなものだ。
まぁそもそも、生まれて五秒でナルシストに目覚めたアカにしてみれば、当然のことかもしれなかったが。というか、すぐ喋った。人間なら天才どころの話ではない。
「決めた。僕は魔王になる!」
お父様は悟りました。
我が息子は、ちょっと阿呆だと。
「アカ、魔王というのは、魔物たちを統べる存在だぞ?スライムみたいな~極弱種族には~無理だよぉ~」
「お父さん……僕たちは極弱じゃないっ、みんなが極強なんだっ」
お父様は悟りました。
我が息子は阿呆だと。
「他にも目標ならあるだろう~?」
「ああ!勿論っ!まずは、美少女ハーレムつくって、レベルをMAXまであげてー」
お父様は悟りました。
我が息子はど阿呆だと。
「そ、そっか。じゃあ~頑張ってね~(これは関わらないほうがいい。そっとしておこう)」
父親の激励に感動した息子は、決意しました!
モンスターや人間とどんどん戦ってレベル上げーーは怖いから嫌だ。
ひたすら修練を積むーーは面倒くさいから嫌だ。
ふむ。
「自力では無理だな。こういうときのためにこの言葉がある……『他力本願』!」
なんとこのスライム、生まれて五秒でナルシストに目覚めたというのに、生まれて一時間三十分でなんとクズにも目覚めたらしい。すさまじい成長速度だ。
この調子でいけば全生き物がこいつを嫌いになるのも夢じゃない。
そこでまずは、アカは頼みの綱である赤の他人を頼った。
「そこの君!」
哀れ、運悪くそこらへんを通りかかったスライム。
「僕は魔王になろうと思うんだが、そのためには君の協力が必要不可欠なんだっ!」
「わかりました。とりあえず警察に通報します」
「ちょっと待ったあああ!ほら、スライム一体一体の力は弱いよ。でもさ、みんなで力を合わせればなんでもできると思わないか?」
「そしてみんなで魔王になるんですか?」
……。
「こほん、みんなでひとつになればいいんだ!」
とりあえずカッコいい言葉を並べることにしたアカ。
だがしかし、アカのせいでカッコいい言葉がどんどんうすっぺらく聞こえるようになってしまう。
「あの、いい精神科を知ってますが」
この通りすがりのスライム、なんだかんだで親切だ。
「ちがーうっ……ん?みんなでひとつに……そうだ、みんなでひとつになればいいんだっ!」
いきなりひらめいた!
だがめいあんはめいあんでも名案ではなく迷案。
「ほら、なんかスライムって合体しそうな感じじゃん?ぽよぽよしてて。合体したら強くなんじゃね?」
でました単細胞。
「は?なにこっちにじりよってんの?って、ちょっと!?」
「いえーい」
すごい勢いでぶつかる二体のスライム。
どーーーーーーーーーーんっ。
「おっ、この感じ!」
それは、ど阿呆だからこそ起こせた、単細胞だからこそ起こせた奇跡。
そしてスライムは合体を重ね、色々あったがなんと、今は魔王の椅子に座っている。
残忍であり、極悪非道なこの魔王。
その通り名はーー『デブ王』
スライム独特のぷるぷるした感じがやはりそのような悲劇をまねいてしまったのだろうか。
「こんなはずじゃ、なかったーーーーーーーーっ」
今日も空は青かった。
「お母さんお父さん、じゃあまず僕の名前を考えよう!なにがいいと思う?やはりこの天才的な僕に相応しい名前をつけるべきだと思うよね?となると、」
「うっさいわ黙れボケ」
「母さん、あまり怒っちゃだめだよぉ~のんびりまったりしようねぇ~」
そんな号泣必須な超感動的な家族トークが行われたあと、なんだかんだあってそいつの名前は『アカ』になった。なぜかというと、生まれたてのこのスライムは赤色だったからである。
青色が多いスライムの中では珍しい。
というか、見たことない。
ちなみに、名付け親は本人である。
壊滅的にネーミングセンスがなかったので、シンプルなものになったのだ。
まぁそんなこんなでアカはさっそく、『じんせいけーかく』……じゃなくて『すらいむせいけーかく』をたてることにした。
「ふ~ん、アカはちゃんと将来の夢を考えてるんだね~」
生まれて一時間後に将来について考えるスライム。
人間におきかえるとすさまじい成長速度である。というか、赤ちゃんが将来について真面目に考えるという図もなかなかシュールなものだ。
まぁそもそも、生まれて五秒でナルシストに目覚めたアカにしてみれば、当然のことかもしれなかったが。というか、すぐ喋った。人間なら天才どころの話ではない。
「決めた。僕は魔王になる!」
お父様は悟りました。
我が息子は、ちょっと阿呆だと。
「アカ、魔王というのは、魔物たちを統べる存在だぞ?スライムみたいな~極弱種族には~無理だよぉ~」
「お父さん……僕たちは極弱じゃないっ、みんなが極強なんだっ」
お父様は悟りました。
我が息子は阿呆だと。
「他にも目標ならあるだろう~?」
「ああ!勿論っ!まずは、美少女ハーレムつくって、レベルをMAXまであげてー」
お父様は悟りました。
我が息子はど阿呆だと。
「そ、そっか。じゃあ~頑張ってね~(これは関わらないほうがいい。そっとしておこう)」
父親の激励に感動した息子は、決意しました!
モンスターや人間とどんどん戦ってレベル上げーーは怖いから嫌だ。
ひたすら修練を積むーーは面倒くさいから嫌だ。
ふむ。
「自力では無理だな。こういうときのためにこの言葉がある……『他力本願』!」
なんとこのスライム、生まれて五秒でナルシストに目覚めたというのに、生まれて一時間三十分でなんとクズにも目覚めたらしい。すさまじい成長速度だ。
この調子でいけば全生き物がこいつを嫌いになるのも夢じゃない。
そこでまずは、アカは頼みの綱である赤の他人を頼った。
「そこの君!」
哀れ、運悪くそこらへんを通りかかったスライム。
「僕は魔王になろうと思うんだが、そのためには君の協力が必要不可欠なんだっ!」
「わかりました。とりあえず警察に通報します」
「ちょっと待ったあああ!ほら、スライム一体一体の力は弱いよ。でもさ、みんなで力を合わせればなんでもできると思わないか?」
「そしてみんなで魔王になるんですか?」
……。
「こほん、みんなでひとつになればいいんだ!」
とりあえずカッコいい言葉を並べることにしたアカ。
だがしかし、アカのせいでカッコいい言葉がどんどんうすっぺらく聞こえるようになってしまう。
「あの、いい精神科を知ってますが」
この通りすがりのスライム、なんだかんだで親切だ。
「ちがーうっ……ん?みんなでひとつに……そうだ、みんなでひとつになればいいんだっ!」
いきなりひらめいた!
だがめいあんはめいあんでも名案ではなく迷案。
「ほら、なんかスライムって合体しそうな感じじゃん?ぽよぽよしてて。合体したら強くなんじゃね?」
でました単細胞。
「は?なにこっちにじりよってんの?って、ちょっと!?」
「いえーい」
すごい勢いでぶつかる二体のスライム。
どーーーーーーーーーーんっ。
「おっ、この感じ!」
それは、ど阿呆だからこそ起こせた、単細胞だからこそ起こせた奇跡。
そしてスライムは合体を重ね、色々あったがなんと、今は魔王の椅子に座っている。
残忍であり、極悪非道なこの魔王。
その通り名はーー『デブ王』
スライム独特のぷるぷるした感じがやはりそのような悲劇をまねいてしまったのだろうか。
「こんなはずじゃ、なかったーーーーーーーーっ」
今日も空は青かった。
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