シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進

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第19話 異世界の勇者な妹

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「ええっーー!? あ、あたしがその、世界を救う勇者なの!? …お、お兄…あたし、どうしたら…いいの?」

 優羽花(ゆうか)は心底困った顔で俺を見た。
 俺もすごく驚いている。だが妹がどんな存在になったとしても、兄である俺がすることは変わらない。

「大丈夫だ、俺がいつも側に居る!優羽花は俺が護る!」

「…あたし、大魔王とかいう凄いのと戦わないといけないみたいなんだけど。お兄、大丈夫なの? …それでも、あたしのこと、護ってくれるの?」

「あの紅い夕日の時に誓ったろ? 兄に二言は無い、任せろ!」

「…うん。ありがと、お兄」

 優羽花は頬を赤らめながら俺に感謝の言葉を述べた。
 ははっ、何を今更…水臭いぞ我が愛しい妹よ。兄は妹を護って当然なのだから。


「”オートモード”解除。おにいちゃん、ゆうか、オートのわたしからのせつめい、わかった?」

「…ああ、まあな。とりあえずはありがとうな、光の精霊」
 
 光の精霊の雰囲気が戻り、口調も先ほどのはっきりした物言いとはまるで別人のたどたどしいものに戻った。
 もしかすると二重人格とかなんだろうか? これは精霊の世界では常識なのか?
 俺は疑問に思いながらも真っ白な幼い少女の頭を撫でてお礼を述べた。

「んー、おにいちゃんがよろんでくれたらわたしもうれしい」

そう言って光の精霊は笑った。それは見た目通りの子供らしい笑顔だった。

「ええと…光の精霊、俺たちと一緒に来ないか?
こんなところに一人でいたら寂しいだろう?」

 俺は思い切って彼女に提案してみた.
 最初に彼女に裾を掴まれたとき、この子は人恋しいんじゃないかという直感があったのだ。
 優羽花がまだ幼い時、何かあれば俺の裾を掴んでいた時と同じ感覚がした。
 俺はその思いのままに聞いてみた。

「わたしはここにいるようにいわれている、だからいけない」

「そっか…」

 なら仕方が無いか、無理強いは出来ないしな。

「ごめんな変なこと言って。それじゃ、元気でな」

 俺は光の精霊の頭をもう一度撫でると手を振ってこの広間を後にした。

「元気でねー」

 優羽花も手を振って名残惜しそうに見送った。



「…おにいちゃん…」

 ひとり大広間に残された幼い少女が漏らした言葉は誰にも聞こえることは無かった。




 俺と優羽花(ゆうか)は光の精霊に別れの挨拶をしたあと広間を後にして、長い廊下を歩いて、そして神殿の入り口を出た。
 その瞬間、入り口は硬い扉に閉ざされた。
 なるほど、一回限りしか入れない神殿ということか。

「待っていたぞ異世界の者達。
この神殿は光の力に護られている為、我等魔族では中に入ることは敵わぬ。
故にここで待ち伏せさせて貰った。」

 聞いたことのない声が俺たちに話しかけてきた。
 その方向を見やれば全身西洋風の漆黒の鎧に身を包んだ一人の男。
 その端正な顔はよく切れる刃物を連想させた。

「我は魔騎士ディラム、大魔王様直属の魔界五軍将の一人、魔竜将ガルヴァーヴ様の副官を務める者。
ガルヴァーヴ様は今迄に無い大きな異世界召喚の波動を感じ、召喚された異世界人の抹殺をご命令になった。
強大な魔力を持った魔界五軍将は精霊達が魔界と人間界の境に作った強力な結界を抜けられぬ。
だが魔力が小さければ結界の隙間を通り抜けることが出来る。
我は今の結界の隙間を抜けられる魔族の中では最強とのお墨付きをガルヴァーヴ様より頂いている。
貴様たちに特に恨みは無いが…ここで死んで貰おう」
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