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第68話 心を冷やせ
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『地ノ宮流気士術(ちのみやりゅうきしじゅつ)・二の型、飛燕(ひえん)・改』で謁見の間の遥か上空(そら)へ跳び上がった俺は空中でくるりと身体を回転させた。
この技は緊急回避技であるが故に、態勢の悪い状態で技を行使したあとは急ぎ身体の姿勢を調整をしなければ着地に失敗しダメージを受ける可能性があるからだ。
よし、身体の姿勢調整完了。俺は謁見の間の床に難なくすたりと着地してみせた。
「兄君様(あにぎみさま)!? 急にどうしたんだい?」
ミリィが目を丸くして俺の突然の跳躍を問いかける。
確かに何の前触れもなく天井近くまで高く跳んだらおかしいと思うのは当然だ。
「なあに、ちょっと慣れない椅子に座っていたら身体が固まって来たので軽く跳び上がってほぐしただけさ」
俺は平静を装った表情と声で何もおかしいことは無いと言いきってミリィに問いかけを返した。
「そ、そうなんだ…?」
ミリィは何か腑に落ちない声を出しながら納得してくれた様だ、何よりである。
「お兄様! 確かに”すごく硬いもの”がポーラの身体に触れましたわ! そんなに身体を硬くされて大丈夫なのですか?」
うわああああああああ!
言わないでえええええ!
ポーラ姫の身体に触れないように注意を払って飛んだ筈なのにいいいい!
しっかり俺の分身が当たってましたかああああ!
だが俺は心中の動揺を隠して平静な顔のまま口を開く。
「心配してくれてありがとうポーラ、だがもうすっかり身体はほぐれた。問題は無いさ」
すみません嘘付きましたあああ!
俺は彼女たちに背を向けたまま顔だけそちらに向けて話してますけど、身体自体はそちらを向けませえええん!
はやく落ち着け、俺の分身、はやく忘れるんだ、ポーラ姫の感触を…。
ああっ思い出したらまた…俺は『地ノ宮流気士術・四の型、瞑想(めいそう)』を行使する! 心を冷やせ…。
そんな俺に姫騎士団(プリンセスナイツ)の団長であるシノブさんが近づいてきて小声で俺にささやいた。
「…申し訳ありませんケイガ兄様。私としたことが兄様が”男性”であられることをすっかり失念しておりました。
これからはなるべくこうならない様に、姫様にはそれとなくおっしゃっておきます故、どうかご容赦下さい」
ば、ばれてるうううう!
しかし俺はなるべく心中の動揺を悟られないように平静のままの表情で言葉を返した。
「ありがとう、シノブさん。お願いするよ」
実際そうして頂けると助かります。
ポーラ姫は実際に俺の兄の尊厳を幾度となく脅かして来たとてつもなく危険な妹なのである。
今回も滅茶苦茶危なかった…まさに紙一重の戦いであった。
だが今回も俺は彼女に何とか勝利することが出来たのである。
俺は胸を撫でおろし安堵した。
ぐううううううううう
突如、謁見の間に大きな異音が響き渡った。
気が抜けて思いっきり鳴った俺の空腹の音である。
この技は緊急回避技であるが故に、態勢の悪い状態で技を行使したあとは急ぎ身体の姿勢を調整をしなければ着地に失敗しダメージを受ける可能性があるからだ。
よし、身体の姿勢調整完了。俺は謁見の間の床に難なくすたりと着地してみせた。
「兄君様(あにぎみさま)!? 急にどうしたんだい?」
ミリィが目を丸くして俺の突然の跳躍を問いかける。
確かに何の前触れもなく天井近くまで高く跳んだらおかしいと思うのは当然だ。
「なあに、ちょっと慣れない椅子に座っていたら身体が固まって来たので軽く跳び上がってほぐしただけさ」
俺は平静を装った表情と声で何もおかしいことは無いと言いきってミリィに問いかけを返した。
「そ、そうなんだ…?」
ミリィは何か腑に落ちない声を出しながら納得してくれた様だ、何よりである。
「お兄様! 確かに”すごく硬いもの”がポーラの身体に触れましたわ! そんなに身体を硬くされて大丈夫なのですか?」
うわああああああああ!
言わないでえええええ!
ポーラ姫の身体に触れないように注意を払って飛んだ筈なのにいいいい!
しっかり俺の分身が当たってましたかああああ!
だが俺は心中の動揺を隠して平静な顔のまま口を開く。
「心配してくれてありがとうポーラ、だがもうすっかり身体はほぐれた。問題は無いさ」
すみません嘘付きましたあああ!
俺は彼女たちに背を向けたまま顔だけそちらに向けて話してますけど、身体自体はそちらを向けませえええん!
はやく落ち着け、俺の分身、はやく忘れるんだ、ポーラ姫の感触を…。
ああっ思い出したらまた…俺は『地ノ宮流気士術・四の型、瞑想(めいそう)』を行使する! 心を冷やせ…。
そんな俺に姫騎士団(プリンセスナイツ)の団長であるシノブさんが近づいてきて小声で俺にささやいた。
「…申し訳ありませんケイガ兄様。私としたことが兄様が”男性”であられることをすっかり失念しておりました。
これからはなるべくこうならない様に、姫様にはそれとなくおっしゃっておきます故、どうかご容赦下さい」
ば、ばれてるうううう!
しかし俺はなるべく心中の動揺を悟られないように平静のままの表情で言葉を返した。
「ありがとう、シノブさん。お願いするよ」
実際そうして頂けると助かります。
ポーラ姫は実際に俺の兄の尊厳を幾度となく脅かして来たとてつもなく危険な妹なのである。
今回も滅茶苦茶危なかった…まさに紙一重の戦いであった。
だが今回も俺は彼女に何とか勝利することが出来たのである。
俺は胸を撫でおろし安堵した。
ぐううううううううう
突如、謁見の間に大きな異音が響き渡った。
気が抜けて思いっきり鳴った俺の空腹の音である。
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