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第281話 無意識
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「な、何っ…?」
俺はふいに自分の眼前に降り立った魔言将イルーラに思わず驚きの声を漏らす。
彼女と同格の魔界五軍将・魔精将リリンシアが以前俺に見せた様な
高位魔族の強力な圧とかそういうものは一切感じ無かった。
かと言ってイルーラがツツジの様に気配を完全に消していたという訳では無い。
そこに見えている筈なのに、
何の違和感も感じさせず…
まるで空気の様にふわりと降りて来たのである。
俺、鳴鐘 慧河は
この異世界エゾン・レイギスに飛ばされる前から戦いに身を投じていた。
気を自在に使いこなす地ノ宮流気士術の気士として、
人に仇名す数多の『妖』と戦っていた。
つまり自身に接近する者の気配を察知するなどお手の物なのだ。
それが殺意を持った敵であるならば、なおさらである。
そんな俺がこうもやすやすと敵である魔族の接近を許す何てことが…。
「くっ!?」
俺は一体何を惚けていたのか!?
相手は大魔王直属の高位魔族、魔界五軍将・魔言将なのだ。
俺は拳を握り、戦闘の構えを取る。
見通しの眼鏡の計測によるとイルーラの魔力数値は999。
俺の魔力と気を合わせた戦闘能力数値は1200と仮定している。
魔言将としての未知の力を加味しても何とか渡り合えるか…?
俺はイルーラの動向を注意深く見据える。
「…貴方がエクゼヴたちを退けた人間の戦士ということかしら…?
…魔力数値は140と低い様だけれど…
…なるほど、魔力以外の力…
…エゾン・レイギスでは希少な『気』を扱う戦士と言う事なのね…
…それには個人的にはかなりの興味をそそられるけれど…その前に…」
…来るか?
俺は拳を固く握りしめて身構えた。
「…私の配下たちを生かしてくれたことを感謝する…
…魔界であれ地上であれ、魔族であれ人間であれ…
…このエゾン・レイギスでは勝った者が生殺与奪の権を持つことに変わりは無い…
…それに文句を言う言われは誰にも無い…
…それなのに、命を奪わなかった貴方には感謝の言葉しかない…
…私たち魔族は人間に比べとても数が少ない種族だから…
…ありがとう…」
彼女は大魔王直属の高位魔族がするとは思えない行動をした。
俺にこくりと頭を下げて感謝の言葉を述べたのである。
その全く戦意を感じさせない立ち振る舞い。
そうか…だから俺はさっき、
彼女の接近を気に留めなかったのか?
俺は頭で色々と小難しいことを考えていたが、
俺の身体は素直だったということなのだ。
無意識のうちに彼女に敵意が全く無いと判断していたのである。
俺はふいに自分の眼前に降り立った魔言将イルーラに思わず驚きの声を漏らす。
彼女と同格の魔界五軍将・魔精将リリンシアが以前俺に見せた様な
高位魔族の強力な圧とかそういうものは一切感じ無かった。
かと言ってイルーラがツツジの様に気配を完全に消していたという訳では無い。
そこに見えている筈なのに、
何の違和感も感じさせず…
まるで空気の様にふわりと降りて来たのである。
俺、鳴鐘 慧河は
この異世界エゾン・レイギスに飛ばされる前から戦いに身を投じていた。
気を自在に使いこなす地ノ宮流気士術の気士として、
人に仇名す数多の『妖』と戦っていた。
つまり自身に接近する者の気配を察知するなどお手の物なのだ。
それが殺意を持った敵であるならば、なおさらである。
そんな俺がこうもやすやすと敵である魔族の接近を許す何てことが…。
「くっ!?」
俺は一体何を惚けていたのか!?
相手は大魔王直属の高位魔族、魔界五軍将・魔言将なのだ。
俺は拳を握り、戦闘の構えを取る。
見通しの眼鏡の計測によるとイルーラの魔力数値は999。
俺の魔力と気を合わせた戦闘能力数値は1200と仮定している。
魔言将としての未知の力を加味しても何とか渡り合えるか…?
俺はイルーラの動向を注意深く見据える。
「…貴方がエクゼヴたちを退けた人間の戦士ということかしら…?
…魔力数値は140と低い様だけれど…
…なるほど、魔力以外の力…
…エゾン・レイギスでは希少な『気』を扱う戦士と言う事なのね…
…それには個人的にはかなりの興味をそそられるけれど…その前に…」
…来るか?
俺は拳を固く握りしめて身構えた。
「…私の配下たちを生かしてくれたことを感謝する…
…魔界であれ地上であれ、魔族であれ人間であれ…
…このエゾン・レイギスでは勝った者が生殺与奪の権を持つことに変わりは無い…
…それに文句を言う言われは誰にも無い…
…それなのに、命を奪わなかった貴方には感謝の言葉しかない…
…私たち魔族は人間に比べとても数が少ない種族だから…
…ありがとう…」
彼女は大魔王直属の高位魔族がするとは思えない行動をした。
俺にこくりと頭を下げて感謝の言葉を述べたのである。
その全く戦意を感じさせない立ち振る舞い。
そうか…だから俺はさっき、
彼女の接近を気に留めなかったのか?
俺は頭で色々と小難しいことを考えていたが、
俺の身体は素直だったということなのだ。
無意識のうちに彼女に敵意が全く無いと判断していたのである。
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