391 / 579
第391話 勝者には褒美を
しおりを挟む
「あ…れ…?」
突如俺の身体から力が抜ける。
何だこれは?
両腕が重い、支えられない。
肩からだらんと力無く垂れ下がる俺の左右の腕。
「う…?」
続いて両足の力も抜けていく。
立って居られない。
俺はなす術も無く両膝を着いた。
「はあ…はあ…
こ、これは一体…?」
「ケイガお兄様、
これはわたくしが行使した光属性の身体能力低下魔法、
『減衰光』の効果ですわ」
全身から力が抜けた俺に言葉を掛けるポーラ姫。
「…身体能力低下魔法だって?
でもポーラ、
君は俺に向かって魔法を唱えた様子は無かった筈…?
魔法は、魔法の言葉である『言霊』を
対象の相手にも聞こえる様にはっきりと口にしなければ、
その相手に魔法の効果は発現しない筈…?
それがこの異世界エゾン・レイギスの魔法の法則じゃ無いのか?」
「お兄様、確かに自分以外の他者へ魔法を行使する際は
明確に相手の耳に聞こえる様に『言霊』を唱える必要がありますわ。
でも相手に聞こえないぐらいの小声でも”世界の事象”には干渉できます。
つまり魔法自体は効果を発現するのです。
威力はとても小さくなりますけれど。
でも一度の威力は小さくても重ね掛けすれば…どうでしょうか?」
「そうか…
君は俺の隙を見ながら、
小声で身体能力低下魔法を何度も掛けていたということか…
つまり俺は時間をかけて魔法の効果を積み重ねられて…
たった今、魔法の効果が一気に表れて全身から力が抜けた…
そういう訳なんだな?」
「その通りですわケイガお兄様。
ちなみにわたくしが掛けた『減衰光』の魔法は計7回です。
そしてお兄様が今の着られている衣服は
魔法耐性が付加された戦闘服では無く普通の衣服。
お兄様自身にも魔法の耐性は在りますけれど、
この様な方法で身体能力低下魔法を掛けられれば…
身体を動けなくされてしまう事は
避けようが無いということです。
お兄様はお強いですわ。
でも…魔法による戦いを侮っているふしがあります。
攻撃魔法による正面からの戦い以外にも、
こういった隠密の魔法行使で相手に勝利するという搦め手もありますの。
そして戦場では無く、
気を抜かれてリラックスされた自室で、
親しき者に偽装した敵が
この様な搦め手で襲い掛かって来れば、
ひとたまりもありませんわ。
わたくしは王族として生まれた経験から、
お兄様がこの様な魔法の搦め手で大変な目に合わないか危惧しておりました。
といっても言葉にして説明するよりも実際に見て、
経験してもらうのがわかりやすいかと思いましたの。
そこで大変失礼と承知で…
この様にわたくしが実践させて頂きましたわ」
ポーラ姫はそう話を締めると俺の胸に手のひらを添えた。
「ケイガお兄様。
この度の戦いを実践とするなら…
これで王手、
つまりわたくしの勝ちという事になりますでしょうか?」
「ああ…ポーラ、完全に君の勝ちだ。
魔法戦闘にはこういった手もあるんだな…
ありがとう、とても良い経験になったよ」
ポーラ姫は生まれながらの王族であり聖王女を務める此の国の要人。
庶民である俺には想像することも出来ない、
無数の殺意にこれまで晒されて来たのであろう。
その経験から…こういった方法での襲撃もあり得るのだと、
彼女は身をもって俺に教えてくれたのである。
…良かった。
つまり欲望全力全開で
スケスケネグリジェ姿で
俺に本気で夜這いを掛けて来るお姫様なんていなかったんだ。
「それではお兄様。
勝者には褒美を、
それがセカイの理ですわ。
ですから、わたくしもご褒美を下さいませ…」
ポーラ姫はそう述べると、
俺の頬に口付けをした。
突如俺の身体から力が抜ける。
何だこれは?
両腕が重い、支えられない。
肩からだらんと力無く垂れ下がる俺の左右の腕。
「う…?」
続いて両足の力も抜けていく。
立って居られない。
俺はなす術も無く両膝を着いた。
「はあ…はあ…
こ、これは一体…?」
「ケイガお兄様、
これはわたくしが行使した光属性の身体能力低下魔法、
『減衰光』の効果ですわ」
全身から力が抜けた俺に言葉を掛けるポーラ姫。
「…身体能力低下魔法だって?
でもポーラ、
君は俺に向かって魔法を唱えた様子は無かった筈…?
魔法は、魔法の言葉である『言霊』を
対象の相手にも聞こえる様にはっきりと口にしなければ、
その相手に魔法の効果は発現しない筈…?
それがこの異世界エゾン・レイギスの魔法の法則じゃ無いのか?」
「お兄様、確かに自分以外の他者へ魔法を行使する際は
明確に相手の耳に聞こえる様に『言霊』を唱える必要がありますわ。
でも相手に聞こえないぐらいの小声でも”世界の事象”には干渉できます。
つまり魔法自体は効果を発現するのです。
威力はとても小さくなりますけれど。
でも一度の威力は小さくても重ね掛けすれば…どうでしょうか?」
「そうか…
君は俺の隙を見ながら、
小声で身体能力低下魔法を何度も掛けていたということか…
つまり俺は時間をかけて魔法の効果を積み重ねられて…
たった今、魔法の効果が一気に表れて全身から力が抜けた…
そういう訳なんだな?」
「その通りですわケイガお兄様。
ちなみにわたくしが掛けた『減衰光』の魔法は計7回です。
そしてお兄様が今の着られている衣服は
魔法耐性が付加された戦闘服では無く普通の衣服。
お兄様自身にも魔法の耐性は在りますけれど、
この様な方法で身体能力低下魔法を掛けられれば…
身体を動けなくされてしまう事は
避けようが無いということです。
お兄様はお強いですわ。
でも…魔法による戦いを侮っているふしがあります。
攻撃魔法による正面からの戦い以外にも、
こういった隠密の魔法行使で相手に勝利するという搦め手もありますの。
そして戦場では無く、
気を抜かれてリラックスされた自室で、
親しき者に偽装した敵が
この様な搦め手で襲い掛かって来れば、
ひとたまりもありませんわ。
わたくしは王族として生まれた経験から、
お兄様がこの様な魔法の搦め手で大変な目に合わないか危惧しておりました。
といっても言葉にして説明するよりも実際に見て、
経験してもらうのがわかりやすいかと思いましたの。
そこで大変失礼と承知で…
この様にわたくしが実践させて頂きましたわ」
ポーラ姫はそう話を締めると俺の胸に手のひらを添えた。
「ケイガお兄様。
この度の戦いを実践とするなら…
これで王手、
つまりわたくしの勝ちという事になりますでしょうか?」
「ああ…ポーラ、完全に君の勝ちだ。
魔法戦闘にはこういった手もあるんだな…
ありがとう、とても良い経験になったよ」
ポーラ姫は生まれながらの王族であり聖王女を務める此の国の要人。
庶民である俺には想像することも出来ない、
無数の殺意にこれまで晒されて来たのであろう。
その経験から…こういった方法での襲撃もあり得るのだと、
彼女は身をもって俺に教えてくれたのである。
…良かった。
つまり欲望全力全開で
スケスケネグリジェ姿で
俺に本気で夜這いを掛けて来るお姫様なんていなかったんだ。
「それではお兄様。
勝者には褒美を、
それがセカイの理ですわ。
ですから、わたくしもご褒美を下さいませ…」
ポーラ姫はそう述べると、
俺の頬に口付けをした。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。
無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。
やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。
絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。
一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。
無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ
天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。
彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。
「お前はもういらない」
ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。
だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。
――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。
一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。
生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!?
彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。
そして、レインはまだ知らない。
夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、
「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」
「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」
と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。
そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。
理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。
王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー!
HOT男性49位(2025年9月3日0時47分)
→37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)
スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~
名無し
ファンタジー
主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる