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440話 パワーバランスの崩壊
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「ご苦労じゃったなリュシウム。
魔力制御魔導具12号の実証実験はこれにて終了じゃ」
魔導将アポクリファルは自身の指をくい!
と、招く様に動かした。
すると魔竜リュシウムの指先にはまっていた魔導具は、
ふわりと宙に跳んでアポクリファルの手に戻った。
「12号の魔力抑制の数値は-200といったところじゃのう。
これでは儂ら高位魔族の魔力を抑制するには能力が低すぎる。
そして装備時には大きく体の動きが制限される副作用がある。
リスクも高すぎてこの構造式では使えんのう。
これは廃棄じゃな」
魔族の爺は指を前に突き出した。
すると洞窟の中央空間の隅に置かれていた
古びた宝箱がぱかりと空いて、
その中に向けて魔導具12号が飛んで収まった。
「オオオ…
これでようやく、
一息つける…」
魔導具が外れて身体が自由になったリュシウムは思わず安堵の声を漏らす。
しかし実証実験の任についてから二日目だというのに
試した魔導具は既に二桁を超えている。
アポクリファルは人使い…
いや竜使いが荒いと、
若き魔竜はつくづくそう思った。
「…むう?
この研究室に向けて何者かが向かってくる様じゃのう?」
魔導将アポクリファルは宙に向けてひとさし指を差した。
すると空中に洞窟の外の大森林上空の景色が映し出された。
魔法によるリアルタイム投射映像である。
そこには巨大な鳥の姿をした怪物が映し出されていた。
「雷鳥ガルーダじゃな。
リュシウム、お前さんの大きな魔力数値に引き寄せられて
”また”お客さんが来たようじゃ」
「昨日、襲ってきた火蜥蜴を返り討ちにしたばかりだというのに、
もう新手なのですか?」
「そりゃあ、
強力な魔力数値を持ったお前さんが
この大森林の小山に突然住み着いたのだからのう。
ここら辺一帯に住まう怪物共の、
縄張りのいった類のモノの
パワーバランスが崩れてしまったとしても無理からぬ事じゃろう。
お前さんを倒してこの地域の覇権を取ろうとする怪物が
襲ってくるのも仕方が無いという訳じゃな。
奴等に土足で洞窟内部に上がり込まれて、
せっかくの研究室を壊されたくは無いからのう…。
実証実験後で済まぬが、
外に出て迎撃を頼むぞリュシウムよ」
「そもそもワレが此処に住み着くことになったのは
他らなぬ貴方が原因のハズでは?
まったく…本当に竜使いが荒い御方だ。
だが了解した」
若き魔竜は巨大な翼を広げた。
そして座り込んでいた中央空間から垂直に上昇、
空間から吹き抜けになって外にまで繋がっている天井部分から、
この研究室を内部に擁する小山の頂上上空へと飛び出した。
翼を羽ばたかせて空中に停止するリュシウム。
そこへ雷を纏いし巨鳥ガルーダが襲来する。
二体の巨大な生物はその頭を互いに向けて対峙した。
魔力制御魔導具12号の実証実験はこれにて終了じゃ」
魔導将アポクリファルは自身の指をくい!
と、招く様に動かした。
すると魔竜リュシウムの指先にはまっていた魔導具は、
ふわりと宙に跳んでアポクリファルの手に戻った。
「12号の魔力抑制の数値は-200といったところじゃのう。
これでは儂ら高位魔族の魔力を抑制するには能力が低すぎる。
そして装備時には大きく体の動きが制限される副作用がある。
リスクも高すぎてこの構造式では使えんのう。
これは廃棄じゃな」
魔族の爺は指を前に突き出した。
すると洞窟の中央空間の隅に置かれていた
古びた宝箱がぱかりと空いて、
その中に向けて魔導具12号が飛んで収まった。
「オオオ…
これでようやく、
一息つける…」
魔導具が外れて身体が自由になったリュシウムは思わず安堵の声を漏らす。
しかし実証実験の任についてから二日目だというのに
試した魔導具は既に二桁を超えている。
アポクリファルは人使い…
いや竜使いが荒いと、
若き魔竜はつくづくそう思った。
「…むう?
この研究室に向けて何者かが向かってくる様じゃのう?」
魔導将アポクリファルは宙に向けてひとさし指を差した。
すると空中に洞窟の外の大森林上空の景色が映し出された。
魔法によるリアルタイム投射映像である。
そこには巨大な鳥の姿をした怪物が映し出されていた。
「雷鳥ガルーダじゃな。
リュシウム、お前さんの大きな魔力数値に引き寄せられて
”また”お客さんが来たようじゃ」
「昨日、襲ってきた火蜥蜴を返り討ちにしたばかりだというのに、
もう新手なのですか?」
「そりゃあ、
強力な魔力数値を持ったお前さんが
この大森林の小山に突然住み着いたのだからのう。
ここら辺一帯に住まう怪物共の、
縄張りのいった類のモノの
パワーバランスが崩れてしまったとしても無理からぬ事じゃろう。
お前さんを倒してこの地域の覇権を取ろうとする怪物が
襲ってくるのも仕方が無いという訳じゃな。
奴等に土足で洞窟内部に上がり込まれて、
せっかくの研究室を壊されたくは無いからのう…。
実証実験後で済まぬが、
外に出て迎撃を頼むぞリュシウムよ」
「そもそもワレが此処に住み着くことになったのは
他らなぬ貴方が原因のハズでは?
まったく…本当に竜使いが荒い御方だ。
だが了解した」
若き魔竜は巨大な翼を広げた。
そして座り込んでいた中央空間から垂直に上昇、
空間から吹き抜けになって外にまで繋がっている天井部分から、
この研究室を内部に擁する小山の頂上上空へと飛び出した。
翼を羽ばたかせて空中に停止するリュシウム。
そこへ雷を纏いし巨鳥ガルーダが襲来する。
二体の巨大な生物はその頭を互いに向けて対峙した。
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