恋に私の花束を。

ぶっかけみひろ

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一章

-206 運命の人

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「──皆さんの尊い青春の三年間を最も有意義に過ごされるよう、心からこのよき門出を祝いたいと思うものであります。平成三十一年四月八日大阪府立加田平かたひら高等学校校長山田勝昭かつあき
「一同、起立…礼…着席。」
長すぎる校長の話が終わったことを周りが立ち上がる音で気づいた。私は今日この学校の門をくぐった時からずっとこんな感じでぼーっとしている。なぜなら、意味がわからないほどの私のタイプどストライクのイケメンを見つけてしまったのだ!!ずっと小さい頃から夢見てきた青春がこの高校生活でやっと現実になるのだから、私は2日ほど前から楽しみでテンションが上がりっぱなしだ。だから本当なら今もテンションが上がっているはずだった。なのに、なのに、朝からあんなにタイプの人に会える、なんて思ってもなかったことが起こったから私は挙動不審(?)いや、ただただ戸惑っているんだ。

 そんなことを一人で考えているといつの間にか体育館から退場して、教室に向かう途中だった。

ガラガラガラ──

「ここが今日から一年間皆さんが使う教室です。入った人から前に貼ってある出席番号順の席で座っておいてください。」
青柳…そう、私は出席番号が一番にしかなった事がない。だから今回も一番の席に誰よりも先に座った。
「あの…青柳さん?俺、相賀あいがって言うんだけど、席間違ってない?」
「…え、あ!う、うん?青柳ですけど…あ!ごめんなさい!今まで一番しかなったことなくて…!!ごめんなさい!」
「あー、全然いいよ!俺もその気持ちわかるから。」
と彼は苦笑しながらそう言った。思ったより優しそうで安心していると、その後ろ姿に見覚えがあることに気がついた。
「青柳さん?プリント。」
「あ、ごめん!…ん?」
「ん?」
「あ、ごめん!なんでもない!」
…朝、門でみつけたイケメンだ。そんな少女漫画か、恋愛小説みたいな出会いをしてしまった。

 そしてホームルームが終わり、帰る時間になった。
「ねぇねぇ!青柳潤星みつほちゃん?」
「ん?うん!そうだよ!」
「早くみんな仲良くなりたいし、一組のLINEのグループ作ろうと思うんだけど、LINE交換してくれないかな?」
「そうだね、いいよー!」
「ありがとう!あ、私の名前は鈴原彩希さき、彩希って呼んで!」
「おっけい!私は青柳潤星、潤星って呼んで!」
「うん!LINEありがとね!また明日!」
「ばいばい!」

 よく見た目が怖い、能面、性格悪そうとかそんなことを言われるから一日目からこんなに明るく話しかけられることは滅多にない。そのためかなんだか少し機嫌がいい。

 学校から駅まで歩いて10分、電車に乗る時間は5分、駅から家までは15分。ちなみに最寄り駅に快速は止まらない。家から学校まで自転車で行くことも出来る。自転車だと20分もあれば着く。自転車で行けばいいものをなぜ、時間のかかる電車にしたかと言うと、少女漫画とか、恋愛小説に憧れたからだ。電車に乗れば、イケメンに会えるって言う設定を信じ込んでた。というか、まだ信じてる。

♪ブーブーブー

「もしもし?」
『もしもし、潤星?今どこ?終わる時間クラスごとで、今終わったんだけど。』
「私、今駅だよ。」
『おっけ、今から行くねー。』
プチッ
「あ、切れた。実生みおはいっつもすぐ切れるなー。」

 電話の5分後実生は小走りで私のところに来た。
「おまたせー!」
「はやいね、帰ろっか!」
「だねー!」

 実生とは幼稚園からの仲で、小学校と中学校も一応一緒だった。でも小、中と同じクラスになったことはなく、特別仲がいいというわけでもなかった。でも私たちの中学から加田平高校に来る人でお互い話せる人がいなかったから、これを機に仲良くなったというわけだ。お互い、小、中と話していなかったせいか、正直気まずい時もある。けど、なんだかんだなんでも話せるし、楽しくやっている。

「ねぇ潤星?いい人いた?」
「え!聞いて!朝、門でみつけたかっこいい人いたでしょ?あの人同じクラスで、出席番号私の前なの!すごくない?運命じゃない!?」
「まじか!いいじゃんいいじゃん、狙っちゃいな!ていうか、相変わらず青春に憧れてんだね。」
「憧れるよ、そりゃ。」
さっきから気づいてると思うが、私、青柳潤星は少女漫画と恋愛小説の読みすぎで、青春への憧れが人一倍大きい。

「そっかー、優しそうな人ならいいかもね!」
「う、うん。」
「私は今まで潤星がどんな恋愛してきたかとかまだあんまり知らないけど、噂とか聞いてる限りそんなに良くないって言うのは知ってる。だから、今回こそは潤星の思う、いい恋愛ができるように応援するよ。」
「…うん、ありがとう……じゃあもう着いたから降りるね。ばいばい!!」
「ばいばい!」

「私の今までの恋愛か…いつか話せたらいいな。」

ガチャッ──

「ただいまー。」
「おかえりー!」
「ごめん、ちょっと疲れたから部屋こもるね。」

 私はどうしても外では猫を被ってしまう。本当は人と関わるのはあまり好きではないし、話すのも仲のいい人じゃないとあまり話したくない。だから、こういう行事の時とか、新しい環境に切り替わる時はすごく疲れてしまう。

ポコポコ───

「あ、LINE……!!」
相賀君からだ。
『勝手に追加してごめん!青柳さん俺と話す時ずっと下向いてたから、初っ端から俺なんかしたかなって思って。もしなんかしてたらほんとにごめん!』
男子とは思えない気の使い方だな。少女漫画に出てきそうじゃん!あ、返さないと。
『全然大丈夫!私人見知りで…(笑)全然何もしてないよ!大丈夫!!』
「っと、これで…送信!…はぁぁーー、疲れた。もう寝よ。」
そう言って私は素敵な運命の人に出会ったことを幸せに思いながら、寝ることにした。
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