1 / 78
第1章
生徒を助けたら転生することになった
しおりを挟む
甘田志郎、甘田菫は仲の良い夫婦だった。
志郎は中部地方のある高校を卒業後、地元の工場で溶接工として長年働いてきた。 周りの同僚は競輪やパチンコで勝った負けたの話が日常会話だったが、パチンコは娘が生まれた頃にほんの少しかじった程度で、実はパチンコのやり方をよく知らなかった。 競馬もインターネット投票ができる前、趣味で覚えたてのWindows 3.1のパソコンで競馬予想をしたら、たまたま当たった程度で、博打に関する才能は全く無かった。
妻の菫との出会いは伯父の紹介による見合いで、半年ほど付き合って結婚をした。 志郎が結婚する頃は、見合い結婚や職場結婚が一般的だった時代である。 妻の菫は娘が小学校高学年になると、知人の紹介で近所の介護施設に看護師の経験を活かして勤め始めた。
ある晴れた日、二人はたまの休みを利用して名古屋から特急しらさぎ号に乗り、米原経由で北陸本線の長浜駅で下車し、琵琶湖に浮かぶ竹生島の寺を訪れた。 竹生島の宝厳寺でお参りを済ませた後、対岸の今津港に向かう遊覧船の上だった。
「菫さん、今日は湖面が静かだから船酔いの心配はないから安心して」
「志郎さんは新婚旅行の時にクルーズ船で船酔いして『ここで降りる』って言って、大変だったのよ」
「あの時は台風のうねりで船の揺れて本当にすごかったよ、あれから船に乗るのがトラウマになってしまったからね」
「志郎さん、この先船に乗ることは絶対に無いから安心して」
「そうだね」
遊覧船は志郎が船酔いを起こす事もなく無事に今津港に到着したのだった。
「菫さん、今から目的地を変更して北陸に行ってみない?」
「また、志郎さんの悪い癖が始まったわ。ええ、どうぞお好きな所に行ってください」
志郎は近江今津駅で福井までの切符を買った。 その先はえちぜん鉄道で三国港まで行く予定だった。 志郎は敦賀駅で『越前かに寿司』を買い求め、二人で食べた。
「志郎さん、蟹が食べたかったの?」 「いや、そうでもないけど、小鯛の駅弁を買ってもよかったけど、菫さんは鯖弁当とか小鯛の笹漬けは酸っぱいから苦手だろうと思ったの」
二人は夕方に三国港駅に到着し、近くの芦原温泉の旅館で一泊した。
翌日、二人は東尋坊へと観光に行ったが……就学旅行中の中学生がサスペンスごっこと称して岩場から二人の女子生徒を突き飛ばそうとしていた。
「志郎さん、女の子二人が崖から落ちるかも」
「菫さん、助けよう」
史郎と菫は身を挺して男子生徒から女子学生を守ったが、バランスを崩した二人は東尋坊の断崖絶壁へと転落していったのだった。
「お~い、お前たちあばさけてたけどだんなかったか?」
「しぇんしぇー、千尋と灯花がよろけて落ちそうになったけどだんねえ」
「時間やで、次は芝政に行くでの」
「「「「は~い」」」」
「のぉ、智輝、うららを助けてくれた あのお爺さんとお婆さんだんねえの?」
「うららを邪魔を死ぎきたでいいんでねの」
「ほや、千尋、灯花、公園のトイレでアレしような」
「ええ、智輝も勇輝もいいわよ」
「本当にシェンコーてギャーギャーうざいよの」
「ほや、あんなのエンガチョの餌食しよっさ」
「ほやほや、直ぐに教室で『おちょきんしねま』さしぇるし死げばいいっし」
◇ ◇ ◇ ◇
「信心深き者たちよ」
「我らは、この世界を統べる、ゼウスとヘーラーである」
威厳のある低い声が白い部屋に響いていた……
「ここは何処だろう?」
「わからないわ……」
「汝らはこれから錬金術師と魔女として転生をさせるが、転生先は東の大陸 プリキアの小さな島国イポニア国の首都ケトマス市に転送をするので、自ら工夫をして早期にレベル99まで上げるのじゃ」
「あのう、神様、私たちは助からなかったのですか?」
「残念ながらバカ中学生の遊びの餌食になり汝ら二人は海の藻屑となったが、身を挺した行いは日本の神々にも深い感銘を与えたのじゃ」
「それから、忘れておった、汝らの記憶はそのまま引き継いで新しい肉体に魂を定着させる」
「それと、名前はこれよりシローとスミレと名乗るがよかろう」
「では、時間なので異世界へ転送を開始するのじゃ」
シローとスミレは20歳の男女に生まれ変わっていた。
「スミレさん、ここは港の倉庫の裏のようだね」
「そうね、私たち何でそうなったの?」
「東尋坊で二人とも崖から落ちて助からなかったけど20歳の体になったみたいだね」
「シローさん、私たちこれからどうするの?」
「神様は『自ら工夫をして早期にレベル99まで上げるのじゃ』って言っていたけど、俺たち何をしたらいいのか分からないよ」
「そうよね、誰か教えてくれる人がいればいいけど」
(シローさん、スミレさん、はじめまして、私はナビゲーターとして今後お二人のお世話をさせていただきます)
「スミレさん、誰か女の人が頭の中で喋っているよ」
「シローさん、カーナビと同じ声の感じだからナビゲーターさんよ」
「そうか、困った時に聞けばいいんだね」
「そうよ」
(ナビさん、俺たちはこれからどうしたらいいの?)
(はい、とりあえずはこの世界で生きていくために冒険者登録をしましょう)
「シローさんが最近ハマっていた異世界アニメの冒険者ギルドに行くのね」
「スミレさん、冒険者ギルドって怖いヤンキーの冒険者が絶対に絡んでくると思うよ」
「そうかもね、ナビさん、冒険者ギルドは後回しにして私たちを先に特訓してくれないかしら」
(スミレさん、了解しました)
(今後、私との会話は頭の中で思っていただけば声に出さなくても『念話』が発動して会話できます)
(では、王都ケトマスから乗り合い馬車で2時間のトキセロ村へとご案内します)
(今夜の宿はトキセロ村でとりましょう)
ナビはそう言い終わると転移魔法を発動してシローとスミレさんは村人の格好をしてトキセロ村の入り口の道に立っていたのだった。
(話終わり)
--------------------------------------
※ 方言は『福井弁に変換 | 恋する方言変換』を使わせていただきました。
志郎は中部地方のある高校を卒業後、地元の工場で溶接工として長年働いてきた。 周りの同僚は競輪やパチンコで勝った負けたの話が日常会話だったが、パチンコは娘が生まれた頃にほんの少しかじった程度で、実はパチンコのやり方をよく知らなかった。 競馬もインターネット投票ができる前、趣味で覚えたてのWindows 3.1のパソコンで競馬予想をしたら、たまたま当たった程度で、博打に関する才能は全く無かった。
妻の菫との出会いは伯父の紹介による見合いで、半年ほど付き合って結婚をした。 志郎が結婚する頃は、見合い結婚や職場結婚が一般的だった時代である。 妻の菫は娘が小学校高学年になると、知人の紹介で近所の介護施設に看護師の経験を活かして勤め始めた。
ある晴れた日、二人はたまの休みを利用して名古屋から特急しらさぎ号に乗り、米原経由で北陸本線の長浜駅で下車し、琵琶湖に浮かぶ竹生島の寺を訪れた。 竹生島の宝厳寺でお参りを済ませた後、対岸の今津港に向かう遊覧船の上だった。
「菫さん、今日は湖面が静かだから船酔いの心配はないから安心して」
「志郎さんは新婚旅行の時にクルーズ船で船酔いして『ここで降りる』って言って、大変だったのよ」
「あの時は台風のうねりで船の揺れて本当にすごかったよ、あれから船に乗るのがトラウマになってしまったからね」
「志郎さん、この先船に乗ることは絶対に無いから安心して」
「そうだね」
遊覧船は志郎が船酔いを起こす事もなく無事に今津港に到着したのだった。
「菫さん、今から目的地を変更して北陸に行ってみない?」
「また、志郎さんの悪い癖が始まったわ。ええ、どうぞお好きな所に行ってください」
志郎は近江今津駅で福井までの切符を買った。 その先はえちぜん鉄道で三国港まで行く予定だった。 志郎は敦賀駅で『越前かに寿司』を買い求め、二人で食べた。
「志郎さん、蟹が食べたかったの?」 「いや、そうでもないけど、小鯛の駅弁を買ってもよかったけど、菫さんは鯖弁当とか小鯛の笹漬けは酸っぱいから苦手だろうと思ったの」
二人は夕方に三国港駅に到着し、近くの芦原温泉の旅館で一泊した。
翌日、二人は東尋坊へと観光に行ったが……就学旅行中の中学生がサスペンスごっこと称して岩場から二人の女子生徒を突き飛ばそうとしていた。
「志郎さん、女の子二人が崖から落ちるかも」
「菫さん、助けよう」
史郎と菫は身を挺して男子生徒から女子学生を守ったが、バランスを崩した二人は東尋坊の断崖絶壁へと転落していったのだった。
「お~い、お前たちあばさけてたけどだんなかったか?」
「しぇんしぇー、千尋と灯花がよろけて落ちそうになったけどだんねえ」
「時間やで、次は芝政に行くでの」
「「「「は~い」」」」
「のぉ、智輝、うららを助けてくれた あのお爺さんとお婆さんだんねえの?」
「うららを邪魔を死ぎきたでいいんでねの」
「ほや、千尋、灯花、公園のトイレでアレしような」
「ええ、智輝も勇輝もいいわよ」
「本当にシェンコーてギャーギャーうざいよの」
「ほや、あんなのエンガチョの餌食しよっさ」
「ほやほや、直ぐに教室で『おちょきんしねま』さしぇるし死げばいいっし」
◇ ◇ ◇ ◇
「信心深き者たちよ」
「我らは、この世界を統べる、ゼウスとヘーラーである」
威厳のある低い声が白い部屋に響いていた……
「ここは何処だろう?」
「わからないわ……」
「汝らはこれから錬金術師と魔女として転生をさせるが、転生先は東の大陸 プリキアの小さな島国イポニア国の首都ケトマス市に転送をするので、自ら工夫をして早期にレベル99まで上げるのじゃ」
「あのう、神様、私たちは助からなかったのですか?」
「残念ながらバカ中学生の遊びの餌食になり汝ら二人は海の藻屑となったが、身を挺した行いは日本の神々にも深い感銘を与えたのじゃ」
「それから、忘れておった、汝らの記憶はそのまま引き継いで新しい肉体に魂を定着させる」
「それと、名前はこれよりシローとスミレと名乗るがよかろう」
「では、時間なので異世界へ転送を開始するのじゃ」
シローとスミレは20歳の男女に生まれ変わっていた。
「スミレさん、ここは港の倉庫の裏のようだね」
「そうね、私たち何でそうなったの?」
「東尋坊で二人とも崖から落ちて助からなかったけど20歳の体になったみたいだね」
「シローさん、私たちこれからどうするの?」
「神様は『自ら工夫をして早期にレベル99まで上げるのじゃ』って言っていたけど、俺たち何をしたらいいのか分からないよ」
「そうよね、誰か教えてくれる人がいればいいけど」
(シローさん、スミレさん、はじめまして、私はナビゲーターとして今後お二人のお世話をさせていただきます)
「スミレさん、誰か女の人が頭の中で喋っているよ」
「シローさん、カーナビと同じ声の感じだからナビゲーターさんよ」
「そうか、困った時に聞けばいいんだね」
「そうよ」
(ナビさん、俺たちはこれからどうしたらいいの?)
(はい、とりあえずはこの世界で生きていくために冒険者登録をしましょう)
「シローさんが最近ハマっていた異世界アニメの冒険者ギルドに行くのね」
「スミレさん、冒険者ギルドって怖いヤンキーの冒険者が絶対に絡んでくると思うよ」
「そうかもね、ナビさん、冒険者ギルドは後回しにして私たちを先に特訓してくれないかしら」
(スミレさん、了解しました)
(今後、私との会話は頭の中で思っていただけば声に出さなくても『念話』が発動して会話できます)
(では、王都ケトマスから乗り合い馬車で2時間のトキセロ村へとご案内します)
(今夜の宿はトキセロ村でとりましょう)
ナビはそう言い終わると転移魔法を発動してシローとスミレさんは村人の格好をしてトキセロ村の入り口の道に立っていたのだった。
(話終わり)
--------------------------------------
※ 方言は『福井弁に変換 | 恋する方言変換』を使わせていただきました。
0
あなたにおすすめの小説
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
