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第1章
生徒を助けたら転生することになった
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甘田志郎、甘田菫は仲の良い夫婦だった。
志郎は中部地方のある高校を卒業後、地元の工場で溶接工として長年働いてきた。 周りの同僚は競輪やパチンコで勝った負けたの話が日常会話だったが、パチンコは娘が生まれた頃にほんの少しかじった程度で、実はパチンコのやり方をよく知らなかった。 競馬もインターネット投票ができる前、趣味で覚えたてのWindows 3.1のパソコンで競馬予想をしたら、たまたま当たった程度で、博打に関する才能は全く無かった。
妻の菫との出会いは伯父の紹介による見合いで、半年ほど付き合って結婚をした。 志郎が結婚する頃は、見合い結婚や職場結婚が一般的だった時代である。 妻の菫は娘が小学校高学年になると、知人の紹介で近所の介護施設に看護師の経験を活かして勤め始めた。
ある晴れた日、二人はたまの休みを利用して名古屋から特急しらさぎ号に乗り、米原経由で北陸本線の長浜駅で下車し、琵琶湖に浮かぶ竹生島の寺を訪れた。 竹生島の宝厳寺でお参りを済ませた後、対岸の今津港に向かう遊覧船の上だった。
「菫さん、今日は湖面が静かだから船酔いの心配はないから安心して」
「志郎さんは新婚旅行の時にクルーズ船で船酔いして『ここで降りる』って言って、大変だったのよ」
「あの時は台風のうねりで船の揺れて本当にすごかったよ、あれから船に乗るのがトラウマになってしまったからね」
「志郎さん、この先船に乗ることは絶対に無いから安心して」
「そうだね」
遊覧船は志郎が船酔いを起こす事もなく無事に今津港に到着したのだった。
「菫さん、今から目的地を変更して北陸に行ってみない?」
「また、志郎さんの悪い癖が始まったわ。ええ、どうぞお好きな所に行ってください」
志郎は近江今津駅で福井までの切符を買った。 その先はえちぜん鉄道で三国港まで行く予定だった。 志郎は敦賀駅で『越前かに寿司』を買い求め、二人で食べた。
「志郎さん、蟹が食べたかったの?」 「いや、そうでもないけど、小鯛の駅弁を買ってもよかったけど、菫さんは鯖弁当とか小鯛の笹漬けは酸っぱいから苦手だろうと思ったの」
二人は夕方に三国港駅に到着し、近くの芦原温泉の旅館で一泊した。
翌日、二人は東尋坊へと観光に行ったが……就学旅行中の中学生がサスペンスごっこと称して岩場から二人の女子生徒を突き飛ばそうとしていた。
「志郎さん、女の子二人が崖から落ちるかも」
「菫さん、助けよう」
史郎と菫は身を挺して男子生徒から女子学生を守ったが、バランスを崩した二人は東尋坊の断崖絶壁へと転落していったのだった。
「お~い、お前たちあばさけてたけどだんなかったか?」
「しぇんしぇー、千尋と灯花がよろけて落ちそうになったけどだんねえ」
「時間やで、次は芝政に行くでの」
「「「「は~い」」」」
「のぉ、智輝、うららを助けてくれた あのお爺さんとお婆さんだんねえの?」
「うららを邪魔を死ぎきたでいいんでねの」
「ほや、千尋、灯花、公園のトイレでアレしような」
「ええ、智輝も勇輝もいいわよ」
「本当にシェンコーてギャーギャーうざいよの」
「ほや、あんなのエンガチョの餌食しよっさ」
「ほやほや、直ぐに教室で『おちょきんしねま』さしぇるし死げばいいっし」
◇ ◇ ◇ ◇
「信心深き者たちよ」
「我らは、この世界を統べる、ゼウスとヘーラーである」
威厳のある低い声が白い部屋に響いていた……
「ここは何処だろう?」
「わからないわ……」
「汝らはこれから錬金術師と魔女として転生をさせるが、転生先は東の大陸 プリキアの小さな島国イポニア国の首都ケトマス市に転送をするので、自ら工夫をして早期にレベル99まで上げるのじゃ」
「あのう、神様、私たちは助からなかったのですか?」
「残念ながらバカ中学生の遊びの餌食になり汝ら二人は海の藻屑となったが、身を挺した行いは日本の神々にも深い感銘を与えたのじゃ」
「それから、忘れておった、汝らの記憶はそのまま引き継いで新しい肉体に魂を定着させる」
「それと、名前はこれよりシローとスミレと名乗るがよかろう」
「では、時間なので異世界へ転送を開始するのじゃ」
シローとスミレは20歳の男女に生まれ変わっていた。
「スミレさん、ここは港の倉庫の裏のようだね」
「そうね、私たち何でそうなったの?」
「東尋坊で二人とも崖から落ちて助からなかったけど20歳の体になったみたいだね」
「シローさん、私たちこれからどうするの?」
「神様は『自ら工夫をして早期にレベル99まで上げるのじゃ』って言っていたけど、俺たち何をしたらいいのか分からないよ」
「そうよね、誰か教えてくれる人がいればいいけど」
(シローさん、スミレさん、はじめまして、私はナビゲーターとして今後お二人のお世話をさせていただきます)
「スミレさん、誰か女の人が頭の中で喋っているよ」
「シローさん、カーナビと同じ声の感じだからナビゲーターさんよ」
「そうか、困った時に聞けばいいんだね」
「そうよ」
(ナビさん、俺たちはこれからどうしたらいいの?)
(はい、とりあえずはこの世界で生きていくために冒険者登録をしましょう)
「シローさんが最近ハマっていた異世界アニメの冒険者ギルドに行くのね」
「スミレさん、冒険者ギルドって怖いヤンキーの冒険者が絶対に絡んでくると思うよ」
「そうかもね、ナビさん、冒険者ギルドは後回しにして私たちを先に特訓してくれないかしら」
(スミレさん、了解しました)
(今後、私との会話は頭の中で思っていただけば声に出さなくても『念話』が発動して会話できます)
(では、王都ケトマスから乗り合い馬車で2時間のトキセロ村へとご案内します)
(今夜の宿はトキセロ村でとりましょう)
ナビはそう言い終わると転移魔法を発動してシローとスミレさんは村人の格好をしてトキセロ村の入り口の道に立っていたのだった。
(話終わり)
--------------------------------------
※ 方言は『福井弁に変換 | 恋する方言変換』を使わせていただきました。
志郎は中部地方のある高校を卒業後、地元の工場で溶接工として長年働いてきた。 周りの同僚は競輪やパチンコで勝った負けたの話が日常会話だったが、パチンコは娘が生まれた頃にほんの少しかじった程度で、実はパチンコのやり方をよく知らなかった。 競馬もインターネット投票ができる前、趣味で覚えたてのWindows 3.1のパソコンで競馬予想をしたら、たまたま当たった程度で、博打に関する才能は全く無かった。
妻の菫との出会いは伯父の紹介による見合いで、半年ほど付き合って結婚をした。 志郎が結婚する頃は、見合い結婚や職場結婚が一般的だった時代である。 妻の菫は娘が小学校高学年になると、知人の紹介で近所の介護施設に看護師の経験を活かして勤め始めた。
ある晴れた日、二人はたまの休みを利用して名古屋から特急しらさぎ号に乗り、米原経由で北陸本線の長浜駅で下車し、琵琶湖に浮かぶ竹生島の寺を訪れた。 竹生島の宝厳寺でお参りを済ませた後、対岸の今津港に向かう遊覧船の上だった。
「菫さん、今日は湖面が静かだから船酔いの心配はないから安心して」
「志郎さんは新婚旅行の時にクルーズ船で船酔いして『ここで降りる』って言って、大変だったのよ」
「あの時は台風のうねりで船の揺れて本当にすごかったよ、あれから船に乗るのがトラウマになってしまったからね」
「志郎さん、この先船に乗ることは絶対に無いから安心して」
「そうだね」
遊覧船は志郎が船酔いを起こす事もなく無事に今津港に到着したのだった。
「菫さん、今から目的地を変更して北陸に行ってみない?」
「また、志郎さんの悪い癖が始まったわ。ええ、どうぞお好きな所に行ってください」
志郎は近江今津駅で福井までの切符を買った。 その先はえちぜん鉄道で三国港まで行く予定だった。 志郎は敦賀駅で『越前かに寿司』を買い求め、二人で食べた。
「志郎さん、蟹が食べたかったの?」 「いや、そうでもないけど、小鯛の駅弁を買ってもよかったけど、菫さんは鯖弁当とか小鯛の笹漬けは酸っぱいから苦手だろうと思ったの」
二人は夕方に三国港駅に到着し、近くの芦原温泉の旅館で一泊した。
翌日、二人は東尋坊へと観光に行ったが……就学旅行中の中学生がサスペンスごっこと称して岩場から二人の女子生徒を突き飛ばそうとしていた。
「志郎さん、女の子二人が崖から落ちるかも」
「菫さん、助けよう」
史郎と菫は身を挺して男子生徒から女子学生を守ったが、バランスを崩した二人は東尋坊の断崖絶壁へと転落していったのだった。
「お~い、お前たちあばさけてたけどだんなかったか?」
「しぇんしぇー、千尋と灯花がよろけて落ちそうになったけどだんねえ」
「時間やで、次は芝政に行くでの」
「「「「は~い」」」」
「のぉ、智輝、うららを助けてくれた あのお爺さんとお婆さんだんねえの?」
「うららを邪魔を死ぎきたでいいんでねの」
「ほや、千尋、灯花、公園のトイレでアレしような」
「ええ、智輝も勇輝もいいわよ」
「本当にシェンコーてギャーギャーうざいよの」
「ほや、あんなのエンガチョの餌食しよっさ」
「ほやほや、直ぐに教室で『おちょきんしねま』さしぇるし死げばいいっし」
◇ ◇ ◇ ◇
「信心深き者たちよ」
「我らは、この世界を統べる、ゼウスとヘーラーである」
威厳のある低い声が白い部屋に響いていた……
「ここは何処だろう?」
「わからないわ……」
「汝らはこれから錬金術師と魔女として転生をさせるが、転生先は東の大陸 プリキアの小さな島国イポニア国の首都ケトマス市に転送をするので、自ら工夫をして早期にレベル99まで上げるのじゃ」
「あのう、神様、私たちは助からなかったのですか?」
「残念ながらバカ中学生の遊びの餌食になり汝ら二人は海の藻屑となったが、身を挺した行いは日本の神々にも深い感銘を与えたのじゃ」
「それから、忘れておった、汝らの記憶はそのまま引き継いで新しい肉体に魂を定着させる」
「それと、名前はこれよりシローとスミレと名乗るがよかろう」
「では、時間なので異世界へ転送を開始するのじゃ」
シローとスミレは20歳の男女に生まれ変わっていた。
「スミレさん、ここは港の倉庫の裏のようだね」
「そうね、私たち何でそうなったの?」
「東尋坊で二人とも崖から落ちて助からなかったけど20歳の体になったみたいだね」
「シローさん、私たちこれからどうするの?」
「神様は『自ら工夫をして早期にレベル99まで上げるのじゃ』って言っていたけど、俺たち何をしたらいいのか分からないよ」
「そうよね、誰か教えてくれる人がいればいいけど」
(シローさん、スミレさん、はじめまして、私はナビゲーターとして今後お二人のお世話をさせていただきます)
「スミレさん、誰か女の人が頭の中で喋っているよ」
「シローさん、カーナビと同じ声の感じだからナビゲーターさんよ」
「そうか、困った時に聞けばいいんだね」
「そうよ」
(ナビさん、俺たちはこれからどうしたらいいの?)
(はい、とりあえずはこの世界で生きていくために冒険者登録をしましょう)
「シローさんが最近ハマっていた異世界アニメの冒険者ギルドに行くのね」
「スミレさん、冒険者ギルドって怖いヤンキーの冒険者が絶対に絡んでくると思うよ」
「そうかもね、ナビさん、冒険者ギルドは後回しにして私たちを先に特訓してくれないかしら」
(スミレさん、了解しました)
(今後、私との会話は頭の中で思っていただけば声に出さなくても『念話』が発動して会話できます)
(では、王都ケトマスから乗り合い馬車で2時間のトキセロ村へとご案内します)
(今夜の宿はトキセロ村でとりましょう)
ナビはそう言い終わると転移魔法を発動してシローとスミレさんは村人の格好をしてトキセロ村の入り口の道に立っていたのだった。
(話終わり)
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※ 方言は『福井弁に変換 | 恋する方言変換』を使わせていただきました。
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