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第3章

3-1 ピーターセリア魔導具店 ゴーレムの核石を採りに行こう

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 約束の7日後……
 シローとスミレさんは午前の鐘がなった後で冒険者ギルドに入っていった。受付で報奨金をもらいに来たことを話し、2階の応接室に案内された。

「よく来てくれた。まぁ、腰掛けてくれ」
 ギルドマスターに勧められて、2人は腰を下ろした。

「約束の金貨8000枚だ」
「ありがとうございます」
 金貨の袋80袋が机の上に積まれていた。シローとスミレさんは金貨を半分に分けて収納にしまった。ギルドマスターに礼を言って冒険者ギルドを後にした。

「スミレさん、ケトマスの魔導具店に行ってみようよ」
「そうよ、シローさんが頑張ったから今から行きましょう」

(スミレさん、金貨8000枚って、どれくらいの価値があるんだ)
(誰かに聞かれる困るから、ここからは念話だよ)

(そうね、元の世界のお金に換算すると8億円以上の価値だと思うわ)
(そうだろうね)
 二人は危険を避けるために冒険者ギルドからメガロイメラ山に瞬間移動をしてきた。

 ◇ ◇ ◇ ◇

 シローとスミレさんは転移門を使って王都ケトマスの市場まで瞬間移動し、その後ケトマスの冒険者ギルドに来ていた。冒険者ギルドの受付で魔導具店を数軒を教えてもらい、初心者でも入りやすいピーターセリア魔導具店に入っていった。

 カランコロン、「いらっしゃい」

 二人はキョロキョロ店内を見渡し、ゴーレムの核石を探していた。
(ミカエル、ゴーレムの核石を探して)
(了解です)
(ゴーレムの核石はそこの木箱の灰色の石です)

「スミレさん、これだね」
「そうみたいだね」
 シローとスミレさんはゴーレムの核石を手に取って見てみた。AIクリスタル脳の最適解は自分たちで採取した方が良いと答えを導いていた。

(シローさん、スミレさん、それよりも砂金石アベンチュリン瑪瑙アゲートを買って帰りましょう)
(魔法付与の教材に使います)
(了解)

「アベンチュリンとアゲートで金貨4枚です」
「それと、チョーカーの革紐とネックレスのチェーンで銀貨2枚と銅貨2枚ですので合計で金貨4枚と銀貨2枚と銅貨2枚です」

 シローは金貨4枚と銀貨3枚を払って釣りをもらった。

「錬金術師様は、ひょっとして、ご自身で加工されるつもりですか?」
「はい、護身用にこれらの宝石に魔法陣を刻もうと思っています」

「自分で作られるならその方がいいですよ」
「魔法付与をした宝石はその価格の50倍から100倍ですから」

「えっ、そんなに高いのですか?」
「そうですよ、魔法付与をした宝石は高価な魔導具になりますから高くて当たり前です」

「ところでそちらの箱に入っているゴーレムの核石はこの近くで出たのですか?」

「ええ、バダバダ遺跡ですよ」
「ここから乗り合い馬車で2日のアスロシマ市の採石場跡です」

 店主のピータさんはゴーレムの核石はこれまでは1個が金貨500枚おおよその相場だったが、大量に出てきたので値崩れを起こしてしまい、今では1個金貨50枚になったとの事だった。

「でも、俺たちに話していいのですか?」
「ゴーレムの核石のことは誰でも知っているので問題ないですよ」

「ピータさん、情報ありがとうございます、冒険者ギルドで詳しく聞いてみます」

「シローさん、いいお店だったね」
「そうだったね、店主さんも奥さんもいい人だったね」

 二人はケトマス港の倉庫の裏まで瞬間移動してキャンピングカーに乗り込んだ。

「ミカエル、アスロシマ市のバダバダ遺跡まで飛んでくれ」
「了解しました。アスロシマ市のバダバダ遺跡まで90キロ、約11分です」

「魔導ジェットエンジン異常なし」
「与圧システム異常なし」
「機内、電力供給システム異常なし」
「計器類オールグリーン」

「フライト前チェック、完了」
「テイクオフ」

 シローは青いボタンを押したのでキャンピングカーは離陸した。

 バダバダ遺跡はバダ村の石灰鉱山で見つかった遺跡だった。地元の少年少女たちが冒険中に偶然にも遺跡を見つけ、中はゴーレムの巣になっていたので討伐隊が組まれてゴーレム狩りが行われた。
 結局、苦労した割にはお宝は全く出なかったので、冒険者ギルドは人件費で赤字になり、ゴーレムの核石は投げ売りで魔導具店に引き取られていったのだった。

「スミレさん、他の冒険者は遺跡の中にいないの?」
「待って、青の点が2つ一緒に光っているわ」
「どうやらゴーレムと戦っているようね」

「冒険者が危なかったら助けに行こうよ」
「そうね」

 シローとスミレさんは慎重に遺跡の中に入っていた。

「アレックス、柱の影に隠れて」
「カサンドラ、一緒に隠れよう」
 ガーン、ガーン、ガーン、ガシャ、ガシャ、ガシャ、二人の冒険者は5体のゴーレムに囲まれて長剣で必死に戦っていたが、ゴーレムの攻撃が届かない代わりに、ゴーレムを倒すことも出来なかった。

「アレックス、駄目だわ、魔力がもうないの」
「カサンドラ、しっかりして」

「シローさん、岩陰から炎弾《ファイアーバレット》✕10」
「了解」

「「炎弾《ファイアーバレット》✕10」」
 バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、20発の炎弾は全てゴーレムに命中して核だけが残っていた。

「スミレさん、マンドラゴラポーション」
「貴女たち、これを飲んで」

「すみません」
「カサンドラ、ポーションだよ」

「エリアハイヒール」
 スミレさんはエリアハイヒールでアレックスとカサンドラの傷を癒やした。

「俺たちは黄玉の探索隊のアレックスとカサンドラです。Dランク冒険者です」
「助けていただいてありがとうございます」

「錬金術師のシローと薬師のスミレだ」

「気にしないでくれ、困っているときはお互い様だ」

「それでは、ゴーレムの核は全て持ち帰って下さい」
「ありがとう、そうさせてもらうよ」

 アレックスとカサンドラが無事に遺跡の外に出たのを確認して、二人は休憩をすることにした。遺跡と言っても、石灰岩の柱で出来た神殿風の建物の残骸だった。

「スミレさん、ゴーレムの反応はあるの?」
「今は無いわ」

「ゴーレムの核は手に入ったね」
「そうね」

「シローさん、ギガントゴーレムが5体出てきたわ」
「うぉ~、これは相当大きいよ」

「あんなのに巻き込まれたいたら、アレックスさんとカサンドラさんは死んでいたね」
「そうだろうね」

「炎弾《ファイアーバレット》✕10」

「シローさんスミレさん、ファイアーランス✕5です」

「「ファイアーランス✕5」」
 バシューン、バシューン、バシューン、バシューン、バシューン、バシューン、バシューン、バシューン、バシューン、バシューン、炎槍がギガントゴーレムに核が5個残っていた。

「スミレさん、こっちの核の方が大きいね
「ギガントゴーレムだから当たり前よ」

「ミカエル、材料は全部揃ったね」

「そうですね、材料は全部揃ったので、ログハウスの改造も兼ねて今夜はここでキャンプにしましょう」
「賛成」

「スミレさん、魔導具店で買ったアベンチュリンとアゲートに魔法付与を行おう」
「そうね、絶対防御は5重にして」

「了解です、絶対防御✕5」

「それから、睡眠魔法ね」
「了解です、睡眠魔法」

「これだけでいいの?」
「ええ、それで大丈夫よ」

「クリエイティブ、アルケミーマジックペンダント」
「エンチャント、デフェンス✕5、エンチャント、スリープ」
 シローは、アゲートとネックレスのチェーンをテーブルの上において呪文を唱えた。

「スミレさん、魔法付与のペンダントが完成したよ」

「次は俺のだ」
「クリエイティブ、アルケミーマジックペンダント」
「エンチャント、デフェンス✕5、エンチャント、スリープ」

 シローは、アベンチュリンとチョーカーの革紐をテーブルの上において呪文を唱えた。

「完成だね」

「次からの新人指導の時はこの防御魔法とスリープも魔導ペンダントに付与出来るといいね」
「そうね、町に出たときに安心だわ」

「シローさん、いいアイデアです」
「次回からの新人教育はその魔導ペンダントで行きましょう」

「ミカエル、詳細はお任せするよ」

「スミレさん、アゲートの濃いピンクが似合っていますよ」
「シローさんも、深緑でいい感じよ」

「スミレさん、時間もまだあるから、ペンダントのテストを兼ねて王都へ行ってみない」
「そうね、私魔女服をみたいわ」

「ミカエル、何かあれば念話で知らせてくれ。それとログハウスは出しっぱなしでいいのか?」
「一旦収納に格納しましょう」

「了解」
 シローはログハウスを収納に格納した。転移門を使って、ケトマス港の裏に瞬間移動したのだった。二人は冒険者ギルドで魔女服を扱っている洋品店を紹介してもらった。


(話終わり)
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