最強の一族は自由気ままに生きていく

夜月

文字の大きさ
4 / 20
1章

3

しおりを挟む
 世界に神託が下ったその日



 ───世界は光に包まれた───



 その光は輝きを失うことなく、黒の魔境の中心へと流星のように落ちていった。
 落ちた衝撃が世界を揺らした。

 そして、その光は消えていったのだった。


 ───────────────

 各国の王は流星のような光を見て、月華の方々がこの地に舞い降りたと思った。
 その数日後、王たちは世界国王会議を開いた。

 王たちは会議で
「月華の方々をどうするのか。」
 という議題を元に話し合いが行われた。

 保護するべきだ。という意見もあれば、自由にさせるべきだ。という意見もあった。

 会議があって数日がたった頃、話は纏まり次のようなことが決定した。

 1、保護はしない
 しかし、自国で月華の方々が発見された場合は速やかに保護する
 2、各国から強者を集め、調査隊を結成し、黒の魔境に向かわせる

 各国の王たちは決まったことに従い、各国から強者を収集した。
 数日後に収集が終わり、黒の魔境の隣国リーベルト王国から調査隊は黒の魔境の中心部分に向かって出発した。


 ───────────────


 一方その頃、黒の魔境に落ちた月たちは家を建てようとしていた。

「よし、ここら辺でいいか。」

 輝夜は魔法で周辺の木々を刈り取り、家を異空間から取り出した。

 いや、それは家ではなかった。
 どこからどう見ても城なのだ。

 しかし、月たちにとってそれは普通の事なので、誰も違和感を持たなかった。

 輝夜は結界をはり、城の中へ入った。

 既に城の中に入りじゃれあっていた月たちを呼んだ。
 そして、月を膝の上に乗せると頭を撫でながら話始めた。

「月。
 これから俺達はリーベルト王国というところに行く。
 そこで、人間の中でも地位の高い者に保護してもらおうと思っている。
 そのために、森に捨てられたような演技をする。
 人間は怖いかもしれないけど頑張れるかい?」

 輝夜は月に問いかけた。
 そこで、月が小さい声で言う。

「輝夜は?一緒?」

 白銀の髪は光を反射し、透き通った瞳は少し涙目になっていて、しかも上目遣いで輝夜の服を握り締めながら言う姿は凄かった。
 言葉で言えないくらい凄かった。

 それに輝夜が耐えれるはずもなく、とても緩みきった顔をして言った。

「もちろん。
 俺は月の傍を離れないよ。」

 月はふにゃりとした笑顔で言った。

「輝夜と一緒だったら、どんなことでも頑張れるよ。」

 輝夜は言葉が出ない。
 感動しすぎて涙が出てきそうだが、輝夜はそれを我慢した。

「そうだね。
 俺も月と一緒だったら、どんなことだって出来るよ。」

 2人は顔をあわせて笑いあった。


「月。
 リーベルト王国には、月がこの世界の環境に慣れてから行こうと思うんだけど、どうかな?」

「うん。それでいいよ。」

「なら、しばらくここで暮らそうか。」

「うん。
 輝夜と春夜と冬夜で暮らせるなんて、夢みたい。」

 月ははにかんでそう言った。

「リーベルト王国に行くまで4人で楽しく暮らそうな。」

 その後、4人はくっついてお昼寝をした。




     
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

七億円当たったので異世界買ってみた!

コンビニ
ファンタジー
 三十四歳、独身、家電量販店勤務の平凡な俺。  ある日、スポーツくじで7億円を当てた──と思ったら、突如現れた“自称・神様”に言われた。 「異世界を買ってみないか?」  そんなわけで購入した異世界は、荒れ果てて疫病まみれ、赤字経営まっしぐら。  でも天使の助けを借りて、街づくり・人材スカウト・ダンジョン建設に挑む日々が始まった。  一方、現実世界でもスローライフと東北の田舎に引っ越してみたが、近所の小学生に絡まれたり、ドタバタに巻き込まれていく。  異世界と現実を往復しながら、癒やされて、ときどき婚活。 チートはないけど、地に足つけたスローライフ(たまに労働)を始めます。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

魅了の対価

しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。 彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。 ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。 アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。 淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

処理中です...