最強の一族は自由気ままに生きていく

1章

5

　ルーゼルは腕に2人の子供を抱えて、馬で公爵家に向かっていた。

　フェンリルたちは着いて来ている。

　この子供たちには分からないことが多すぎたため、騎士団ではなく公爵家に連れて行くことにしたのだ。

　馬でかなりの速度を出しながら、公爵家へ向かう。

　数分後、公爵家に着いた。

　ルーゼルは早速、指示を出す。

「至急、この子たちの治療をしろ。」

「かしこまりました。」

　近くにいた執事が返事をする。

　執事は子供たちを別室に連れて行った。
　フェンリルたちも着いて来る。

　子供たちをベットに寝かせ、治療を行うために執事がフードをとった。

　そこで、その場にいる全員がその美しさに驚愕した。

　月の光を反射し、光輝く白銀の髪。
　それはとても綺麗で輝いていた。

　神と言われても信じてしまうだろう。


　全員が言葉を失った。


　そして、1番最初に正気に戻ったルーゼルが慌てて言った。

「とにかく今は、治療に専念しよう。」

　その言葉に全員が正気に戻り、治療を再開した。


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　治療が終わり部屋から全員が出て行った後、2人は魔法で頭の中で話していた。

『上手くいったようだな。』

『そうだね。』

『月様、輝夜様。
　今、精霊や妖精にこの邸の人間たちのことを聞いたのですが、特に悪事は働いていないようです。』

　冬夜がそう報告した。

『そうだろうな。
　ルーゼルという人物は、人間にしては比較的心が綺麗だった。』

　輝夜がそう言った。

　白銀と黒の者たちは生き物の心を見ることが出来る。
　そのため、白銀と黒の者たちには嘘をつくことが出来ないのだ。





『……月。大丈夫か？』

　静かになった部屋に輝夜の声が頭の中に響く。


『………大丈夫、だよ。』


　小さな声だ。

　悲しくて、弱々しい。


　でもその声はどこか強くて、今にも壊れてしまいそうな透明なガラスのように、綺麗だった。


『……そうか。
　無理はするなよ。』

『………うん。ありがと。』





『月様と輝夜様はこの後どうするの？』

　春夜が言った。
　春夜なりの気遣いだったのだろう。

『俺たちが目を覚ましたら適性検査と魔力検査を行い、その結果でどうするか決めるだろう。』

『つまり？』

『その2つの検査で、ちょっといい結果を出せばいいということだ。
　そうすれば、保護して貰えるかもしれないからな。
　弱すぎる結果を出して、孤児院送りになると俺たちの目的を果たすことが出来なくなるからな。』

『分かった。』

　そこで、月があくびをした。

『ねむい…｡』

『寝ててもいいよ。』

『いいの…？』

『いいよ。おやすみ。』

　輝夜は月の頭を撫でた。

『ん。おやすみ…｡』

　月は輝夜にくっついて眠りについた。

『俺も寝ようかな。』

　輝夜は横になって、月を抱え眠りについた。