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1章
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次の日
輝夜は寝ている月を抱えて、王都にあるリーベルト王国で一番大きな教会の前にいた。
春夜たちも一緒だ。
教会から人が出て来た。
「カーネル公爵様、お待ちしておりました。
私、司祭をしている者です。
本日はどのようなご要件でしょうか?」
「この子たちの魔力検査と適性検査をしたい。
大司教はいるか。」
「……ッ!?
はい。
すぐにお呼びして参ります。」
そう言って、月たちを見て動揺を隠せていない司祭は、頭を下げてから大司教を呼びに行った。
「今のうちに起こしておけ。」
ルーゼルは輝夜に言った。
「月。」
輝夜が月を優しく叩く。
「んぅ~」
月が目をゆっくりと開けた。
「……ッ!?」
ルーゼルはまたもや驚愕することになった。
輝夜とは逆になっているそのオッドアイの目に、心を奪われる。
(とても美しい。
まるで全てを見透かされているようだ。)
ルーゼルは月たちの目を見ていると、美しいと思うと同時に、心の内を見透かされているようで怖くなった。
ルーゼルは月を見た。
月は体を膠着させて、輝夜に頭を擦り付け、服を強く掴む。
そんな月に、輝夜の月を抱きしめる腕にも力が入る。
輝夜がルーゼルを睨む。
ゾワッ
ルーゼルは背筋に寒気を感じた。
全身に汗が吹き出る。
その目には、支配者としての威圧感があった。
(この子たちには上に立つ者としての素質があるのかもしれない。)
ルーゼルは月たちの素質を見出した。
とにかく、睨むのをやめてもらうためにルーゼルは月に謝罪した。
「すまない。
怖がらせるつもりはなかったんだ。」
月はちょっとだけルーゼルの方を向いて、小さく頷いた。
それを見た輝夜は睨むのをやめた。
そこに司祭が戻ってきた。
「皆様、お待たせ致しました。
大司教様のもとまでご案内致します。」
「行こうか。」
ルーゼルはそう言い、司祭の後に続いて教会へ向かう。
輝夜は月を撫でて、ルーゼルの後に続いた。
───────────────
教会の奥の方にある豪華な客室に入ると、1人の男性が立っていた。
「カーネル公爵様、お待ちしておりました。
本日はどのようなご要件で。」
「この子たちの魔力検査と適性検査をしたいのだが、可能か?」
「はい。
準備が出来ましたら、お呼び致します。」
「ああ。
よろしく頼む。」
大司教は司祭と共に、部屋を出た。
部屋には3人と2匹だけになった。
しばらく、無言の時間が続く。
ルーゼルは気まずくなって、月たちに話しかけた。
「ところで、どうしてルナは喋らないんだ?」
ピクッ
月は輝夜の服を強く握った。
輝夜も月を力強く抱きしめた。
「……あなたには関係ないことでしょう。」
輝夜は冷たい声で言った。
「………ッ!!」
前の時とは、比にならないほどの威圧感と微かに感じられた殺気。
春夜と冬夜もルーゼルを威嚇する。
ルーゼルは意識を保つことだけで精一杯だった。
ルーゼルでなければ既に意識はなかっただろう。
息をすることも困難になり、意識が朦朧としてきた。
そこで、月が輝夜の服を握って首を振った。
「月…。
いいのか?」
輝夜が月に聞く。
月は小さく頷いた。
輝夜が月を強く抱きしめる。
「……今回だけだ。」
輝夜はルーゼルを睨むのをやめた。
輝夜は寝ている月を抱えて、王都にあるリーベルト王国で一番大きな教会の前にいた。
春夜たちも一緒だ。
教会から人が出て来た。
「カーネル公爵様、お待ちしておりました。
私、司祭をしている者です。
本日はどのようなご要件でしょうか?」
「この子たちの魔力検査と適性検査をしたい。
大司教はいるか。」
「……ッ!?
はい。
すぐにお呼びして参ります。」
そう言って、月たちを見て動揺を隠せていない司祭は、頭を下げてから大司教を呼びに行った。
「今のうちに起こしておけ。」
ルーゼルは輝夜に言った。
「月。」
輝夜が月を優しく叩く。
「んぅ~」
月が目をゆっくりと開けた。
「……ッ!?」
ルーゼルはまたもや驚愕することになった。
輝夜とは逆になっているそのオッドアイの目に、心を奪われる。
(とても美しい。
まるで全てを見透かされているようだ。)
ルーゼルは月たちの目を見ていると、美しいと思うと同時に、心の内を見透かされているようで怖くなった。
ルーゼルは月を見た。
月は体を膠着させて、輝夜に頭を擦り付け、服を強く掴む。
そんな月に、輝夜の月を抱きしめる腕にも力が入る。
輝夜がルーゼルを睨む。
ゾワッ
ルーゼルは背筋に寒気を感じた。
全身に汗が吹き出る。
その目には、支配者としての威圧感があった。
(この子たちには上に立つ者としての素質があるのかもしれない。)
ルーゼルは月たちの素質を見出した。
とにかく、睨むのをやめてもらうためにルーゼルは月に謝罪した。
「すまない。
怖がらせるつもりはなかったんだ。」
月はちょっとだけルーゼルの方を向いて、小さく頷いた。
それを見た輝夜は睨むのをやめた。
そこに司祭が戻ってきた。
「皆様、お待たせ致しました。
大司教様のもとまでご案内致します。」
「行こうか。」
ルーゼルはそう言い、司祭の後に続いて教会へ向かう。
輝夜は月を撫でて、ルーゼルの後に続いた。
───────────────
教会の奥の方にある豪華な客室に入ると、1人の男性が立っていた。
「カーネル公爵様、お待ちしておりました。
本日はどのようなご要件で。」
「この子たちの魔力検査と適性検査をしたいのだが、可能か?」
「はい。
準備が出来ましたら、お呼び致します。」
「ああ。
よろしく頼む。」
大司教は司祭と共に、部屋を出た。
部屋には3人と2匹だけになった。
しばらく、無言の時間が続く。
ルーゼルは気まずくなって、月たちに話しかけた。
「ところで、どうしてルナは喋らないんだ?」
ピクッ
月は輝夜の服を強く握った。
輝夜も月を力強く抱きしめた。
「……あなたには関係ないことでしょう。」
輝夜は冷たい声で言った。
「………ッ!!」
前の時とは、比にならないほどの威圧感と微かに感じられた殺気。
春夜と冬夜もルーゼルを威嚇する。
ルーゼルは意識を保つことだけで精一杯だった。
ルーゼルでなければ既に意識はなかっただろう。
息をすることも困難になり、意識が朦朧としてきた。
そこで、月が輝夜の服を握って首を振った。
「月…。
いいのか?」
輝夜が月に聞く。
月は小さく頷いた。
輝夜が月を強く抱きしめる。
「……今回だけだ。」
輝夜はルーゼルを睨むのをやめた。
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