最強の一族は自由気ままに生きていく

夜月

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1章

7

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 次の日

 輝夜は寝ている月を抱えて、王都にあるリーベルト王国で一番大きな教会の前にいた。
 春夜たちも一緒だ。

 教会から人が出て来た。

「カーネル公爵様、お待ちしておりました。
 私、司祭をしている者です。
 本日はどのようなご要件でしょうか?」

「この子たちの魔力検査と適性検査をしたい。
 大司教はいるか。」

「……ッ!?
 はい。
 すぐにお呼びして参ります。」

 そう言って、月たちを見て動揺を隠せていない司祭は、頭を下げてから大司教を呼びに行った。

「今のうちに起こしておけ。」

 ルーゼルは輝夜に言った。

「月。」

 輝夜が月を優しく叩く。

「んぅ~」

 月が目をゆっくりと開けた。

「……ッ!?」

 ルーゼルはまたもや驚愕することになった。

 輝夜とは逆になっているそのオッドアイの目に、心を奪われる。

 (とても美しい。
 まるで全てを見透かされているようだ。)

 ルーゼルは月たちの目を見ていると、美しいと思うと同時に、心の内を見透かされているようで怖くなった。

 ルーゼルは月を見た。

 月は体を膠着させて、輝夜に頭を擦り付け、服を強く掴む。

 そんな月に、輝夜の月を抱きしめる腕にも力が入る。

 輝夜がルーゼルを睨む。

 ゾワッ

 ルーゼルは背筋に寒気を感じた。
 全身に汗が吹き出る。

 その目には、支配者としての威圧感があった。

 (この子たちには上に立つ者としての素質があるのかもしれない。)

 ルーゼルは月たちの素質を見出した。

 とにかく、睨むのをやめてもらうためにルーゼルは月に謝罪した。

「すまない。
 怖がらせるつもりはなかったんだ。」

 月はちょっとだけルーゼルの方を向いて、小さく頷いた。
 それを見た輝夜は睨むのをやめた。

 そこに司祭が戻ってきた。

「皆様、お待たせ致しました。
 大司教様のもとまでご案内致します。」

「行こうか。」

 ルーゼルはそう言い、司祭の後に続いて教会へ向かう。

 輝夜は月を撫でて、ルーゼルの後に続いた。


 ───────────────


 教会の奥の方にある豪華な客室に入ると、1人の男性が立っていた。

「カーネル公爵様、お待ちしておりました。
 本日はどのようなご要件で。」

「この子たちの魔力検査と適性検査をしたいのだが、可能か?」

「はい。
 準備が出来ましたら、お呼び致します。」

「ああ。
 よろしく頼む。」

 大司教は司祭と共に、部屋を出た。

 部屋には3人と2匹だけになった。

 しばらく、無言の時間が続く。

 ルーゼルは気まずくなって、月たちに話しかけた。

「ところで、どうしてルナは喋らないんだ?」


 ピクッ


 月は輝夜の服を強く握った。
 輝夜も月を力強く抱きしめた。

「……あなたには関係ないことでしょう。」

 輝夜は冷たい声で言った。

「………ッ!!」

 前の時とは、比にならないほどの威圧感と微かに感じられた殺気。

 春夜と冬夜もルーゼルを威嚇する。

 ルーゼルは意識を保つことだけで精一杯だった。
 ルーゼルでなければ既に意識はなかっただろう。

 息をすることも困難になり、意識が朦朧としてきた。

 そこで、月が輝夜の服を握って首を振った。

「月…。
 いいのか?」

 輝夜が月に聞く。

 月は小さく頷いた。

 輝夜が月を強く抱きしめる。

「……今回だけだ。」

 輝夜はルーゼルを睨むのをやめた。





     
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