ふざけてやがる

むらじ

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ふざけるな

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世の中には必ず自分にあったポジションが存在する。

みんなをまとめるリーダー、リーダーの意見に賛成するモブ

いじめっこ、いじめられっこ

クールキャラとか熱血キャラとか。少なからず自分に適したタイプのポジションが存在する。

俺、小里こさと和樹かずきにも存在する。

それは王子様ポジション。少女漫画でよくあるだろう。純日本人の名前のくせに金髪でさらになぜが先生に咎められないやつ。

俺は残念ながら黒髪だが、かっこよくて背が高くて優しくて面白くて文武両道、と長年言われてきた。

もちろん女子からも山ほど告白された。小さい頃から数えて100から先は覚えてない。

こんなあまりにも典型的な王子様キャラだったものだから、好きになる子も変わった子だと思っていた。恋愛に疎くて、オシャレとか好きじゃなくて、でもちゃんとした格好したらかわいい子。

そしてその予感は命中した。俺はクラスの物静かな女子、中里なかざと小春こはるに恋をした。いつも女子と話したりなどせず携帯をいじったり本を読んだりしている。

俺はそれから彼女にアタックし続けた。


「君と隣の席になれて嬉しいよ」

「その本面白い?よかったら君のオススメの本を貸してほしいな」

「君はかわいいよ、ほら、メガネをはずして髪をおろせば・・・え、あ、・・・・その・・・ごめんね、想像以上にかわいくて、ちょっとびっくりしちゃった・・・」


少しずつ好意をよせても、きっと君は気づいていないだろう。それでいい。それこそが俺のあるべき姿だ。それでこその俺が好きな彼女だ。

そして俺は告白するにはまだ早い時期に告白した。

「俺と・・・付き合って欲しいな」

もちろん彼女はどこかへ付き合うなど、告白とは程遠い勘違いをするだろう。当たり前だ。そんな彼女に惚れたんだから。この告白を踏み台として俺は彼女と親密な関係となりたいのだ。

さあ、彼女はどんな突拍子のないことを言うのだろうか。

___ところが彼女は顔を赤らめ俯き、声をつまらせて答えた。







「________よ、よろ・・・こん・・・・・で・・・」





______え?






冗談だろう。

なんで君は普通の女子のような答え方をするんだ。どうして愛の告白だと気づくんだ。違うだろう、そんなの俺が好きだった彼女じゃない。

なぜ______俺の思ってた回答をしないんだ。

少女漫画みたいな、前途多難な恋愛ができると期待していたのに。










がっかりだ






俺は彼女を睨みつけ冷たい声で言い放った。



_________「ふざけるな」
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