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第二部:天上を舞う天使は雲の中を惑いそして墜ちる。
惑いの先に⑤
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彼に、何をどう言おう。
アンジェリカの頭の中には伝えたいことがたくさんあるのに、いや、たくさんあり過ぎて、素直に出て来てくれない。
色々と考えていると有無を言わさず睡魔に呑み込まれてしまいそうで、彼女はとにかく口を開いた。
「すまなかった、ブライアン」
飛び出したのは、その一言。
けれど、唐突なアンジェリカの謝罪に、彼が目を丸くする。
「何で謝るの?」
ブライアンの顔も声も困惑しきりといった様子だ。そう返されると思っていなかった彼女は、ムッと眉間にしわを寄せる。
「謝りたいから謝るんだ」
「でも、悪いのはシェフィールドだろう?」
「そうじゃなくて、私が間抜けにもディアドラに騙されて攫われたことじゃなくて、いや、それもだけど、それだけじゃなくて謝りたいんだ」
言っていることが支離滅裂なことは判っていても、アンジェリカの舌は止まらなかった。
とにかく、話したい。話してしまいたくて仕方がない。なんというか、ギュウギュウに押さえつけていたものがパチンと弾けてしまったように、抑制が利かない。まるで、猫の目亭でよく見かけるベラベラとまくし立てて止まらない酔っ払いだ。
ブライアンが戸惑っているのはひしひしと伝わってきたけれど、それを無視してアンジェリカは続ける。
「私は頑迷過ぎた。強くありたいと思うあまりに、他には何も見えなくなっていた。多分、ブライアンが弱いままだったら良かったんだ。そうしたら、私が守ってあげていられたから」
「えぇっと……?」
「私は人を助けたかった。そうしなければいけないと思っていた。だって、父さまと母さまは私のせいで亡くなったのだから。そうすれば二人に報いることができると思ったのだと思う」
「アンジェリカ、それは……」
ブライアンが口を挟もうとしたけれど、アンジェリカは全く意に介さずとにかくしゃべり続ける。
「ブライアンのこともそうだ。あなたのことも守ってあげると思っていた。驕っていた。でも、ブライアンが強くなってしまったから、助ける相手ではなくなってしまったから、一緒にいて落ち着かない気分になったのだと思う。弱くて頼りなくて手を差し伸べる相手であってくれれば、私は安心できたんだ。私があなたを助けていられるから。でも、旅に出てからのブライアンはそうじゃなくて、誰かを守って『あげられる』私が揺らいでしまった――いつの間にか、あなたに守られる私になってしまった。きっと、それが怖かったのだと思う。私は、もう二度と、誰かに守られる自分になりたくなかったから」
そこでひとまず、はふ、と息継ぎ。
するとアンジェリカの目に何故か嬉しそうな顔をしているブライアンが入ってきて、眉をひそめる。
「……なんで、喜ぶ?」
「そりゃ、だって、あなたが、僕が強くて頼りがいがあって手を貸してやらなくてもよい男になったって言ってくれたから」
アンジェリカは、ムッと唇を尖らせた。
「私は、そんなことは言っていない」
けれどすぐに首をひねる。
「いや、言ったのか……?」
考えがまとまらず、心の中で思ったことと実際に声に出したことの区別がつかない。
そんなアンジェリカを見て、ブライアンが小さく笑った。その眼差しは、とても、優しい。
「アンジェリカが強くあろうと思うことは間違いではないだろうし、頑固でも全然構わない。それだって、あなたを形作る大事な要素の一つなんだから。謝る必要なんてないことなんだ」
そう言って、ブライアンがそっとアンジェリカの頬に触れた――かけがえのない宝物にでもするように。
馬車の中でウォーレスも同じように触れてきたけれど、あれとは全然違う。
ブライアンなら、少しも嫌な感じがしない。すごく、安心できる。
無意識のうちにその手に頬をすり寄せたアンジェリカに、ブライアンは一瞬息を止め、そして囁きと共に吐き出した。
「いいよ、あなたはドンドン歩いていけばいい。僕が頑張って追いつくようにするから。まだまだ足りないとは思うけど、僕はあなたのためならもっともっと強くなる――あなたと一緒に歩いていくためなら、いくらでも頑張るよ。アンジェリカがそう思うように、僕もあなたを守りたいんだ。守らせて欲しいんだ。そうせずにはいられないんだよ。あなたのことが愛おしいから」
「いとおしい?」
それは、どういう意味だっただろう。
眠気の靄《もや》は濃くなる一方で、確かに知っているはずのその言葉の意味が思い出せず、アンジェリカは首を捻った。
思い出せないけれど、それは、とても大事な、とても心地良い言葉だった気がする。
眉間にしわを寄せたアンジェリカにブライアンはふと微笑み、まるで、彼女が幼いころに父や母が良くそうしてくれたように彼女の額に口付ける素振りを見せ、つと動きを止めた。束の間固まり、そして、また背筋をただす。
「多分、アンジェリカのご両親も、あなたを守らずにはいられなかったんだと思うよ。恩がどうとか、そんなの全然関係なく、無条件に動いてしまったんじゃないかな。きっとね、守ったあなたに何かして欲しいとか、全然、考えていなかったと思う。ああ、いや、幸せになって欲しいとは、思っていただろうな」
「しあわせ……?」
「そう。きっと、お二人が望んだのはそれだけだ。僕が想うのと同じようにご両親がアンジェリカのことを大事に想っていたのなら、きっと、そう望んでいた――望んでいると思う」
「父さまと、母さまが……」
ブライアンの声は、不思議なほどにすんなりと、アンジェリカの心の奥に沁み込んでくる。彼のその言葉が触れたところから、ふわりと温もりが広がるようだった。それがいっそう、眠気を誘う。
「ブライアン……」
彼の名前をつぶやいたけれども、舌がうまく回らない。重くなってきた目蓋を、アンジェリカは懸命に維持する。必然的にブライアンの緑の瞳を食い入るように見つめることになって、ふと彼女は、彼の目はとても綺麗だなどと脈絡のないことを考えた。
アンジェリカのおかしな思考にはさっぱり気づいていない様子で、ブライアンも同じように彼女の目を覗き込みながらニコリと微笑む。
「僕はあなたに幸せになって欲しい。僕の隣でね。その特等席を誰かに奪わせるつもりはないんだ」
口元には笑みが浮かんでいても、どうしてか、彼の眼は少しも笑っていない。
珍しいなと眉をひそめるアンジェリカの手を、ブライアンはそっと持ち上げた。彼女の指の背に、彼の唇が柔らかく触れる。
「アンジェリカが僕を失うとすれば、それはあなたが僕のことを大嫌いになったときだけだよ――もっとも、アンジェリカが僕を嫌っても、僕の方があなたを手放せる気はしないけど。ましてや奪っていくなど、言語道断……」
うつむき加減になって発せられた台詞は口の中で消えていく低い囁き声で、アンジェリカの茫洋とした頭は受け止め損ねた。そんなふうにする彼は、何となく見知らぬ人のようだ。
「すまない、よくきこえなかった」
微かな居心地の悪さを覚えながらも何と言ったのか問い返そうとしたアンジェリカに、パッと面《おもて》を明るくして、ブライアンは返事の代わりに朗らかな笑みをよこす。
「いや、なんでもないよ」
かぶりを振ってそう言ったブライアンは、もう、いつもの彼だった。
(やっぱり、ブライアンは笑っていた方がいい)
ホッとすると同時に、アンジェリカは怒涛のような睡魔に襲われる。
ここまで懸命にこらえていたせいか、それはとてつもなく強烈な眠気で、もう耐えられそうにない。
(でも、まだ、ダメだ。眠ってしまう前に、これだけは伝えておかなければ)
アンジェリカはブライアンの上着を掴んだ手に力を込めて、彼の目を覗き込む。
「ブライアン」
明らかに呂律の回っていないその一言に、彼が眉をひそめた。
「アンジェリカ、あなた、大丈夫――」
「ディアドラに眠り薬を飲まされた。でも、それはいいから、聴いて欲しい。私は、これからも人の力になりたいと思う。でも、もう、独りでやろうとはしない。これからは、みんなの、あなたの、手を借りる。てを、こばまない」
ほとんど息継ぎもせずに言い終えた瞬間、指から――全身から、力が抜けた。かすむ視界に慌てふためく彼が映り、その口が何か言っているのが見えたけれども、その声はやけに遠い。
「アンジェリカ!?」
「なんでもない、ねむい、だけ」
もごもごとつぶやきながらグニャリともたれたアンジェリカの身体を、ブライアンがしっかりと抱き留めてくれた。それは、とても、心地良い。
(この腕があれば、大丈夫)
受け入れようとしなかった、受け入れたくなかったそんな気持ちを、彼女は、今は素直に呑み込めた。
和らいだ気持ちにつられて、自然と頬が緩む。
と、ブライアンが息を呑むのが伝わってきた。
何をそんなに驚いているのだろうと内心で首を傾げつつ、アンジェリカは目を閉じ、もうほとんど回らぬ舌を、なんとか動かす。
「ずっとわたしのそばにいてくれて、ありがとう」
かろうじてそれだけ口にして、解放された気分に包まれたアンジェリカは込み上げてくる穏やかな眠りの波に身を任せた。自分を包む腕にわずかに力がこもったのを感じたのを最後に、何も判らなくなる。
「アンジェリカ?」
呼びかけに、確かに何か、返したはずだ。
けれど、もう、それもあやふやで。
――ややして、アンジェリカを抱き締めたまま馬上で固まっているブライアンに追跡を断念して戻ってきたガブリエルが声高に状況説明を求めたのだけれども、スヤスヤと寝息を立てている彼女には、何一つ、届かなかった。
アンジェリカの頭の中には伝えたいことがたくさんあるのに、いや、たくさんあり過ぎて、素直に出て来てくれない。
色々と考えていると有無を言わさず睡魔に呑み込まれてしまいそうで、彼女はとにかく口を開いた。
「すまなかった、ブライアン」
飛び出したのは、その一言。
けれど、唐突なアンジェリカの謝罪に、彼が目を丸くする。
「何で謝るの?」
ブライアンの顔も声も困惑しきりといった様子だ。そう返されると思っていなかった彼女は、ムッと眉間にしわを寄せる。
「謝りたいから謝るんだ」
「でも、悪いのはシェフィールドだろう?」
「そうじゃなくて、私が間抜けにもディアドラに騙されて攫われたことじゃなくて、いや、それもだけど、それだけじゃなくて謝りたいんだ」
言っていることが支離滅裂なことは判っていても、アンジェリカの舌は止まらなかった。
とにかく、話したい。話してしまいたくて仕方がない。なんというか、ギュウギュウに押さえつけていたものがパチンと弾けてしまったように、抑制が利かない。まるで、猫の目亭でよく見かけるベラベラとまくし立てて止まらない酔っ払いだ。
ブライアンが戸惑っているのはひしひしと伝わってきたけれど、それを無視してアンジェリカは続ける。
「私は頑迷過ぎた。強くありたいと思うあまりに、他には何も見えなくなっていた。多分、ブライアンが弱いままだったら良かったんだ。そうしたら、私が守ってあげていられたから」
「えぇっと……?」
「私は人を助けたかった。そうしなければいけないと思っていた。だって、父さまと母さまは私のせいで亡くなったのだから。そうすれば二人に報いることができると思ったのだと思う」
「アンジェリカ、それは……」
ブライアンが口を挟もうとしたけれど、アンジェリカは全く意に介さずとにかくしゃべり続ける。
「ブライアンのこともそうだ。あなたのことも守ってあげると思っていた。驕っていた。でも、ブライアンが強くなってしまったから、助ける相手ではなくなってしまったから、一緒にいて落ち着かない気分になったのだと思う。弱くて頼りなくて手を差し伸べる相手であってくれれば、私は安心できたんだ。私があなたを助けていられるから。でも、旅に出てからのブライアンはそうじゃなくて、誰かを守って『あげられる』私が揺らいでしまった――いつの間にか、あなたに守られる私になってしまった。きっと、それが怖かったのだと思う。私は、もう二度と、誰かに守られる自分になりたくなかったから」
そこでひとまず、はふ、と息継ぎ。
するとアンジェリカの目に何故か嬉しそうな顔をしているブライアンが入ってきて、眉をひそめる。
「……なんで、喜ぶ?」
「そりゃ、だって、あなたが、僕が強くて頼りがいがあって手を貸してやらなくてもよい男になったって言ってくれたから」
アンジェリカは、ムッと唇を尖らせた。
「私は、そんなことは言っていない」
けれどすぐに首をひねる。
「いや、言ったのか……?」
考えがまとまらず、心の中で思ったことと実際に声に出したことの区別がつかない。
そんなアンジェリカを見て、ブライアンが小さく笑った。その眼差しは、とても、優しい。
「アンジェリカが強くあろうと思うことは間違いではないだろうし、頑固でも全然構わない。それだって、あなたを形作る大事な要素の一つなんだから。謝る必要なんてないことなんだ」
そう言って、ブライアンがそっとアンジェリカの頬に触れた――かけがえのない宝物にでもするように。
馬車の中でウォーレスも同じように触れてきたけれど、あれとは全然違う。
ブライアンなら、少しも嫌な感じがしない。すごく、安心できる。
無意識のうちにその手に頬をすり寄せたアンジェリカに、ブライアンは一瞬息を止め、そして囁きと共に吐き出した。
「いいよ、あなたはドンドン歩いていけばいい。僕が頑張って追いつくようにするから。まだまだ足りないとは思うけど、僕はあなたのためならもっともっと強くなる――あなたと一緒に歩いていくためなら、いくらでも頑張るよ。アンジェリカがそう思うように、僕もあなたを守りたいんだ。守らせて欲しいんだ。そうせずにはいられないんだよ。あなたのことが愛おしいから」
「いとおしい?」
それは、どういう意味だっただろう。
眠気の靄《もや》は濃くなる一方で、確かに知っているはずのその言葉の意味が思い出せず、アンジェリカは首を捻った。
思い出せないけれど、それは、とても大事な、とても心地良い言葉だった気がする。
眉間にしわを寄せたアンジェリカにブライアンはふと微笑み、まるで、彼女が幼いころに父や母が良くそうしてくれたように彼女の額に口付ける素振りを見せ、つと動きを止めた。束の間固まり、そして、また背筋をただす。
「多分、アンジェリカのご両親も、あなたを守らずにはいられなかったんだと思うよ。恩がどうとか、そんなの全然関係なく、無条件に動いてしまったんじゃないかな。きっとね、守ったあなたに何かして欲しいとか、全然、考えていなかったと思う。ああ、いや、幸せになって欲しいとは、思っていただろうな」
「しあわせ……?」
「そう。きっと、お二人が望んだのはそれだけだ。僕が想うのと同じようにご両親がアンジェリカのことを大事に想っていたのなら、きっと、そう望んでいた――望んでいると思う」
「父さまと、母さまが……」
ブライアンの声は、不思議なほどにすんなりと、アンジェリカの心の奥に沁み込んでくる。彼のその言葉が触れたところから、ふわりと温もりが広がるようだった。それがいっそう、眠気を誘う。
「ブライアン……」
彼の名前をつぶやいたけれども、舌がうまく回らない。重くなってきた目蓋を、アンジェリカは懸命に維持する。必然的にブライアンの緑の瞳を食い入るように見つめることになって、ふと彼女は、彼の目はとても綺麗だなどと脈絡のないことを考えた。
アンジェリカのおかしな思考にはさっぱり気づいていない様子で、ブライアンも同じように彼女の目を覗き込みながらニコリと微笑む。
「僕はあなたに幸せになって欲しい。僕の隣でね。その特等席を誰かに奪わせるつもりはないんだ」
口元には笑みが浮かんでいても、どうしてか、彼の眼は少しも笑っていない。
珍しいなと眉をひそめるアンジェリカの手を、ブライアンはそっと持ち上げた。彼女の指の背に、彼の唇が柔らかく触れる。
「アンジェリカが僕を失うとすれば、それはあなたが僕のことを大嫌いになったときだけだよ――もっとも、アンジェリカが僕を嫌っても、僕の方があなたを手放せる気はしないけど。ましてや奪っていくなど、言語道断……」
うつむき加減になって発せられた台詞は口の中で消えていく低い囁き声で、アンジェリカの茫洋とした頭は受け止め損ねた。そんなふうにする彼は、何となく見知らぬ人のようだ。
「すまない、よくきこえなかった」
微かな居心地の悪さを覚えながらも何と言ったのか問い返そうとしたアンジェリカに、パッと面《おもて》を明るくして、ブライアンは返事の代わりに朗らかな笑みをよこす。
「いや、なんでもないよ」
かぶりを振ってそう言ったブライアンは、もう、いつもの彼だった。
(やっぱり、ブライアンは笑っていた方がいい)
ホッとすると同時に、アンジェリカは怒涛のような睡魔に襲われる。
ここまで懸命にこらえていたせいか、それはとてつもなく強烈な眠気で、もう耐えられそうにない。
(でも、まだ、ダメだ。眠ってしまう前に、これだけは伝えておかなければ)
アンジェリカはブライアンの上着を掴んだ手に力を込めて、彼の目を覗き込む。
「ブライアン」
明らかに呂律の回っていないその一言に、彼が眉をひそめた。
「アンジェリカ、あなた、大丈夫――」
「ディアドラに眠り薬を飲まされた。でも、それはいいから、聴いて欲しい。私は、これからも人の力になりたいと思う。でも、もう、独りでやろうとはしない。これからは、みんなの、あなたの、手を借りる。てを、こばまない」
ほとんど息継ぎもせずに言い終えた瞬間、指から――全身から、力が抜けた。かすむ視界に慌てふためく彼が映り、その口が何か言っているのが見えたけれども、その声はやけに遠い。
「アンジェリカ!?」
「なんでもない、ねむい、だけ」
もごもごとつぶやきながらグニャリともたれたアンジェリカの身体を、ブライアンがしっかりと抱き留めてくれた。それは、とても、心地良い。
(この腕があれば、大丈夫)
受け入れようとしなかった、受け入れたくなかったそんな気持ちを、彼女は、今は素直に呑み込めた。
和らいだ気持ちにつられて、自然と頬が緩む。
と、ブライアンが息を呑むのが伝わってきた。
何をそんなに驚いているのだろうと内心で首を傾げつつ、アンジェリカは目を閉じ、もうほとんど回らぬ舌を、なんとか動かす。
「ずっとわたしのそばにいてくれて、ありがとう」
かろうじてそれだけ口にして、解放された気分に包まれたアンジェリカは込み上げてくる穏やかな眠りの波に身を任せた。自分を包む腕にわずかに力がこもったのを感じたのを最後に、何も判らなくなる。
「アンジェリカ?」
呼びかけに、確かに何か、返したはずだ。
けれど、もう、それもあやふやで。
――ややして、アンジェリカを抱き締めたまま馬上で固まっているブライアンに追跡を断念して戻ってきたガブリエルが声高に状況説明を求めたのだけれども、スヤスヤと寝息を立てている彼女には、何一つ、届かなかった。
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