暴力性の遺伝

久手堅悠作

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暴力性の遺伝

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男「実は僕の父親、人を1人殺したことがあるんだ。だから別れよう」

女「どうして?」

男「そういう暴力性が遺伝するかもしれない」

女「しないよ」

男「するよ。現に、俺だって……」

女「へ、何? よく聞こえなかった」

男「それに、生まれてくる子どもが可哀想だし」

女「親が犯罪者だからと言ってそれは子どもの罪にはならない」

男「それは……そうだけど。でも君は僕と同じ立場じゃないから僕の気持ちなんてわからないよ」

女「わかるよ。だって私の祖父、戦争を指揮した西條英機だもん。それに親が犯罪者であろうと関係ない。そうだとしても、私たちが正しく生きればいいだけの話じゃない」

男「君は学校でいじめられたりしなかったの?」

女「普通にいじめられたよ」

男「なのに正しく生きられたの?」

女「え?」

男「そんな目に遭って人を殺したいとは思わなかったの?」

女「いや私、27年生きてきて一度も人を殺したいと思ったことないよ? 翔太くんはあるの?」
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