免罪符

久手堅悠作

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免罪符

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娘「お父様。死なないで下さい! お父様にもう会えなくなるなんて私耐えられません」

父「今までありがとう。……大丈夫。天国でまた会えるさ」

娘「え、天国? お父様は自分が天国に行けると思っていらっしゃるのですか?」

父「へ?」

娘「お父様は100人も処刑しているので天国には行けませんよ」

父「でもあれは罪を犯した者達だぞ」

娘「罪の有無なんて関係ありません。人を殺したのだから地獄行きです」

父「……そんな」

娘「でもその代わり給料が高くて良かったじゃないですか。それに現世で遊び尽くしたんだから、天国に行ったところでやることなかったと思いますよ」

父「いや、私は絶対に地獄になんて堕ちない。免罪符だって100人分ちゃんと買ったんだ」

娘「金を払えばキリストがお父様の罪を許して、天国に行けるとでも思っているんですか? 薄っぺらい信仰心ですね」

父「黙れ、お前に私の気持ちがわかるか。この仕事のせいで酒を飲んでも女と寝てもタバコを吸っても、何をやっても心が晴れない。寝る前にいつも死ぬ時のことが頭をよぎる。私は天国に行けるんだろうかってな。だからいつも教会で祈っていたさ。私に殺された人が安らかに眠れますようにって。それでもあいつらは夢で私のことを責め立ててくる。これを買って救いがないなら私の人生は一体何だったんだ?」
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