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エピソード9
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あれから三日が経った。白亜が外で過ごしている間、僕は中で原因を予想する……そんな日々が続いた。相変わらず白亜は楽しそうにしているが、時々苦しそうな感情を一瞬出ることがある。心のどこかで僕が戻れないことを気にしているみたいに見え、「なんとも自意識過剰な」と苦笑いしてしまう。
「だけど、もう終わりにしよう……白亜」
これ以上白亜を苦しませたくない。この思いを胸に今夜、決着をつけようと決意した。
その日の夜。いつかの日みたいに僕たちは集まった。あまりに状況が似ていたのでつい笑ってしまいそうになる。
「あれから三日……何かわかったのかい?」
白亜は真剣な表情で聞いてきた。
「ああ。やっと分かったよ。今回の事件の原因」
この時の僕は少し気持ちが舞い上がっていたのかもしてない。
「おおっ。やけに自信があるようだが、さっそく教えてくれないか?」
白亜は期待を込めた目でこちらを見つめてくる。
僕は震える手を押さえつけ、気持ちを落ち着かせ、言葉を出した。
「単刀直入に言うよ………白亜。君が原因、もとい犯人だろう?」
「…………は?」
白亜は拍子抜け表情をした。
「何故僕が犯人なんだい?君は何の根拠もなく言ったわけじゃないだろう?」
白亜は少し怒りがこもった声でそう言ってきた。僕は努めて冷静になろうとする。
「……まず君に聞いたね?今日のことで何か心当たりはあるか、と。そしたら君は、前と同じようにしたはずだって。そう言ったんだ」
白亜の表情は真顔で一ミリも動いていない。
「前と同じ……僕にとってもそれは”白亜が表に出る”方法にほかないんだ。………言いたいことはわかるよね?」
「つまり僕は、自分が表に出る方法しか知らないのに、”送ってあげる”と言って君をだました……そう言いたいわけか」
白亜はしばらく考え、
「でも、僕にはわざわざ嘘をつく理由がない。僕だって言ったはずだ。”前の君を今の君にするために僕は行動していた”と」
やはり納得できない様子で反論した。
「いや、君には十分動機はある。………君は表に出ているとき、すごく楽しそうだったね。この空間にも、君の心の温かさは伝わったよ。……だからこそ心残りがあった。それもこの空間に伝わってきたよ。盛っとみんなと生活したいっていうね」
表面上だと白亜の表情は変わってない。しかし、よく見ると、唇を噛んで、何かをこらえようとしているように見えた。
「そして何より――――――あの別れ際の苦しそうな声。あれが一番の決め手だよ」
「…………」
沈黙が続く。その間彼は何を思っているのか、僕には分からない。――――――正直、僕のこの推測は穴だらけのダメな物とは自覚している。しかし、白亜はいわば昔の僕だ。昔の僕は辛いこと、悲しいことを心配させまいと我慢してた。そして言葉の意味をそのまま解釈する。裏を読まない、というより苦手と言ったほうがいい。もちろん何もかもむかしのままというわけでないと思うが、僕はその可能性を信じてあの推測を口にした。
「……………」
いまだ白亜は沈黙している。何を言ったらいいか分からないのかもしれない。……僕もそうだった。平常だと判断してもらうために黙って、表情も変えないでいた。しかしそれは決まって母や父にバレていた。
そして、こういう時には――――――、
「――――――」
「っ!?」
こうやって抱きしめた。僕の突然の行動に白亜は当然ながら驚くのと同時に困惑しているように見えた。
「大丈夫。もう、我慢しなくていいよ」
「―――っ。う、ぅぅぅ」
僕がそう言うと、白亜は何かから解放されたかのように泣き崩れた。
「だけど、もう終わりにしよう……白亜」
これ以上白亜を苦しませたくない。この思いを胸に今夜、決着をつけようと決意した。
その日の夜。いつかの日みたいに僕たちは集まった。あまりに状況が似ていたのでつい笑ってしまいそうになる。
「あれから三日……何かわかったのかい?」
白亜は真剣な表情で聞いてきた。
「ああ。やっと分かったよ。今回の事件の原因」
この時の僕は少し気持ちが舞い上がっていたのかもしてない。
「おおっ。やけに自信があるようだが、さっそく教えてくれないか?」
白亜は期待を込めた目でこちらを見つめてくる。
僕は震える手を押さえつけ、気持ちを落ち着かせ、言葉を出した。
「単刀直入に言うよ………白亜。君が原因、もとい犯人だろう?」
「…………は?」
白亜は拍子抜け表情をした。
「何故僕が犯人なんだい?君は何の根拠もなく言ったわけじゃないだろう?」
白亜は少し怒りがこもった声でそう言ってきた。僕は努めて冷静になろうとする。
「……まず君に聞いたね?今日のことで何か心当たりはあるか、と。そしたら君は、前と同じようにしたはずだって。そう言ったんだ」
白亜の表情は真顔で一ミリも動いていない。
「前と同じ……僕にとってもそれは”白亜が表に出る”方法にほかないんだ。………言いたいことはわかるよね?」
「つまり僕は、自分が表に出る方法しか知らないのに、”送ってあげる”と言って君をだました……そう言いたいわけか」
白亜はしばらく考え、
「でも、僕にはわざわざ嘘をつく理由がない。僕だって言ったはずだ。”前の君を今の君にするために僕は行動していた”と」
やはり納得できない様子で反論した。
「いや、君には十分動機はある。………君は表に出ているとき、すごく楽しそうだったね。この空間にも、君の心の温かさは伝わったよ。……だからこそ心残りがあった。それもこの空間に伝わってきたよ。盛っとみんなと生活したいっていうね」
表面上だと白亜の表情は変わってない。しかし、よく見ると、唇を噛んで、何かをこらえようとしているように見えた。
「そして何より――――――あの別れ際の苦しそうな声。あれが一番の決め手だよ」
「…………」
沈黙が続く。その間彼は何を思っているのか、僕には分からない。――――――正直、僕のこの推測は穴だらけのダメな物とは自覚している。しかし、白亜はいわば昔の僕だ。昔の僕は辛いこと、悲しいことを心配させまいと我慢してた。そして言葉の意味をそのまま解釈する。裏を読まない、というより苦手と言ったほうがいい。もちろん何もかもむかしのままというわけでないと思うが、僕はその可能性を信じてあの推測を口にした。
「……………」
いまだ白亜は沈黙している。何を言ったらいいか分からないのかもしれない。……僕もそうだった。平常だと判断してもらうために黙って、表情も変えないでいた。しかしそれは決まって母や父にバレていた。
そして、こういう時には――――――、
「――――――」
「っ!?」
こうやって抱きしめた。僕の突然の行動に白亜は当然ながら驚くのと同時に困惑しているように見えた。
「大丈夫。もう、我慢しなくていいよ」
「―――っ。う、ぅぅぅ」
僕がそう言うと、白亜は何かから解放されたかのように泣き崩れた。
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