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「おおきに。だいぶ、マシんなったわ」
身を起こした夏目の瞳の色は、どちらかわからない。
「部屋で水、飲んでもええ?」
「はい」
夏目に続き、部屋を出る。
瞳の色を窺うと、茶色だった。
夏目は壁のセキュリティー装置を開け、空中に現れたキーボードを叩いた。
聞き慣れた機械音のあと、キーボードが伸び縮みする円になり、夏目の網膜を認識したことで、ロックが解除され、ドアがスライドした。
目前に、自分達が宛がわれた部屋が広がる。
富嶽は夏目をベッドに座らせ、冷蔵庫からペットボトルをとった。
その際、自分のベッドの枕元にある時計をちらりと見た。
午後二時半。
まだ、復旧作業は続いているだろう。
ペットボトルの蓋を開け、夏目に渡す。
彼は礼を言ってから、水を喉に通した。
「気分はどうですか?」
「うん。少ししたら、一心と朝波に会うてくる」
「……わかりました。俺も同行します」
ジャケットからイヤホン型の通信機を出し、耳につけ、指で二回ノックした。
「指令班」
「はい。指令班宇田川です」
「F班、富嶽です。本日付で、一時、指令班の指揮下に入ることが決まったのですが、報告は受けていますか?」
宇田川という名の女性が肯定する。
「三代さんから指示をもらっていないのですが」
「富嶽班員については、引き続き、B班と作業をしていただくよう、班長から伺っています」
「わかりました」
「今後、別の用件ができたならば、こちらから連絡いたします」
「はい。龍崎班長に繋いでもらえますか?」
「了解しました。お待ちください」
キーボードが叩かれる。
「龍崎班長に繋ぎます」
ジジジと音がし、
「龍崎だ」
目的の相手が出た。
「富嶽です。無断で作業に参加せず、すみません」
「夏目に何かあったか?」
龍崎の問いに面食らった。
「体調が少し。今は、だいぶ良いと」
「そうか。用件は?」
「指令班から、別件の用ができるまではB班と共に動けと指示されたのですが、今日一日、休ませてもらえませんか?」
「夏目絡みか?」
「……甦禰看班長が朝波の知り合いに会ってほしい、と。付き添いたいんです」
「わかった」
礼を言って、通信を遮断した。
息をつくと、夏目と目が合った。
「なんや、俺、迷惑ばっか、かけとるな」
夏目の傍まで行き、額に口づけた。
「俺はこうやって」
夏目を囲うようにベッドに両手をつき、唇にキスをする。
「夏目さんに触れて話すことを許されているだけで、幸せです」
見つめていると、急に下を向かれた。
「俺の話、聴いてくれるか?」
そっと微笑んだ。
「もちろんです」
夏目は困ったように笑んだかと思えば、悲しげに俯いた。
「俺の目ぇ、もともとは青いんよ。血筋に、そういう人、おらへんから、親は揉めたみたいでな。不貞でできた子やないってのを証明するために、検査までしたんやって、小さい頃、祖母ちゃんから、よう聞かされた。子どもやったから、詳しゅうわからんかったけど、みんなが俺んこと、避けるんは、そういう大変な思いを親にさせたからやって思っとった。違うんやってわかったんは、いきなり、目ぇ、潰されそうになった時や」
ぶっそうな過去に、富嶽は眉根を寄せた。
「どういうことですか?」
身を起こした夏目の瞳の色は、どちらかわからない。
「部屋で水、飲んでもええ?」
「はい」
夏目に続き、部屋を出る。
瞳の色を窺うと、茶色だった。
夏目は壁のセキュリティー装置を開け、空中に現れたキーボードを叩いた。
聞き慣れた機械音のあと、キーボードが伸び縮みする円になり、夏目の網膜を認識したことで、ロックが解除され、ドアがスライドした。
目前に、自分達が宛がわれた部屋が広がる。
富嶽は夏目をベッドに座らせ、冷蔵庫からペットボトルをとった。
その際、自分のベッドの枕元にある時計をちらりと見た。
午後二時半。
まだ、復旧作業は続いているだろう。
ペットボトルの蓋を開け、夏目に渡す。
彼は礼を言ってから、水を喉に通した。
「気分はどうですか?」
「うん。少ししたら、一心と朝波に会うてくる」
「……わかりました。俺も同行します」
ジャケットからイヤホン型の通信機を出し、耳につけ、指で二回ノックした。
「指令班」
「はい。指令班宇田川です」
「F班、富嶽です。本日付で、一時、指令班の指揮下に入ることが決まったのですが、報告は受けていますか?」
宇田川という名の女性が肯定する。
「三代さんから指示をもらっていないのですが」
「富嶽班員については、引き続き、B班と作業をしていただくよう、班長から伺っています」
「わかりました」
「今後、別の用件ができたならば、こちらから連絡いたします」
「はい。龍崎班長に繋いでもらえますか?」
「了解しました。お待ちください」
キーボードが叩かれる。
「龍崎班長に繋ぎます」
ジジジと音がし、
「龍崎だ」
目的の相手が出た。
「富嶽です。無断で作業に参加せず、すみません」
「夏目に何かあったか?」
龍崎の問いに面食らった。
「体調が少し。今は、だいぶ良いと」
「そうか。用件は?」
「指令班から、別件の用ができるまではB班と共に動けと指示されたのですが、今日一日、休ませてもらえませんか?」
「夏目絡みか?」
「……甦禰看班長が朝波の知り合いに会ってほしい、と。付き添いたいんです」
「わかった」
礼を言って、通信を遮断した。
息をつくと、夏目と目が合った。
「なんや、俺、迷惑ばっか、かけとるな」
夏目の傍まで行き、額に口づけた。
「俺はこうやって」
夏目を囲うようにベッドに両手をつき、唇にキスをする。
「夏目さんに触れて話すことを許されているだけで、幸せです」
見つめていると、急に下を向かれた。
「俺の話、聴いてくれるか?」
そっと微笑んだ。
「もちろんです」
夏目は困ったように笑んだかと思えば、悲しげに俯いた。
「俺の目ぇ、もともとは青いんよ。血筋に、そういう人、おらへんから、親は揉めたみたいでな。不貞でできた子やないってのを証明するために、検査までしたんやって、小さい頃、祖母ちゃんから、よう聞かされた。子どもやったから、詳しゅうわからんかったけど、みんなが俺んこと、避けるんは、そういう大変な思いを親にさせたからやって思っとった。違うんやってわかったんは、いきなり、目ぇ、潰されそうになった時や」
ぶっそうな過去に、富嶽は眉根を寄せた。
「どういうことですか?」
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