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「俺については慣れてもらうとして、力を使うたびに、人の感情でストレスを抱えるのは、好ましいことじゃありませんね」
夏目が体をずらすことをやめる。
瞳の色は茶色になっていた。
「色が見えなければ怖くないですか?」
「たぶん」
「じゃあ。……ちょっと、手、離しますね」
自分のベッドの下からスポーツバッグをとり、チャックを開ける。
地下で買った諸々が整頓されて入っている。
富嶽は奥にあった、ゴーグルを手にした。
レンズはオレンジ色だ。
戦闘に参加して間もない頃、イーバへの恐怖を色で誤魔化すために購入した。
「俺が使っていたものですが」
「おっ! 懐かしい!」
「つけてみてください」
ゴーグルを夏目に手渡す。
夏目は装着するとにっこりした。
「オレンジや」
「はい。オレンジです。力を使ってみてください」
ゴーグル越しに、夏目の目の色の変化はわからない。
角度によっては光の加減で、目自体も見えない。
「力、使ってます?」
「うん。もしかして、俺の目ぇ、青うない?」
「レンズがいい働きしてます」
「そか。点の色も、細かくはわからんよ」
「もっと色の濃いレンズにすれば、目は隠れるでしょうし、点の色も、今よりカバーできるかもしれません。今度、一緒に選びにいきましょう。それまでは俺のを使ってください」
夏目がゴーグルを額まであげる。
茶色の瞳が富嶽を見つめた。
「富嶽は使わんでええの?」
「そうですね。捨てるのに気が引けて、持っていただけなので」
「いらんのやったら、俺が買ってもええ?」
売買の流れに、意識が追いつかなかった。
「俺のゴーグルをですか?」
夏目が元気に頷く。
「それでよければ、あげます。お金はいりません」
「ええの? おおきに」
「けど、夏目さんの目的に合ったのを探した方がいいですよ」
「俺はこのゴーグルがええ」
夏目は引き下がろうとしない。
「あ、でも、デートはしよな」
「え?」
どこからそんな話が沸いて出てきたのだろう。
「二人でゴーグル探しに行こ、言うてくれたやん。ゴーグル探しはせえへんけど、デートはしよな」
夏目の言葉を理解した時、心臓が甘く痛んだ
「……はい」
「じゃ、一心達んとこへ行こか?」
夏目がゴーグルを額につけ、立ち上がる。
富嶽はとろけそうになる心を叱咤し、スッと、夏目の半歩、後ろについた。
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「おっ! 懐かしい!」
「つけてみてください」
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「オレンジや」
「はい。オレンジです。力を使ってみてください」
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「レンズがいい働きしてます」
「そか。点の色も、細かくはわからんよ」
「もっと色の濃いレンズにすれば、目は隠れるでしょうし、点の色も、今よりカバーできるかもしれません。今度、一緒に選びにいきましょう。それまでは俺のを使ってください」
夏目がゴーグルを額まであげる。
茶色の瞳が富嶽を見つめた。
「富嶽は使わんでええの?」
「そうですね。捨てるのに気が引けて、持っていただけなので」
「いらんのやったら、俺が買ってもええ?」
売買の流れに、意識が追いつかなかった。
「俺のゴーグルをですか?」
夏目が元気に頷く。
「それでよければ、あげます。お金はいりません」
「ええの? おおきに」
「けど、夏目さんの目的に合ったのを探した方がいいですよ」
「俺はこのゴーグルがええ」
夏目は引き下がろうとしない。
「あ、でも、デートはしよな」
「え?」
どこからそんな話が沸いて出てきたのだろう。
「二人でゴーグル探しに行こ、言うてくれたやん。ゴーグル探しはせえへんけど、デートはしよな」
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「……はい」
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