エセ関西人(笑)ってなんやねん!? 〜転生した辺境伯令嬢は親友のドラゴンと面白おかしく暮らします〜

紫南

文字の大きさ
64 / 212
7th ステージ

064 中々のレベルやでな

しおりを挟む
何の意図もなくレングを誘ったわけではない。きちんとリンディエールの中には理由があった。

完全に怯えてしまっている第二王子のためにも、レングは必要だ。だが、実はそれとは別の狙いもある。

「第二王子も知っとる者が居る方がええしな。あ、同じ理由でそっちの長男さんも来てえや」
「もちろん。お願いします」

レングの兄スレインが嬉しそうに頷いた。

そして、忘れてはならない最も重要なミッションをレングに課す。

「あとレング、うちの兄いとちょい交友を深めてくれん?」
「フィリクスと?」
「あ、もう名前で呼び合えるようになったんやね。ええ傾向や。ウチの兄い、大分シスコン……妹好きを拗らせとってなあ。普通にウチと結婚して子ども作るとか口走るほど愛してくれとんのよ」
「……」

誰もが絶句した。

「両親はウチに関わることでは全く役に立たへんし、じいちゃんとばあちゃんも、最近はサジ投げとるでなあ……ウチに手綱握らせよ思っとるんやろうけど、ウチやりたいことも、やらなあかんことも多いんよ。そこへきて、健気なかわいい弟も引き取ったでな……はっきり言って、手が回らん。そこでや!」
「っ、う、うん……私だね……」
「そうや!」

レングもなんとなく察したらしい。

「友達が出来れば、少しは気が紛れるやろ。頼むわ」
「……多分そんなに変わらないと思うけど……」
「それは聞きたない。ウチは希望を諦めん女や!」
「……分かった……」

ちょっとでも希望があるのならば賭ける。そして、必ずしもリン自身が対応しなくてはならないもの以外は、適材適所で親や祖父母、時に知人、友人、王だろうが、宰相だろうが使う。

「ほんなら、話もまとまったし、この後すぐ移動や。荷物もなんもいらんでな。あ、馬車でうちの別邸までは移動してもらおか。侍従と侍女も置いてってや。しっかり羽伸ばせるでな」
「本当にいいのか?」

王が申し訳なさそうな顔をしていた。

「遠慮はいらん」

デキる侍従のグランギリアが、既に家令のシュルツへ連絡を入れている。ファルビーラが当主であった時は、突然の来客も多かったらしく、それほどシュルツも対応に戸惑うことはない。

最近は、リンディエールが魔法師長のケンレスティンを唐突に拉致って来たり、ファルビーラやヘルナの元パーティメンバーを誘ったりしていたので、昔の感覚が戻ってきているらしかった。

なので、多少は王族ということで戸惑うかもしれないが、宰相のクイントが滞在したこともあり、それほど身構えることはないだろう。

そこで王妃が一つ確認する。

「あの……侍女も連れて行かなくていいと?」
「寧ろ、連れて行ってもらっては困るんよ。事情も説明せず、王さまの指示で少し出かける言うて出発して欲しいねん」
「それは……まさか、わたくしの侍女にも……」
「紛れとるんよ。王子、王女の方が多いけどな。そろそろ勧誘が入る頃やったわ。第一王子の方にも、様子見のがおるでな」
「っ、そんな……っ」

口元を手で覆う王妃。王子と王女もビクリと身を震わせていた。当然だろう。それが暗殺者でなかったから良かったものの。信頼できる者たちだと思っていた中に、自分たちの情報を漏らす者がいるのだから。

「心配せんでも、今日中に王宮内の掃除はしたるわ」
「わ、分かるのですか……?」
「鑑定で一発や。人の中ではウチは中々のレベルやでな」
「レベル……そう……なのですか……?」

王へも確認するように目を向ける王妃。

「そうだな……そう聞いているが……」
「ん? 見るか?」
「見る?」

首を傾げる一同。

「あ~、先ず【ステータス】」

自分だけに見えるようにしてから、非表示する箇所を意識する。

「称号非表示で【ステータスオープン】」

これならば色々と問題のある称号だけ見えなく出来るとヒストリアに教えてもらったのだ。


---------------
個称  ▷リンディエール・デリエスタ
 (ウィストラ国、デリエスタ辺境伯の長女)
年齢  ▷10
種族  ▷人族
称号  ▷非表示
レベル ▷286
体力  ▷4551000/4551000
魔力  ▷75002000
     /75002000

魔力属性▷風(Max)、火(Max)、
     土(Max)、水(Max)、
     光(Max)、闇(Max)、
     無(Max)、時(Max)、
     空(Max)
---------------


先ず王が目を丸くした。

「はあ!? 2、286!?」

クイントは首を傾げた。

「全属性使えるんですねっ。ん? 魔力属性の後ろが数字ではない?」

どうやら『Max』表示は初めて見るらしい。人族では先ず出ないので仕方がないだろう。逆に言えば、リンディエールは神が認めるほどの『魔法バカ』の証明だった。

他は完全に息を止めている。

恐らく、レベルの数字しか見えていない。というか、そのレベルの数字も目が滑っていそうだ。

因みに称号ありだとこうなる。


ーーーーーーーーーーーーーーー
個称  ▷リンディエール・デリエスタ
 (ウィストラ国、デリエスタ辺境伯の長女)
年齢  ▷10
種族  ▷人族
称号  ▷家族に思い出してもらえた子ども、
     家族愛を知りはじめた子、
     使用人と祖父母達に愛される娘、
     密かな愛され系女子(?)、
     目覚め人、エセ関西人(爆笑)、
     暴虐竜(魔族の偉人)の親友、
     魔法バカ(特異)、
     ゴブリンキングを倒した者、
     辺境の小さな英雄、
    *忠誠の誓いを受けし者(2)、
    *レベリング馬鹿、
    *兄に溺愛される者、
    *年上キラー(!)、
     竜の加護(特大)、
     神々の観劇対象(ニヤリ)
               【固定】、
     神々の加護(大)
レベル ▷286
体力  ▷4551000/4551000
魔力  ▷75002000
     /75002000

魔力属性▷風(Max)、火(Max)、
     土(Max)、水(Max)、
     光(Max)、闇(Max)、
     無(Max)、時(Max)、
     空(Max)
ーーーーーーーーーーーーー


『年上キラー』は見たくなかった。だが、新たに追加された印が出ているので、否応なく目に入ってきたのだ。

「……非表示のやり方聞いといて正解やったな……」

内心、ちょっとヒヤッとしたリンディエールだ。

「さてと……見て分かったやろ。ウチはレベル高いでな。精度の高い鑑定魔法が使えるんよ。掃除は任せえ」
「わ、分かりました……すべてお任せいたします……」

そうして、王都別邸に移動した彼らを、転移門で馬車ごと辺境へ送った。

その後すぐに王宮内の洗い出しをし、捕縛した者たちに、今後の計画や小さな拠点などを吐かせる。それらはクイントと王が直接行っていた。

翌日。

早朝から王都のデリエスタ家別邸には、リンディエールとベンディ、ファルビーラとヘルナ、グランギリアが集まっていた。

「さてと。ほんなら今日のノルマはそれぞれ十や。潰しまくるで~♪」
「普通、夜陰に紛れてやるものだけど……これもアリかしらね」
「悪いことしてるわけじゃねえんだから、白昼堂々でいいだろ。朝だけど」
「暗くないのはやり易いかと……」
「それもそうね」
「それもそうだな」

国から完全に追い出すのが目的だ。なので、少々逃げられたところで問題ない。

「でも隠れられちゃったら?」
「見つかったら怖いで……と見せつけられれば問題あらへん」
「なるほど。そりゃあ、存分に怖がらせんとなあ」
「派手にやっても?」
「他に被害が出んのなら、爆破もアリやで」
「それ、リンちゃんがやりたいだけじゃない……?」
「ばあちゃんも、遠慮は要らんでなっ」
「……なるほど。分かったわ!」

途端に目を輝かせるヘルナ。それに、ファルビーラが少しばかり怯える。

「……いやいや。遠慮はしようぜ……朝っぱらから迷惑……夜じゃないだけマシか?」
「夜の騒音ほど迷惑なもんはないで」
「だよな……ならいいか」

ファルビーラも毒されてきた。

「派手にやった方が……引き取りに来る兵も分かりやすい……」
「それあるわね」
「あるある。それ大事じゃね?」
「大事やね。回収が任せられるんなら、回転率も上げられんで」
「アリね」
「アリだな」
「それでいこう……」

この日から数日。王都だけでなく辺境周辺以外の場所では、朝からいくつもの爆発音が響いた。家がいくつか倒壊し、貴族の屋敷から数人ずつ人が消えた。

**********
読んでくださりありがとうございます◎
また来週です!
よろしくお願いします◎
しおりを挟む
感想 619

あなたにおすすめの小説

あなたが後悔しても、私の愛はもう戻りません

藤原遊
恋愛
婚約者のアルベルトは、優しい人だった。 ただ――いつも、私より優先する存在がいただけで。 「君は分かってくれると思っていた」 その一言で、リーシェは気づいてしまう。 私は、最初から選ばれていなかったのだと。 これは、奪われた恋を取り戻す物語ではない。 後悔する彼と、もう戻らないと決めた私、 そして“私を選ぶ人”に出会うまでの、静かな恋の終わりと始まりの物語。

私だけが愛して1度も笑ったことの無い夫が、死んだはずの息子を連れてもどってきた

まつめ
恋愛
夫はただの一度も私に笑いかけたことは無く、穏やかに夫婦の時間をもったこともない。魔法騎士団の、騎士団長を務める彼は、23年間の結婚生活のほとんどを戦地で過ごしている。22歳の息子の戦死の知らせが届く。けれど夫は元気な息子を連れて私の元に戻って来てくれた。

『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~

スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」 王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。 伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。 婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。 それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。 ――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。 「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」 リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。 彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。 絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。 彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。

もうすぐ帰って来る勇者様と私の結婚式が3日後ですが、プロポーズされていないといくら言っても誰も信じてくれません

まつめ
恋愛
3日後に村をあげての盛大な結婚式がある。それはもうすぐやって来る勇者様と自分の結婚式。けれど勇者様は王都の聖女様と結婚すると決まっている。私は聖女様の代わりに癒し手として勇者様を治療してきた、だから見事魔王を打ち破って帰って来た時、村人達は私が本物の聖女だと勘違い。私がいくら否定しても誰も聞いてはくれない。王様との謁見を終えてもうすぐ勇者様が村に帰って来る。私は一度も好きだと言われてないし、ましてや結婚しようとプロポーズも受けていない。村人達はお祭り騒ぎで結婚式の準備は加速していく。どうしようと困っているのに、心の奥底で「もしかしたら……」と大好きな勇者様が自分を選んでくれる未来を淡く期待して流されてしまう私なのだった。どうしよう……でもひょっとして私と結婚してくれる?

「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。

しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。

「その気になれない」と婚約破棄したあなたの、話を聞く必要がありますか?

さんけい
恋愛
国境を守るために結ばれた婚約を、侯爵家の令息は「その気になれない」という身勝手な理由で壊した。しかも婿入りする立場でありながら、愛人を認めろとまで言い出して――。 侮られ、傷つきながらも、伯爵家の跡取り娘エーディアは立ち止まらない。父とともに次の手を打ち、地に足のついた堅実な男ユリウスと出会い、領地と未来を少しずつ立て直していく。 一方、婚約を軽んじた元婚約者は、家にも王都にも見限られ、じわじわと立場を失っていく。 これは、誰かに苦しみを背負わせようとした男が自滅し、自分の足で立つ女が静かに幸福をつかむ、国境領ざまあ婚約破棄譚。 全44話。予約投稿済みです。

追放された地味令嬢、実は王国唯一の“魔力翻訳者”でした 〜役立たずと言われましたが、もう契約は終了です〜

あめとおと
恋愛
王太子から「魔法が何も起こらない役立たず」と断罪され、婚約破棄された伯爵令嬢リリア。 追放された彼女の能力は―― 魔法の“意味”を読み解き、術式そのものを理解する力《魔力翻訳》。 辺境の魔導研究所でその才能を見出された彼女は、 三百年解読不能だった古代魔法を次々と再生させていく。 一方、彼女を失った王都では魔法事故が連鎖。 国家結界すら崩壊寸前に――。 「戻ってきてほしい」 そう告げられても、もう遅い。 私を必要としてくれる場所は、 すでに別にあるのだから。 これは、役立たずと呼ばれた令嬢が 本当の居場所と理解者を見つける物語。

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。 目が覚めたら、婚約破棄されていた。 理由は「地味で面白みがない」から。 泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。 最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。 でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。 厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。 そして就任スピーチで宣言した。 「500人全員の名前を、覚えます」 冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。 悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。 元婚約者は——後悔し始めていた。 婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。 なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。

処理中です...