137 / 212
13th ステージ
137 そりゃ残念やわ
しおりを挟む
リンディエールが遊び場としている離宮。
そこに、ケフェラルの王達を連れて再びやって来た。
ケフェラルの方も隣国とはいえ、安全のためにかなり迂回してやって来るため、それなりに移動時間、日数がかかる。平均では王都からここまで約七日といったところだ。
よって、数少ないとはいえ、護衛達や侍女達も疲れているだろうということで、シーシェと同じように王と王子、それと側近一人だけを連れて集まった。
「こうなると、うちが居るんが妙やなあ。こっちも王子出すか?」
二国共が王と王子のセットを出して来ているのだ。ここにこの国の王子だけ居ないのは妙な気がした。
「いやあ……もうこの場に集まってる時点でちょいおかしいからな?」
そうブラムレース王が今更だろうと、少し声を抑えて切り返してくる。
これに、王達は笑った。
「それもそうだっ」
「この場に連れて来るのが酷であろう」
異常なのはあちらも分かっているということだ。
「ん~、まあ、そうか。なら、話を始めよかっ。まず自己紹介やなっ。こっちがブラムレース王や。そんでこっちが、宰相の……」
「クイント・フレッツリーです」
次にシーシェ。
「で、この超絶美人な姉ちゃんが、シーシェの女王様やっ」
「ふふっ。アーネストだ。これが息子のアリスレア」
「シーシェはなんや、女の方がカッコええ名前になるなあ」
これはこの場の誰もが思ったらしい。名前が逆ではないかと。
しかし、これはシーシェのお国柄だ。
「寒さが厳しいのでな。女児は勇ましく男にも負けないよう育つように。男児は無茶をしないよう、少しお淑やかになるようにという願いを込めて、他国とは男女逆の名になる事が多いのだ」
「は~、なるほど」
「まあ、私は勇ましくなり過ぎだと、子どもの頃から言われ続けておるがなっ」
「なんでやっ。カッコええやんっ」
「うむ」
本人は大変気に入っているようだ。
「これを知らず、我が名だけで男と判断してやって来た者共が、戴冠当初は面白くてなあ」
「それっ。それ最高の遊びやんっ。見たかったっ」
名前だけで、普通に王様が出て来るかと思いきや、キラキラの超絶美人が王として現れるのだ。理解した時、献上品の選択はどうだったかとか、色々頭を駆け巡るだろう。その反応も面白そうだ。
「そうであろう。だが、最近はさすがに女王の国としても知られてしまったのでな。面白い反応が見えず残念だ」
『シーシェの女王』として広く周知されてしまったため、ほぼもう間違える者は居ない。
「そりゃ残念やわ……こんな美人さん隠せんし……っ、せや! 逆に男装したらどや! 大混乱させられそうやん?」
「む……それは……っ、楽しそうではないかっ。是非ともやってみようっ」
「付き合うでっ」
「うむっ」
そんな様子を面白そうに見るアリスレア王子。多分、彼もこの女王と中身はあまり変わらないのだろうというのが、見ていて明らかだ。
そして、苦労するのがクロウというわけだ。
「……なんで……なんで私は一人で来てしまったのでしょう……一人で二人……いや、三人を止めるなんて……ムリ……」
どこまでも苦労性な人だ。
「わははっ。なんと。最北の地の王族が、これほど愉快な人種だったとはなあっ。冒険者時代でも、あの国に行っても、王族とまでは関わらんかったから知らなんだわ」
「あ、せやった。まだ自己紹介が終わっとらんかったなあ。こっちはこの隣のケフェラルの王や」
ようやくケフェラルの番だ。ニカっと笑ってケフェラルの王が名乗る。
「バーグナーだ。これは王太子のログナー。よろしく頼む」
こうして、和やかな雰囲気で会談前のお茶会が始まった。
***********
読んでくださりありがとうございます◎
そこに、ケフェラルの王達を連れて再びやって来た。
ケフェラルの方も隣国とはいえ、安全のためにかなり迂回してやって来るため、それなりに移動時間、日数がかかる。平均では王都からここまで約七日といったところだ。
よって、数少ないとはいえ、護衛達や侍女達も疲れているだろうということで、シーシェと同じように王と王子、それと側近一人だけを連れて集まった。
「こうなると、うちが居るんが妙やなあ。こっちも王子出すか?」
二国共が王と王子のセットを出して来ているのだ。ここにこの国の王子だけ居ないのは妙な気がした。
「いやあ……もうこの場に集まってる時点でちょいおかしいからな?」
そうブラムレース王が今更だろうと、少し声を抑えて切り返してくる。
これに、王達は笑った。
「それもそうだっ」
「この場に連れて来るのが酷であろう」
異常なのはあちらも分かっているということだ。
「ん~、まあ、そうか。なら、話を始めよかっ。まず自己紹介やなっ。こっちがブラムレース王や。そんでこっちが、宰相の……」
「クイント・フレッツリーです」
次にシーシェ。
「で、この超絶美人な姉ちゃんが、シーシェの女王様やっ」
「ふふっ。アーネストだ。これが息子のアリスレア」
「シーシェはなんや、女の方がカッコええ名前になるなあ」
これはこの場の誰もが思ったらしい。名前が逆ではないかと。
しかし、これはシーシェのお国柄だ。
「寒さが厳しいのでな。女児は勇ましく男にも負けないよう育つように。男児は無茶をしないよう、少しお淑やかになるようにという願いを込めて、他国とは男女逆の名になる事が多いのだ」
「は~、なるほど」
「まあ、私は勇ましくなり過ぎだと、子どもの頃から言われ続けておるがなっ」
「なんでやっ。カッコええやんっ」
「うむ」
本人は大変気に入っているようだ。
「これを知らず、我が名だけで男と判断してやって来た者共が、戴冠当初は面白くてなあ」
「それっ。それ最高の遊びやんっ。見たかったっ」
名前だけで、普通に王様が出て来るかと思いきや、キラキラの超絶美人が王として現れるのだ。理解した時、献上品の選択はどうだったかとか、色々頭を駆け巡るだろう。その反応も面白そうだ。
「そうであろう。だが、最近はさすがに女王の国としても知られてしまったのでな。面白い反応が見えず残念だ」
『シーシェの女王』として広く周知されてしまったため、ほぼもう間違える者は居ない。
「そりゃ残念やわ……こんな美人さん隠せんし……っ、せや! 逆に男装したらどや! 大混乱させられそうやん?」
「む……それは……っ、楽しそうではないかっ。是非ともやってみようっ」
「付き合うでっ」
「うむっ」
そんな様子を面白そうに見るアリスレア王子。多分、彼もこの女王と中身はあまり変わらないのだろうというのが、見ていて明らかだ。
そして、苦労するのがクロウというわけだ。
「……なんで……なんで私は一人で来てしまったのでしょう……一人で二人……いや、三人を止めるなんて……ムリ……」
どこまでも苦労性な人だ。
「わははっ。なんと。最北の地の王族が、これほど愉快な人種だったとはなあっ。冒険者時代でも、あの国に行っても、王族とまでは関わらんかったから知らなんだわ」
「あ、せやった。まだ自己紹介が終わっとらんかったなあ。こっちはこの隣のケフェラルの王や」
ようやくケフェラルの番だ。ニカっと笑ってケフェラルの王が名乗る。
「バーグナーだ。これは王太子のログナー。よろしく頼む」
こうして、和やかな雰囲気で会談前のお茶会が始まった。
***********
読んでくださりありがとうございます◎
353
あなたにおすすめの小説
あなたが後悔しても、私の愛はもう戻りません
藤原遊
恋愛
婚約者のアルベルトは、優しい人だった。
ただ――いつも、私より優先する存在がいただけで。
「君は分かってくれると思っていた」
その一言で、リーシェは気づいてしまう。
私は、最初から選ばれていなかったのだと。
これは、奪われた恋を取り戻す物語ではない。
後悔する彼と、もう戻らないと決めた私、
そして“私を選ぶ人”に出会うまでの、静かな恋の終わりと始まりの物語。
私だけが愛して1度も笑ったことの無い夫が、死んだはずの息子を連れてもどってきた
まつめ
恋愛
夫はただの一度も私に笑いかけたことは無く、穏やかに夫婦の時間をもったこともない。魔法騎士団の、騎士団長を務める彼は、23年間の結婚生活のほとんどを戦地で過ごしている。22歳の息子の戦死の知らせが届く。けれど夫は元気な息子を連れて私の元に戻って来てくれた。
『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~
スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」
王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。
伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。
婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。
それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。
――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。
「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」
リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。
彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。
絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。
彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。
もうすぐ帰って来る勇者様と私の結婚式が3日後ですが、プロポーズされていないといくら言っても誰も信じてくれません
まつめ
恋愛
3日後に村をあげての盛大な結婚式がある。それはもうすぐやって来る勇者様と自分の結婚式。けれど勇者様は王都の聖女様と結婚すると決まっている。私は聖女様の代わりに癒し手として勇者様を治療してきた、だから見事魔王を打ち破って帰って来た時、村人達は私が本物の聖女だと勘違い。私がいくら否定しても誰も聞いてはくれない。王様との謁見を終えてもうすぐ勇者様が村に帰って来る。私は一度も好きだと言われてないし、ましてや結婚しようとプロポーズも受けていない。村人達はお祭り騒ぎで結婚式の準備は加速していく。どうしようと困っているのに、心の奥底で「もしかしたら……」と大好きな勇者様が自分を選んでくれる未来を淡く期待して流されてしまう私なのだった。どうしよう……でもひょっとして私と結婚してくれる?
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
「その気になれない」と婚約破棄したあなたの、話を聞く必要がありますか?
さんけい
恋愛
国境を守るために結ばれた婚約を、侯爵家の令息は「その気になれない」という身勝手な理由で壊した。しかも婿入りする立場でありながら、愛人を認めろとまで言い出して――。
侮られ、傷つきながらも、伯爵家の跡取り娘エーディアは立ち止まらない。父とともに次の手を打ち、地に足のついた堅実な男ユリウスと出会い、領地と未来を少しずつ立て直していく。
一方、婚約を軽んじた元婚約者は、家にも王都にも見限られ、じわじわと立場を失っていく。
これは、誰かに苦しみを背負わせようとした男が自滅し、自分の足で立つ女が静かに幸福をつかむ、国境領ざまあ婚約破棄譚。
全44話。予約投稿済みです。
追放された地味令嬢、実は王国唯一の“魔力翻訳者”でした 〜役立たずと言われましたが、もう契約は終了です〜
あめとおと
恋愛
王太子から「魔法が何も起こらない役立たず」と断罪され、婚約破棄された伯爵令嬢リリア。
追放された彼女の能力は――
魔法の“意味”を読み解き、術式そのものを理解する力《魔力翻訳》。
辺境の魔導研究所でその才能を見出された彼女は、
三百年解読不能だった古代魔法を次々と再生させていく。
一方、彼女を失った王都では魔法事故が連鎖。
国家結界すら崩壊寸前に――。
「戻ってきてほしい」
そう告げられても、もう遅い。
私を必要としてくれる場所は、
すでに別にあるのだから。
これは、役立たずと呼ばれた令嬢が
本当の居場所と理解者を見つける物語。
「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」
まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。
目が覚めたら、婚約破棄されていた。
理由は「地味で面白みがない」から。
泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。
最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。
でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。
厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。
そして就任スピーチで宣言した。
「500人全員の名前を、覚えます」
冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。
悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。
元婚約者は——後悔し始めていた。
婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。
なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる