趣味を極めて自由に生きろ! ただし、神々は愛し子に異世界改革をお望みです

紫南

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ミッション12 舞台と遠征

491 進化? 個性?

その後、なんとか次の候補地を二つまでに絞った。けれど、どうしてもフラメラの実家の領地がチラつく。

「やっぱ、ベストな位置なんだよな……」
「うん……本当に良い位置だよね……」

店の位置のバランスを考えると、やはり一番なのだ。

「どうするかなあ……」
「う~ん……」

二人とも腕を組み、ソファにもたれかかって少し上の方に視線を投げる。

すると、丁度二人の視線が向かう天井に、隠密ウサギが一匹張り付いていた。

「ん?」
「え?」

隠密ウサギは、腹の方から垂れ幕を落とす。両側に書かれているので、中間に垂らされたそれをフィルズもリュブランも読めた。しかし、同じ言葉ではなかったようだ。

「……『闇ギルド発見』?」
「……『腐った商家いっぱい』?」

二人で首を傾げながら揃って確認するのは場所だ。

「「それって、キートル領?」」

垂れ幕が更に伸びて答えが返ってきた。

『デス!』
「「なんで分かった!?」」

そこから更に伸びて返事が見えた。

『えへへ』
「「怖いわ!!」」

なぜ分かるのか、答えがピッタリだ。そして、隠密ウサギは姿を消した。二人の視線は何も居なくなってもしばらくそこから動かない。

「……フィル君……変わったウサギさんがいるんだね……」

リュブランのその言葉に、フィルズは頭を抱えた。

「進化? 個性? なんか変なの増えてるっ……おかしいっ……いや、ちょっと前からあれだ……ゴーレム大好きなやつとか、カメラ趣味にしてるのとか、修羅場ってるカップルの映像ばっか撮ってくるやつとかいるのは気付いてたっ……」
「あ、うん。何かに目覚めた的なこと言ってたかも」

ここに来て、隠密ウサギ達が個性を獲得したようなのだ。

「まあ、クマ達よりもウサギの方が先に起動させてたからな」
「え? そうなの?」
「ああ。試作として最初に作ったのがウサギだ。外の情報を習得するように特化させてたしな。クマ達の動きの情報も、ウサギが収集してきたことで入れられたんだよ」
「じゃあ、本当に最初だ……」

クマ達の執事やメイド達の行動の情報なども、隠密ウサギによって外で得て来たものを精査してインストールしている。

「だから、個性を持つのがウサギの方が早いのは当然なんだ。情報収集の能力はクマよりも上だからな」
「へえ~……」

隠密ウサギ達の集まる情報を集約し、クマ達に適応させていく。外からのデータ収集が一番重要なのだ。そこを担うウサギ達が、多くのデータによって個性を持つようになるというのは、ある意味で自然なことではある。

「ウサギ達も、それで興味を持つ分野ができて、そこに潜入……深くまで頭を突っ込んだその情報も手に入れるのが俺の理想でもあった。上手く進んでいる証拠なんだろうさ」
「なるほどね~」

引き出そうと思えば、集められた全ての情報を知ることは出来るが、必要な時に必要となる情報を引き出せばいいのだと設定してある。そこがフィルズの力を入れた所だ。それもいい具合に影響しているのだろう。

「なんか益々、作られたものじゃなくて生き物って感じになってきたね」

だから、この言葉が嬉しくないはずがない。

「狙い通りだなっ」
「そうなの?」
「ああ。記憶って、薄れたり忘れたりするもんだろ?」
「うん。それが自然だね」
「そこで必要な時に思い出したり、それまでの情報を元に思考する。納得して閃きを得る。そこから行動に起こし、結果を出す。それが生き物ってことかなと思ってさ」

人とロボットの違いを考え、そうフィルズは仮に答えを出した。

「……ただの情報の記録だけじゃなくて、思考まで……うん。それは生き物っぽい」
「そう。ただの記憶や記録装置じゃなくて、そこから先を、俺やメイド好きな賢者は求めた」
「う、うん。メイド好き……」

その賢者は寂しかったのだろう。当たり前の答えしか返してこないロボットではなく、問いかけた答えを導ける思考能力を持ったものを求めた。

「けど、リザフト様が、昔の賢者の作った魔導人形は、ここまでおかしくなかったって言ってたよ?」
「おかしいって……思ってたのか……」

その賢者では、なし得なかった。取捨選択する情報が少なすぎたのだ。

「あはは。他の神様達も同じようなこと……」
「言ってたんだな」
「うん。どこが違うのかな」

リュブランは純粋にその違いを知りたいようだった。

「メイド好き賢者は、外部に情報を求めなかったんだよ。あくまでも自分の持ち得た情報を詰め込んだだけだった。だから、賢者が求める答えは返せるし、それなりに受け答えは出来るけど、それは二人? だけの世界での情報だけだったんだ」

満足はしていたのだろう。人形と二人だけで閉じこもった生活は、求める答えだけ返されることもあり、気分もよかったはずだ。

「外にある多くの人の情報を得ることで、取捨選択が広がる。分かっていたんだろうけど、否定されるのも嫌だったのかもな……」
「……反対意見とか?」
「そう。反対意見があるってことは、別の案があるってことでもあるんだが……それよりも否定されるのが怖かったんだろう」

分かっていても踏み出せなかった。

「そう……」

少ししんみりした雰囲気になったが、そこに、スルリといつの間にか部屋に入り込んでいたキラが口を挟んだ。

《アレらは孤独だったのだ……》

その言葉は、実際を知っているからこそ、重く響いた。







**********
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