趣味を極めて自由に生きろ! ただし、神々は愛し子に異世界改革をお望みです

紫南

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ミッション13

547 叔母上だしね……

レヴィリアが結婚するなんてことはもちろん、一度は嫁いだガーネルに再び戻るなんてことを誰も予想していなかった。正に青天の霹靂というやつだ。

最もこれに驚いたのは両親であるカティルラとファイラルークだ。

「……本当なのね……」
「……実在したか……」
「……エインを確認していますの? 実在したかって、どういう意味ですの!?」

二人はレヴィリアの隣にいるエイルエインを見て少し呆然としていた。信じられないものを見たようだった。

「だってねえ。あなた、自分より強い人と結婚すると言っていたでしょう? まあ、政略結婚のような形で結局嫁いでいましたけど」
「一度目の時も勝手に決めてきたが、友人のため、国のためだと言っていたから、まあ、望んでいた強い男ではないがいいのかと問いはしなかったのだが……もしや、彼は強いのかい?」
「っ、お、お初に目にかかります……」

再びエイルエインを見つめる二人。見定めるというよりも、珍しいものを見る目だ。そして、心配そうにエイルエインに話しかける。

「いいの? この子、自分よりも強い人としか結婚しないとか言って騎士の子達に毎日のように挑みに行っていたような困った子よ? 結婚する気なんて皆無だった子よ?」
「強要されていないかい? 強くなれと言って、森に置き去りにされたりするようになってからでは遅いんだよ?」
「え……いえ……え?」
「……何の心配をしていますの……?」
「だってねえ」
「だってなあ」

うんうんと向き合って頷く両親に、レヴィリアは頬を引き攣らせる。

そんな様子を少し離れた場所で見守っていたフィルズが思わず吹き出す。

「くくくっ。どんな問題児だったんだよ」
「ちょっ、フィルさんっ!?」
「いや。だって、ルーク達の顔とか見ろよ。癇癪持ちか、わがまま娘が突然結婚をするって言った時の両親の、間違い様のない困惑顔だぞ」
「具体的ですわねっ! その通り過ぎますわ!」
「自覚あったんだ?」
「とっても不本意ですけれど……」

両親だけでなく、周りに心配をかけていたという自覚はあったようだ。

そうして、エイルエインに『こんな娘でいいのか』ということを中心に話すカティルラとファイラルーク。これにより、大分エイルエインも緊張が解けたようだ。

普通に話しが出来る様になる頃、そこに人が集まってきた。

先ずはじめにやって来たのが公爵家の母子だ。

演劇が初公演ということもあり、今まで公爵領から出て来なかったセルジュの母ミリアリアもやって来ており、娘のエルセリアも当然のようについて来ている。

クラルスは舞台にも上がるため、今も前日のリハーサルをしているはずだ。よって、案内は少し嫌そうにしながらもセルジュがしていたらしい。

そうして、一通り回って談話室にやって来たセルジュ達。それに、カリュエルとリサーナ、リュブランも付き合っていたようだ。

「レヴィ?」
「え? レヴィさん?」
「叔母様?」
「「叔母上!?」」

ミリアリアが先ず、フィルズといるレヴィリアに驚き、セルジュとリサーナが続く。そして、カリュエルとリュブランが揃って目を丸くした。

「なあに? そんなに驚くこと?」
「アレじゃね? もう帰って来ないと思ってたんじゃないか?」
「帰ってくるわよ! ここは第二の実家よ!」
「待て。レヴィ。前に農園の方でここが実家みたいなものだと言っていたって聞いたんだが?」
「そうよ? 第一が農園で、セイスフィア商会が第二の実家よ?」
「いや、王宮帰れよ」

全く実家ではない。『そんな気持ち』とかでもなく、本気で思っていそうだ。確かに、レヴィリアはセイスフィア商会にやって来てから、王宮で寝泊まりしていない。メルナ妃をやり込める時も、ほんの数時間滞在しただけだ。会議のために集まった貴族達と何ら変わらない。

「王宮を出て思ったのよ。私は、王妹って役職で、王宮にいただけ。あそこは職場だったのよ!」
「レヴィ……」
「……」

ミリアリアが気の毒そうにレヴィを見つめる。

「だから私、ちゃんとこの人と家族になってみせるわっ」
「そう……そうね。きっと大丈夫ねっ」
「もうっ。泣かないでちょうだい……ふふ、ありがとう……」
「ええ……っ、よかった……っ」

抱き合う二人。とても微笑ましい光景だ。しかし、ミリアリアの『よかった』には色々と含まれているものがあると感じた。

「なんだろうな……ここだけ切り取ると感動的な、結婚を祝い、祝われる友人って見えるんだが……多分、リアさんの『よかった』は、暴れん坊な友人に落ち着く場所が見つかってよかったってやつだよな?」
「何の心配も憂いもなく、おめでとうでは済まないやつ?」

セルジュ達学生組が、フィルズの傍にエルセリアも連れてやって来る。

「そういえば、この前、結婚するって冒険者の人たちの周りがあんな感じだった。『ようやく落ち着くのか』って、安堵? してたよ」

リュブランが手を打って納得する。

「うん。でもわかるよ。叔母上って、例え政略結婚しても、ちょっと破天荒な所は変わらないだろうなって思っていたから」
「叔母上と上手くやれる人なんて、フィルくんくらいだと思ってたのに」
「それは私も思いましたわ……」
「「うん」」
「おい。ってか、どんな暴れ馬だよ……」

甥っ子、姪っ子たちからも落ち着きないと思われていたようだ。

そこにまたやって来たのが、ファスター王とフラメラだ。

同じ様に意外に思いながらも納得し、結婚を祝福する一同。お陰で、エイルエインも馴染んだようだ。

「なんか……王家もその辺の家と変わらないんだな……」
「「「「うん」」」」

なぜかすごく微笑ましい。

「とても王と王妃の結婚報告には思えないのが残念なような気もするが……」
「まあ、叔母上だから」
「叔母上だしね……」
「叔母様ですもの……」
「叔母を見る目じゃねえんだわ」

どうしても、レヴィリアが問題児にしか見えなかった。

「これを舞台化か……よくやったな……」

そう。今回の舞台は、レヴィリアを主人公にしたもの。だからこそ、無理にでもレヴィリアは帰ってきたのだ。

「おあにぃさま! レヴィ様のことが物語になるって本当ですか? 私、とっても楽しみです!」
「うん。まあ、なんて言うか……上手にまとめてくれてるはずだから……真似しなくていいからな? 問題児量産されないか? 大丈夫か?」

レヴィリアをモデルにしたのは間違いだったかと、今更ながらに思うフィルズだ。しかし、舞台はもう明日だ。






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