趣味を極めて自由に生きろ! ただし、神々は愛し子に異世界改革をお望みです

紫南

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ミッション11 昇級試験と野営導具

448 ウザいよな

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黒子達に仕事をお願いして、しばらくした頃。学生達がやって来た。

「っ!? えぇっ!? フィル!?」

先にやって来たのは一年生。中には当然、セルジュがいる。ものすごく面白くなさそうな顔をしていたのだが、フィルズを見つけた時にその表情は一変する。

「あっ、もしかして冒険者の護衛に!?」
「ああ……」

こんなはっきりと表情を変えるとは思わず、フィルズも驚いていた。

「言ってよっ! え~、どうしよう。夜に遊べるやつ何持って来てたかなあ~」
「いや、兄さん……?」
「一緒にお泊まりできる!? テントでお泊まり!」
「あ~……いや。護衛だからな?」

周りの生徒達が動揺しまくっている。カリュエルやリサーナ達と一緒に居る時はともかく、普段はどうも今とは全く違うようだ。

「そんなあっ。あ、ビズちゃん居ないの?」
「ビズを寄越せとか言い出すバカが居ないとは限らないだろ?」
「あ~、うん。居そう」

チラリと後ろを見て、セルジュは生徒達を確認する。

「私が公爵家の嫡男でなければ、バカにする奴は多いよ。成績の良い下位貴族への嫌がらせとかしてるし」
「なんだ。バレてんの?」
「一応、目に付いたのは止めてるからね」
「お~。まあ、兄さんなら、クルフィも付いてるしな」
「うん。あ、今回も護衛騎士の中に入ってもらうことになってるよ。カリュとリサのトマとユマもね」

魔導人形であるクルフィと、カリュエルとリサーナにつけているトマとユマ。その魔導人形は、最強の護衛であり侍従だ。その辺の騎士よりも強く、王宮の最高の侍女や侍従よりも優秀だった。

「それなら、やっぱラスタのとこの騎士団で良かったな」
「あ、そっか。ラスタさんの所の人たちなんだっ。なら安心だね!」
「ああ。ただ……ちょい冒険者の方によくないのが居る。それだけ気をつけてくれ。黒子も投入するから大丈夫だと思うが」
「へえ。なら、フィルが信用できる冒険者の人は? 一人くらい居るよね?」
「まあな。あ~、こっち」

セルジュと共に、ラスタリュートと話をしていたラウンドの方へと向かう。

「ラウンド。紹介しておく」
「ん? 学生か?」
「おはようございます。はじめまして。フィル君の兄! のセルジュ・エントラールです」
「あ……」

セルジュが家名まで名乗ったことに気付いて、しまったなとは思った。

「お、こりゃあ。ご丁寧に……王都冒険者ギルド所属のラウンドだ。ん? エントラール? 兄?」

ラウンドは一気に混乱した。

「え? 兄? 弟!? エントラールって言えば、宰相の……は!? 公爵令息!?」

フィルズを見て目を丸くする。さすがに、高位貴族の息子が冒険者をしているという事実に驚いたらしい。

「あ~、一応実子だぜ?」
「フィルに構って欲しくて暴走するくらいには、愛されてるよね~」
「……最近はまたちょっとな……」
「ウザいよね」
「……兄さん……」

はっきり言うくらいにはウザいと思っていそうだ。

そこにカリュエルとリサーナがやって来た。







**********
読んでくださりありがとうございます◎

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