元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

紫南

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第十一章

434 精神攻撃?

エルフ達は、集会場のような場所に集まっていた。恐らく、里長の家の前なのだろう。そこで、三十名ほどの男女が項垂れていた。

一部が疲れた様子に見えるのは、叫び疲れかもしれない。憔悴している者もいるようだ。

ジンクが一通り辺りを見回して頷く。

「一応、落ち着いた後みたいだねえ」

これに、ユキが微笑みを見せながら小さく口にする。

「大丈夫ですよ。きっと、すぐ騒がしくなります。ふふっ、負け犬が……どんな声で鳴くか楽しみですね」
「……ユキ……すごくステキな顔だねえ」
「っ、ありがとうございますっ」
「……ばばさまみたい……」
《黒いですね》

微笑みながら毒を吐く様子が、ベニ達のようだった。

エルフ達は、自分達の思考に沈んでいたようだったが、ようやくコウヤ達の存在に気付いたようだ。

顔を上げた彼らは、人族であるジンクやコウヤを認識する。そして、飛び上がるほど驚きながら声を上げた。

「貴様ら!! どこから入ってきた!!」
「「……」」

コウヤとジンクは顔を見合わせた後、揃って後ろを指差しながら答えた。

「「壊れた門から」」
「「「「「……」」」」」

しばらく、言葉を理解するのに忙しそうだった。とても単純な答えだが、信じたくなかったのだろう。

ここで、ユキが吹き出した。

「ぷっ」

くくくっと喉を震わせて笑い、徐々に声を上げていく。

「あははははっ、何その間抜け面っ。門壊したのあんた達なんでしょ? 見張りもなしで開けっ放ししといて、どこからとか、何言ってんのよっ。どんだけ能天気なの?」
「「「「「っ……」」」」」

ユキは絶好調だ。そこで、コウヤは空を見上げて気付く。

「ん? あ、結界が消えた」
「もう大分弱ってたもんねえ」
《最後の一撃が入りましたね》
「「精神攻撃?」」
《です》

里を覆っていた結界がパチンと弾けるように消えたのだ。

コウヤ達が来た時には、既にかなり弱っており、いつ消えるかなとは思っていた。

結界をはじめ、術にはそれを保たせるための精神力が必要だ。媒介として魔導具を使わず、純粋に術者だけで保たせている術は、当然だが、術者が倒れたり、術の制御を失えば消える。

「媒介の魔導具がないみたいだったから、そろそろかなとは思ってたんだけどね~」
《称号の効果も出ているようです》

エルフ達にとっては、術を継続させられるということが、誇りでもあったのだろう。魔導具を使わず、何人かで継続させていく強力な結界を維持してきたのだ。

それが、今消えた。

ひとしきり笑ったユキは、笑顔のままコウヤにを振り向く。

「その称号というのは、弱体化のようなものですか?」
「それもあるし、レベルもかなり削られますね。大体、五分の一くらいかな。身体の機能も人に近付くから、少し早く老いるようになるかも」
「へえ~、それは面白くなりそうですねえ」

とっても良い笑顔だ。

外のユキの居た里のエルフ達は、この称号を受けるのを免れた。ゼストラークの判定だ。問題はない。寧ろ、いつ里を飛び出してもおかしくない様子だった。たまたま、動けなくなった者が居たから、出るに出られなかっただけだ。

彼らは外で生きようとしていた。そして、今は迷宮化の問題を共に解決しようとしている。

それに対して、ここの者たちはどうだろう。

「っ、神を裏切った卑しい人族がっ。神聖な我らエルフの里に足を踏み入れるとは何事だ!!」
「「……」」

ジンクとコウヤは、突然立ち上がり怒り出した壮年の男へ呆れた顔を向けた。

すると、ここでユキがズンズンとその男性に近付き、思いっきり頬を引っ叩いた。

「ッ、このバカ親父が!!」
「ふぶっ! っ……!」
「「あ……」」
《ああ、相当弱体化して……差が出ましたね》

物凄くぶっ飛んだ。男は、ゴロゴロと三メートルほど転がって気絶した。

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