元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

紫南

文字の大きさ
340 / 504
第十一章

445 片付けてみる?

特別番外編移動しました。

**********

目的の場所に向かいながら、今度はブランナに話しかける。

「ブランナ、マウラさんとの訓練はどう?」

聖魔教の神官で元神子のマウラは、魔眼を持っている。ブランナの先輩で師匠のような人だ。

「ようやく慣れてきました……今は、一日中魔眼を発動させないように練習中です」

ブランナは、他人の感情が色で見える魔眼を持っている。もう見える事が当たり前で、見えないことに不安を覚える状態。

「最近はちゃんと眠れていますか?」
「っ、お気付きだったんですね……はい。きちんと一日に四時間は眠れるようになりました」
「それなら良かった。訓練の成果が出てる証拠だね」
「はいっ」

魔眼を発動し続けるということは、それだけ負担が掛かっている。子どもの時は体力が保たずに倒れることもあったらしい。しかし、彼はエリスリリアの加護も持っていたため、次第に治癒力を自分自身にかけるようになった。

それを子どもの頃から続けていたことで、活性化し過ぎて数日に一度しか眠れなくなっていたのだ。

魔眼の制御が出来るようになったブランナは、少しずつその負担が軽減され、自分にかけていた治癒魔法も控えるようになった。これにより、夜に数時間だけだが、毎日きちんと眠れるようになったのだ。

「今日は俺たちしか居ないし、安心して」
「っ、わかりました。今日は一日、魔眼を使わないようにしてみます」
「うん」

見回りはコウヤを含めたこの四人で行う。冒険者達は皆、迷宮化したフィールドに行っているし、他の冒険者ギルド職員は別の仕事を頼んでいるので、まず誰も来ないだろう。

「さてと、ここからだね。一応、野生の魔獣とかがもう戻ってきているかもしれないから、注意して。俺とビジェで計測。ブランナとニールは記録を取ってくれる? 警戒も忘れずにね」
「「「分かりました」」」

コウヤとビジェは魔素計測機で魔素の確認と、土や植物に含まれる毒素の確認をする。ニールとブランナが記録係だ。

ビジェはゲンの薬屋で仕事もしているため、薬草や植物にも詳しい。時折、迷宮の調査もコウヤと行っているので、機械の操作もお手のものだ。

警戒しながらとは言っても、全員が気配察知には優れている。よって、すぐ傍は迷宮化した土地で、今も冒険者達が戦っているというのに、のんびりと散歩する様子に見えるだろう。

「早く終わったら、この四人でフィールド一つ片付けてみる?」
「「「っ……」」」

思わぬ提案に、三人は動きを止める。

ニールが期待するように、目を輝かせた。

「よろしいのですか?」
「うん。ちょっと端で順番的にどうしようか迷った所があって。明日、俺とテンキ達で行こうかなって思ってたんだけど、ニール達もたまには本気出してみたいでしょ?」

ニールは結局、コウヤの侍従長になる。せっかく国一の剣の腕を持っているのにもったいない。こんな時にしか彼は剣を抜けないのだ。それがコウヤは惜しいと感じていた。

もちろん、侍従長だからという理由で、コウヤは外に引っ張り出すつもりでもいる。機会があるなら今回もと考えたのだ。

「っ、是非やらせてください!」
「やりたいです!」
「私もっ、お願いします!」

三人ともやる気満々らしい。

「じゃあ、ささっと終わらせよう!」
「「「はい!!」」」

こうして、午前中いっぱいでチェックし終わり、フィールドに向かった。

**********
読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします◎
感想 2,852

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

空港清掃員58歳、転生先の王宮でも床を磨いたら双子に懐かれ、国王に溺愛される

木風
恋愛
羽田空港で十五年、黙々と床を磨いてきた清掃員・田中幸子(58)は事故死し、没落寸前の子爵令嬢エルシアとして転生する。 婚約破棄の末に家を追われた彼女が選んだのは、王宮の清掃員――前世の技で空気まで変わるほど磨き上げていく仕事だった。 やがて母を亡くした双子王子王女に懐かれ、荒れた執務室の主である喪中の国王とも距離が縮まり……。 「泣くなら俺の胸で」――床も心も磨き直す、清掃令嬢の溺愛成り上がり。

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

何もしなかっただけです

希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。 それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。 ――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。 AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

『彼を解放して!』とおっしゃいましたが、何から解放されたいのですか?

シエル
恋愛
「彼を解放してください!」 友人たちと教室に戻ろうとしていると、突如、知らない令嬢に呼び止められました。 「どなたかしら?」 なぜ、先ほどから私が問いかける度に驚いているのでしょう? まるで「え!?私のこと知らないの!?」と言わんばかりですけれど、知りませんよ? どうやら、『彼』とは私の婚約者のことのようです。 「解放して」とおっしゃっいましたが、私の目には何かに囚われているようには見えないのですが? ※ 中世ヨーロッパモデルの架空の世界 ※ ご都合主義です。 ※ 誤字、脱字、文章がおかしい箇所は気付いた際に修正しております。

誘拐された公爵令嬢ですが、なぜか皇帝に溺愛されています』

富士山麓
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間―― 目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。 そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。 一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。 選ばれる側から、選ぶ側へ。 これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。

よかった、わたくしは貴女みたいに美人じゃなくて

碧井 汐桜香
ファンタジー
美しくないが優秀な第一王子妃に嫌味ばかり言う国王。 美しい王妃と王子たちが守るものの、国の最高権力者だから咎めることはできない。 第二王子が美しい妃を嫁に迎えると、国王は第二王子妃を娘のように甘やかし、第二王子妃は第一王子妃を蔑むのだった。