元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

紫南

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第十一章

446 どっちから行く?

土地の回復を確認したコウヤは、ニール達に提案していた通り、昼食を終えてから一つのフィールドに向かった。

「ピクニックにも良い景色だね~。うん。絶景!」

コウヤは満足げにその景色を見回した。

「……滝がありますね……」
「……渓谷ですか……」
「モリ……どこ……?」

フィールドに入った途端、目の前にあった鬱蒼うっそうとした森が消えたのだ。

コウヤ達は丘の上で滝と大きな渓谷を見下ろしていた。広大なフィールドであることが分かる。

「コウヤ様……私の目がおかしいのでしょうか……あの飛んでいるのはまさか……」

ニールが唖然としながら、目を逸らせずにいるもの。遠くに見える滝の上や渓谷の上に、鳥のようなものが沢山飛んでいる。

「……ワイバーン……」
「……ドラゴン……?」

ブランナとビジェが瞬きを忘れて呟く。これに、コウヤはニコニコと笑いながら答える。

「両方だね。どっちから行く?」
「「「……」」」

滝の上で飛んでいるのがドラゴン。渓谷の上に飛んでいるのがワイバーンだった。

「小さい方からが良いかな?」
「……コウヤ様……ここは、どの程度の迷宮なのでしょうか……ワイバーンはともかく、ドラゴンがあんなに……聞いたことがないのですが……」

ドラゴンが迷宮に居たとしても、最下層のボスとして一体が普通だ。二体以上出現したことはなかった。

ニールは、迷宮化の話を聞いてから、あらゆる迷宮の情報を一度は目を通していた。それが、コウヤを補佐する者として知っているべきことだと考えたからだ。

しかし、そんな中でもドラゴンの存在はほとんど例がなかった。野生のドラゴンはいると信じられているが、それを実際に見たという情報もここ数百年聞かない。

「あ~、うん。最高レベルかな。でも、アレ、あの大きさだとまだ小型なんだよ。まだこの奥のフィールドには、大型が出てくる所もあってね。まあ、数はこっちの方が断然多いんだけどっ」

大型のボス並みのドラゴンが五体ほどいるフィールドもこの先にはある。十分に冒険者達が今の勢いで戦闘経験を積んでいけば、何とかなるだろうとコウヤやタリス達は予想していた。

「……我々が来なければ、ここをテンキ様達と……攻略されるつもりだったのですか……」

そうコウヤが言っていたなとブランナは思い出し、どうするつもりだったのかと問いかける。

「うん。テンキはドラゴンになれるし、パックンはアレで、昔もドラゴン丸呑み……丸々収納して倒したりしてたから。落とせれば、ダンゴも埋めて倒したりできるからね」
「……なるほど……」
「「……」」

テンキだけが強いと思われがちだが、パックンもダンゴも意外と戦えるのだ。

パックンは魔法の球を使って飛び上がり、空中で向かって来るドラゴンをそのままパックンしていた。素材に傷も付かず、最良の捕獲方法だと誇っていたのは昔の話だ。

一方、ダンゴは土地や植物に干渉して戦うことが出来た。降りて来たドラゴンは足を埋めて周囲の木や草のツルを首に巻き付けて地面に這いつくばらせる。そして、落ちて来たドラゴンも同様に頭だけ土に埋めて生き埋めにしていた。

「大丈夫だよ。ドラゴンもワイバーンも、落としちゃえば、首を落とすだけだから」
「そ、そうなのですね……わかりました」

納得するしかない。そこまでの過程が大変そうだが、やるしかないのだ。

「ワイバーンもドラゴンも同じ倒し方でいけるから、先ずワイバーンの方にしようか。短距離での加速度と小回りはワイバーンの方が上だから、そこは気を付けてね」

急に方向転換をするなど、ワイバーンは素早く動くので、中々攻撃を当てるのが難しい。

「物理的にも魔法でも、意外とワイバーンは弱いんだ。変則的に飛ぶけど、逃げる方向とか癖とか見極められれば簡単だよ。あっちは魔法攻撃してこないから」
「魔獣なのにですか?」

魔法攻撃をして来ない魔獣はそれなりにいる。身体強化などに使っているのだ。

「うん。飛ぶことに全部力を使ってるから、向こうからの攻撃は、噛みつきと……足でこっちを捕らえようとしてくるくらいかな。ねっ、なんとかなりそうでしょ?」
「それなら……」
「ええ。問題なさそうです」
「いけます」

三人ともが頷いた。

「なら、先ずはワイバーン退治ね!」
「「「はい!」」」

因みに、バルーンは飛んでいない。岩の間にあった。まるで、大きなタマゴがそこにハマっているように見える。確認しづらいが、見えなくはなかった。

「じゃあ、行くよっ」
「「「はっ!」」」

駆け出したコウヤについて、三人も走る。フィールド攻略が始まった。

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