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第十二章
500 いつまで保つかしら……
どの国でも、王子は十才の時に正式に王族の仲間入りということで、顔見せのお披露目を行う。
この時、侍従と侍女、それと近衛騎士を選定し、共に切磋琢磨しながら成長していく。
このお披露目が、今回コウヤが行うものだ。
今までも、他国では庶子として生まれた王子が、王家の事情により成人するまでに正式に王族としてお披露目を行う例はあった。
よって、今回のコウヤの件も問題なく受け入れられている。だが、これまでの王子や王女のお披露目で、ここまで盛大に計画されたものはなかったようだ。
庶子であることはもちろんだが、血筋も正しい王子、王女のお披露目でも、今回ほど大掛かりなものは前例がないらしい。
寧ろ、庶子ならば余計に小さく大人しく、申し訳程度に行われるのが当然のこととされていた。
「あ、やっぱり、今回のは普通じゃないんですね」
化粧台の前に座らされ、髪を編み込まれながら、コウヤは鏡越しに侍女長となったミルヤを見ながら話を聞いていた。
「はい。お披露目以前に、貴族はこれまで、政敵だといがみ合うのが当然です」
普通に気に入らないから反対の派閥にとか、そんな小さなことでも対立しようとするのが貴族だった。
プライドが邪魔をして、素直に非を認めることもないため、こじれにこじれて、最初の諍いも忘れ、なぜいがみ合っているのかもわからずに対立している家門も多い。
それが貴族社会というものだ。
「ジルファス様のお披露目の時もやはり、第一王妃派と第二王妃派で分かれておりましたし、アビリス王の時も、王族派と貴族派で分かれておりました」
心苦しそうに告げるミルヤ。彼女はミラルファの側でずっとそれらを見て来たのだろう。侍女としてどうすることもできないことを、もどかしく思っていたかもしれない。
「そうなりますと、相手方の派閥からの妨害を警戒しなくてはなりません。お披露目で問題が起きた場合、その王子や王女へ後々までその失敗や問題を引きずる可能性がありますので……」
「確かにありそうですね……」
わざと失敗させることも狙うだろう。せっかくのお披露目で、意味もなく憎まれ、意地悪をされるのが普通のことらしい。
しかし、今回のコウヤのお披露目は違う。
「こうして用意する時も、ピリピリと張り詰めた雰囲気の中、行ってまいりました」
「ははっ。それは胃が痛くなりそうですね」
軽やかに笑うコウヤ。その背中に、ミラルファの楽しそうな声が掛かる。
「そうなのよね~。母親として見てる分にも気分が悪くなってくるのよ。食事なんてほとんど喉を通らなくてね。どんな妨害があるかってヒヤヒヤしながら息子を見ていなくてはならないなんて……本当に最悪な気分になるのよ」
困ったものだわと頬に手を添えながら、煌びやかなドレスを着たミラルファがテーブルについて、お茶を優雅に傾けていた。
「こんな風にお茶を飲むことも出来ないのよ? イスリナも覚えておきなさい。コウヤさんが特殊なだけですからね? リルファムの時にどうなるか……このままだったらどんなに良いか……」
「そうですわよね……リルのお披露目まで五年……このまま続いてくれないかしら……」
「どうかしらね……本当に、今の王宮はこう……黒いものがないのよね。みんなで頑張ろうっていう団結力があって……はあ……いつまで保つかしら……」
ミラルファの向かいには、こちらも美しいドレスを身に纏ったイスリナがいる。先ほどまでクッキーを摘んで微笑んでいた。
だが、五年後のリルファムのお披露目を思って二人で気分を沈ませていく。
そんな様子を鏡越しに見て、コウヤは苦笑する。
「今から心配するんですか? 大丈夫ですよ。ミラお祖母様やイスリナ様と同じように、貴族の方々も願っているはずです」
「そうかしら……意地の悪い腹黒ばかりよ? コウヤさんが王宮から離れたら、きっとまたじわじわと黒い腹を見せるようになるんだわ」
ミラルファは、かつてない王宮の様子を気に入っているようだ。だから、余計にこの雰囲気が再び以前のように戻るのを恐れている。
「そうですねえ。でも、誰だってずっと意地を張っているのは辛いものです。今は全てを水に流そうという空気がありますから、この内に、全て精算してしまえばいいんです。まだしばらくは学園のこともありますし、王宮にお邪魔しますから、手伝いますよ」
「「っ、いいの!?」」
「はい」
イスリナとミラルファが真っ直ぐにこちらを向いて目を輝かせた。
「リルのお披露目も、楽しくやりたいですからね。その時は、私も手伝えますし」
「まあっ。それはリルがとっても喜ぶわっ」
「コウヤさんと準備できるなんて……楽が出来てしまうわねっ」
「みなさん忙しそうで、楽しそうでしたから、リルの時は是非交ぜて欲しいです」
「「歓迎するわっ」」
コウヤとしては、裏方の方が楽しい。走り回るのも好きだ。今回も周りの様子を感じていて、うずうずしていた。
是非とも一緒に走り回りたかったというのが本音だ。
「なら余計に、このままの現状を維持したいわ……もちろん、コウヤさんが居るだけで効果はあるけど」
「あら? お義母様。そもそも派閥が分かれない可能性があるのではありませんか?」
「え? あ……そうね。コウヤさんが人気すぎて、リルにつく人が居ないわ」
「コウヤさんが居るならそっちってことになりますわよね? わたくしならそうします」
「私もよ。コウヤさんが居れば、心配なさそうね」
「そんな気がしますわ。ですから、コウヤさんを離さなければいいのですわ」
「確かにそうね」
目つきが変わった。なんだか狙われている。
「えっと……」
「コウヤ様。わたくし共を見捨てないでいただけますか」
「ミルヤさん。顔が真剣過ぎます」
「わたくし、真剣ですので。どうでしょう。わたくし共や近衛師団の者達を見捨てないでいただけますか?」
「しませんよ?」
「そうですか……いえ、ダメですね。師団の者達は、コウヤ様がどこへ行っても着いていく方々でした。それではいけません……」
「えっと……ミルヤさん?」
ぶつぶつと呟きながらも、ミルヤはコウヤの髪を仕上げていく。さすがはプロだ。
「ミルヤ。大丈夫よ。みんなで考えましょう。コウヤさんを王宮に紐付ける案を、全員で考えるのですっ。イスリナも良いわね」
「もちろんですわ。お義母様っ。この際ですから、ご夫人方にも意見を伺いましょう。一人でも多くの方の意見が必要だと思います」
「それよっ。久しぶりにお茶会を開きましょうか。カトレアも入れて。女の方でも、派閥を無くしましょう」
「それですっ。お披露目でご夫人方も王都に来られておりますもの。この機会を逃してはいけませんわっ」
イスリナは、拳を握りしめて決意を表す。ミラルファもこれに続いた。
「そうねっ。全貴族家に召集っ……いえ、招待状を用意するわよっ。こうしてはいられないわ。誰か、カトレアへ伝えてちょうだい。明日、お茶会について話をするから……そうね……議場に集まりましょう。明日の十時に、議場に集合よ。侍女達はもちろん、メイド達にも召集をかけます」
「腕の見せ所ですわねっ」
「ええ。男達だけ仲良くなるなんてズルいですものね」
「本当ですわっ。昨日のお茶会楽しかったですものね」
「楽しかったわっ」
レナルカが乱入したことで、突発的に始まった議場でのお茶会は、参加した誰もが楽しいと思えるもので、お茶会が楽しいと心から思えたものだった。
「やるわよ」
「はいっ」
燃えていらっしゃる。その様子を見て、コウヤは笑った。
「楽しそうですね」
「これも全て、コウヤ様のお陰でございますよ」
「そうかな……」
「ええ。さあ、出来ました」
「ありがとうございます」
ようやく、コウヤの用意が整った。
「まあっ。コウヤさんっ。本当に、とっても素敵っ」
「いいわっ。いいわっ。なんて素敵な王子様でしょうっ」
立ち上がり、ミラルファ達の方へ向かうコウヤ。部屋の端で控えていたメイド達が泣いていたり、壁に寄りかかったりしているのは気になるが、目を向けない方がよさそうだ。
「……長い一日になりそうだな……」
間違いなく王子に見えるらしいと周りの雰囲気で確認し、少し困惑しながらも、コウヤはこの日一日を予定通りこなそうと改めて覚悟を決めた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
次回、5日です!
この時、侍従と侍女、それと近衛騎士を選定し、共に切磋琢磨しながら成長していく。
このお披露目が、今回コウヤが行うものだ。
今までも、他国では庶子として生まれた王子が、王家の事情により成人するまでに正式に王族としてお披露目を行う例はあった。
よって、今回のコウヤの件も問題なく受け入れられている。だが、これまでの王子や王女のお披露目で、ここまで盛大に計画されたものはなかったようだ。
庶子であることはもちろんだが、血筋も正しい王子、王女のお披露目でも、今回ほど大掛かりなものは前例がないらしい。
寧ろ、庶子ならば余計に小さく大人しく、申し訳程度に行われるのが当然のこととされていた。
「あ、やっぱり、今回のは普通じゃないんですね」
化粧台の前に座らされ、髪を編み込まれながら、コウヤは鏡越しに侍女長となったミルヤを見ながら話を聞いていた。
「はい。お披露目以前に、貴族はこれまで、政敵だといがみ合うのが当然です」
普通に気に入らないから反対の派閥にとか、そんな小さなことでも対立しようとするのが貴族だった。
プライドが邪魔をして、素直に非を認めることもないため、こじれにこじれて、最初の諍いも忘れ、なぜいがみ合っているのかもわからずに対立している家門も多い。
それが貴族社会というものだ。
「ジルファス様のお披露目の時もやはり、第一王妃派と第二王妃派で分かれておりましたし、アビリス王の時も、王族派と貴族派で分かれておりました」
心苦しそうに告げるミルヤ。彼女はミラルファの側でずっとそれらを見て来たのだろう。侍女としてどうすることもできないことを、もどかしく思っていたかもしれない。
「そうなりますと、相手方の派閥からの妨害を警戒しなくてはなりません。お披露目で問題が起きた場合、その王子や王女へ後々までその失敗や問題を引きずる可能性がありますので……」
「確かにありそうですね……」
わざと失敗させることも狙うだろう。せっかくのお披露目で、意味もなく憎まれ、意地悪をされるのが普通のことらしい。
しかし、今回のコウヤのお披露目は違う。
「こうして用意する時も、ピリピリと張り詰めた雰囲気の中、行ってまいりました」
「ははっ。それは胃が痛くなりそうですね」
軽やかに笑うコウヤ。その背中に、ミラルファの楽しそうな声が掛かる。
「そうなのよね~。母親として見てる分にも気分が悪くなってくるのよ。食事なんてほとんど喉を通らなくてね。どんな妨害があるかってヒヤヒヤしながら息子を見ていなくてはならないなんて……本当に最悪な気分になるのよ」
困ったものだわと頬に手を添えながら、煌びやかなドレスを着たミラルファがテーブルについて、お茶を優雅に傾けていた。
「こんな風にお茶を飲むことも出来ないのよ? イスリナも覚えておきなさい。コウヤさんが特殊なだけですからね? リルファムの時にどうなるか……このままだったらどんなに良いか……」
「そうですわよね……リルのお披露目まで五年……このまま続いてくれないかしら……」
「どうかしらね……本当に、今の王宮はこう……黒いものがないのよね。みんなで頑張ろうっていう団結力があって……はあ……いつまで保つかしら……」
ミラルファの向かいには、こちらも美しいドレスを身に纏ったイスリナがいる。先ほどまでクッキーを摘んで微笑んでいた。
だが、五年後のリルファムのお披露目を思って二人で気分を沈ませていく。
そんな様子を鏡越しに見て、コウヤは苦笑する。
「今から心配するんですか? 大丈夫ですよ。ミラお祖母様やイスリナ様と同じように、貴族の方々も願っているはずです」
「そうかしら……意地の悪い腹黒ばかりよ? コウヤさんが王宮から離れたら、きっとまたじわじわと黒い腹を見せるようになるんだわ」
ミラルファは、かつてない王宮の様子を気に入っているようだ。だから、余計にこの雰囲気が再び以前のように戻るのを恐れている。
「そうですねえ。でも、誰だってずっと意地を張っているのは辛いものです。今は全てを水に流そうという空気がありますから、この内に、全て精算してしまえばいいんです。まだしばらくは学園のこともありますし、王宮にお邪魔しますから、手伝いますよ」
「「っ、いいの!?」」
「はい」
イスリナとミラルファが真っ直ぐにこちらを向いて目を輝かせた。
「リルのお披露目も、楽しくやりたいですからね。その時は、私も手伝えますし」
「まあっ。それはリルがとっても喜ぶわっ」
「コウヤさんと準備できるなんて……楽が出来てしまうわねっ」
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「「歓迎するわっ」」
コウヤとしては、裏方の方が楽しい。走り回るのも好きだ。今回も周りの様子を感じていて、うずうずしていた。
是非とも一緒に走り回りたかったというのが本音だ。
「なら余計に、このままの現状を維持したいわ……もちろん、コウヤさんが居るだけで効果はあるけど」
「あら? お義母様。そもそも派閥が分かれない可能性があるのではありませんか?」
「え? あ……そうね。コウヤさんが人気すぎて、リルにつく人が居ないわ」
「コウヤさんが居るならそっちってことになりますわよね? わたくしならそうします」
「私もよ。コウヤさんが居れば、心配なさそうね」
「そんな気がしますわ。ですから、コウヤさんを離さなければいいのですわ」
「確かにそうね」
目つきが変わった。なんだか狙われている。
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「コウヤ様。わたくし共を見捨てないでいただけますか」
「ミルヤさん。顔が真剣過ぎます」
「わたくし、真剣ですので。どうでしょう。わたくし共や近衛師団の者達を見捨てないでいただけますか?」
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「そうですか……いえ、ダメですね。師団の者達は、コウヤ様がどこへ行っても着いていく方々でした。それではいけません……」
「えっと……ミルヤさん?」
ぶつぶつと呟きながらも、ミルヤはコウヤの髪を仕上げていく。さすがはプロだ。
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「腕の見せ所ですわねっ」
「ええ。男達だけ仲良くなるなんてズルいですものね」
「本当ですわっ。昨日のお茶会楽しかったですものね」
「楽しかったわっ」
レナルカが乱入したことで、突発的に始まった議場でのお茶会は、参加した誰もが楽しいと思えるもので、お茶会が楽しいと心から思えたものだった。
「やるわよ」
「はいっ」
燃えていらっしゃる。その様子を見て、コウヤは笑った。
「楽しそうですね」
「これも全て、コウヤ様のお陰でございますよ」
「そうかな……」
「ええ。さあ、出来ました」
「ありがとうございます」
ようやく、コウヤの用意が整った。
「まあっ。コウヤさんっ。本当に、とっても素敵っ」
「いいわっ。いいわっ。なんて素敵な王子様でしょうっ」
立ち上がり、ミラルファ達の方へ向かうコウヤ。部屋の端で控えていたメイド達が泣いていたり、壁に寄りかかったりしているのは気になるが、目を向けない方がよさそうだ。
「……長い一日になりそうだな……」
間違いなく王子に見えるらしいと周りの雰囲気で確認し、少し困惑しながらも、コウヤはこの日一日を予定通りこなそうと改めて覚悟を決めた。
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世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。
古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。
ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。