472 / 504
第十三章
607 ボス戦は?
コウヤが欲しいと言った魔獣と笑顔を輝かせるコウヤを交互に見る一同。さすがに呑気な冒険者も、これには驚いていた。
「え? 欲しいって言った?」
「言ったかも? え? あんな大きいのを?」
「いや、完全にラスボスじゃん? それを欲しいって……」
「やべえなコウヤ……いや、コウルリーヤ様、さすがっす」
本気かなとちょっと冗談かなと誰もが思った。しかし、コウヤの顔や目に、本気が見えた。
「あのワクワク顔は本気だわ」
「おもちゃ欲しがる子どもと一緒の顔だわ」
「え? 可能なの?」
「犬猫とは違うんだけど……」
「いや、あの顔はそれくらいの感覚だわ……」
子猫拾って帰ろうとする子どもと変わらない顔だった。そこで注意するのは保護者だ。ボスを指差して説得を試みる。
「コウヤ君。あんな大きなのはダメですよっ! どこに棲まわせるんですかっ」
「ここでも良いし。大丈夫だよ。多分、大きさそれなりに変えられそうだもん。ね?」
《グゥ……》
「なんで頷いてるんですか!?」
《グラ?》
普通にコウヤに『ね?』と言われて頷く魔獣。ちゃんと言葉も理解しているような様子に、リクトルスが驚愕していた。
「あの子賢いよ。大丈夫。ここに来るまでに纏ってた邪神? の洗脳とか? 拘束とか色々は全部振り払っちゃってるし」
「「え??」」
「ね? 俺と目が合った時には全部解けてたよね?」
《グラウっ》
「ほら」
「……もしかして、その後にまた手を出されないように、ここを隔離しましたか……」
「うん!」
「……」
「……コウヤちゃん……」
呆れられた。
「だって、可哀想だよ! 洗脳して戦わせるとかダメ! ちゃんと考えられる子なんだよ。それも自分の中の正義もきっとあるんだ! だって神って言葉のゴッドから名前をもらってるゴジ◯だもん!」
「その理屈が分からないんですよっ!」
「そんなすごいの? この子……」
《グラウ?》
首を傾げるボス。それを見てエリスリリアがこちら側に一歩踏み出した。
「え……あ、可愛いかも……」
「エリス!」
「だって、リクト。あんな大きな体してて、ちゃんと知性があるのよ? なに、あのちょっと困惑したような瞳……やだ、可愛い!」
「だよね! いいよね!」
「連れて帰っても大丈夫よ! あの子が棲むくらいの広さの大陸ぐらい、お父様に創ってもらいましょう! 大陸の一つや二つ、どうとでもなるわ!」
「そうだよね! うん! ゼストパパにお願いするよ! だから一緒に行こう」
《グラァウ》
「あ、契約できた」
「っ、コウヤ君!?」
「まあっ」
「「「「「えぇぇ~!」」」」」
喋っている内にまさかの従魔としての契約が完了していた。
そこで、ボスはコウヤが望むようにと、小さくなった。それも丸っとしている。大きさとしては、抱えられるサイズだ。
「ヤバっ、可愛っ! ゆるキャラ的な!? 羽もちゃんとある!!」
「え? 羽の感じ変わった! 可愛い! ちょっと、抱っこさせて、コウヤちゃん!」
コウモリというか、キングギ◯ラの羽っぽかったものが、フワフワな黒い天使の羽になっていたのだ。そして、可愛い丸っとした可愛い子になった。
「……なんで、アレがああなるの?」
「……コウヤが望んだとか?」
「エリス様がめちゃくちゃはしゃいでる……」
「ねえ。ボス戦は?」
「……さあ……」
始まる前に終わってしまったラスボス戦。しかし、ここで気付くべきだった。
ラスボスとは言っていたが、邪神ではないのだから。
***********
読んでくださりありがとうございます◎
「え? 欲しいって言った?」
「言ったかも? え? あんな大きいのを?」
「いや、完全にラスボスじゃん? それを欲しいって……」
「やべえなコウヤ……いや、コウルリーヤ様、さすがっす」
本気かなとちょっと冗談かなと誰もが思った。しかし、コウヤの顔や目に、本気が見えた。
「あのワクワク顔は本気だわ」
「おもちゃ欲しがる子どもと一緒の顔だわ」
「え? 可能なの?」
「犬猫とは違うんだけど……」
「いや、あの顔はそれくらいの感覚だわ……」
子猫拾って帰ろうとする子どもと変わらない顔だった。そこで注意するのは保護者だ。ボスを指差して説得を試みる。
「コウヤ君。あんな大きなのはダメですよっ! どこに棲まわせるんですかっ」
「ここでも良いし。大丈夫だよ。多分、大きさそれなりに変えられそうだもん。ね?」
《グゥ……》
「なんで頷いてるんですか!?」
《グラ?》
普通にコウヤに『ね?』と言われて頷く魔獣。ちゃんと言葉も理解しているような様子に、リクトルスが驚愕していた。
「あの子賢いよ。大丈夫。ここに来るまでに纏ってた邪神? の洗脳とか? 拘束とか色々は全部振り払っちゃってるし」
「「え??」」
「ね? 俺と目が合った時には全部解けてたよね?」
《グラウっ》
「ほら」
「……もしかして、その後にまた手を出されないように、ここを隔離しましたか……」
「うん!」
「……」
「……コウヤちゃん……」
呆れられた。
「だって、可哀想だよ! 洗脳して戦わせるとかダメ! ちゃんと考えられる子なんだよ。それも自分の中の正義もきっとあるんだ! だって神って言葉のゴッドから名前をもらってるゴジ◯だもん!」
「その理屈が分からないんですよっ!」
「そんなすごいの? この子……」
《グラウ?》
首を傾げるボス。それを見てエリスリリアがこちら側に一歩踏み出した。
「え……あ、可愛いかも……」
「エリス!」
「だって、リクト。あんな大きな体してて、ちゃんと知性があるのよ? なに、あのちょっと困惑したような瞳……やだ、可愛い!」
「だよね! いいよね!」
「連れて帰っても大丈夫よ! あの子が棲むくらいの広さの大陸ぐらい、お父様に創ってもらいましょう! 大陸の一つや二つ、どうとでもなるわ!」
「そうだよね! うん! ゼストパパにお願いするよ! だから一緒に行こう」
《グラァウ》
「あ、契約できた」
「っ、コウヤ君!?」
「まあっ」
「「「「「えぇぇ~!」」」」」
喋っている内にまさかの従魔としての契約が完了していた。
そこで、ボスはコウヤが望むようにと、小さくなった。それも丸っとしている。大きさとしては、抱えられるサイズだ。
「ヤバっ、可愛っ! ゆるキャラ的な!? 羽もちゃんとある!!」
「え? 羽の感じ変わった! 可愛い! ちょっと、抱っこさせて、コウヤちゃん!」
コウモリというか、キングギ◯ラの羽っぽかったものが、フワフワな黒い天使の羽になっていたのだ。そして、可愛い丸っとした可愛い子になった。
「……なんで、アレがああなるの?」
「……コウヤが望んだとか?」
「エリス様がめちゃくちゃはしゃいでる……」
「ねえ。ボス戦は?」
「……さあ……」
始まる前に終わってしまったラスボス戦。しかし、ここで気付くべきだった。
ラスボスとは言っていたが、邪神ではないのだから。
***********
読んでくださりありがとうございます◎
あなたにおすすめの小説
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った
歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。
だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」
追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。
舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。
一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。
「もう、残業はしません」
傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る
りーさん
ファンタジー
アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。
その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。
そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。
その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。
本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます
青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。
藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。
溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。
その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。
目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。
前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。
リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。
アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。
当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。
そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。
ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。
彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。
やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。
これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。
何もしなかっただけです
希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。
それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。
――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。
AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。