473 / 504
第十三章
608 討伐判定?
十分にミニゴ◯ラを愛でた所で、コウルリーヤの姿のままのコウヤは、上機嫌で口を開いた。
「じゃあ、そろそろ行こうか」
冒険者達やベニ達は、のんびりピクニック状態で休憩しており、リストルスは瞑想中だった。そんな中でのコウヤの言葉だ。リストルスも目を開ける。
「行くって、繋げられたのですか? ボス……を、倒していませんが」
「うん。問題ないよ。扉出すね。あ、ヅィルちゃんも来る?」
「ジルちゃん?」
《くりゃ~》
「ヅィルちゃんだよ。この子の名前ね。JIじゃなくて、ZIね」
「……よくわかりませんけど……名前付けたんですね……」
「えへへ」
《くらぁぁぁ》
「……」
コウヤが照れたように後ろ頭を掻く隣りで、同じように短い手で後ろ頭を掻くようにして照れるミニゴ◯ラのヅィル。とても可愛いとエリスリリアも目を輝かせていた。
ボスを倒して、次に行く時と同様に、扉が現れる。
「この先は、さっきヅィルちゃんが居た場所ね。もう討伐判定出てるはずだから、次への扉も……ほら、あそこに」
「……討伐判定?」
「なあに? それ」
リストルスが顔を顰め、エリスリリアが首を傾げる。そして、冒険者達も不思議そうにコウルリーヤを見た。
「ん? ああ、これ、裏技なんだよ。あまりやっちゃダメだよ? 死にそうになった時ならいいけど」
内緒ねと指を立てるコウルリーヤに、可愛いとベニ達や冒険者の一部が頬を赤らめる。
「ボス部屋に、ボスがいなくなったイコール、ボスが討伐されたってことでしょ? だから、一定時間ボスを埋めちゃうとか、結界を重ねがけして完全にその気配を絶っちゃうとね? 討伐されたって判断されて、次の扉が開くんだよ」
「「「「「え?」」」」」
「「「「「マジ?」」」」」
「うん。それで逃げられることあるんだよ。ただし、ボスを倒したって討伐報酬も出ないし、階層登録が出来ないけどね」
本来ならば受け取れるボスの討伐報酬は一切出ない。アレは、ボスの体に仕込まれているため、撃破しなくては出現しないのだ。
そして、転移するための階層登録が出来ない。それは、精霊達が認めないからだ。次階層への扉が開くと共に、転移結晶が現れるのだが、それを出さないようになっていた。
「だから、これを奇跡的に経験したことがある人たちも口にしないんだ。証拠はないからね。それに、やっぱり、討伐できなかったって言いたくないもんね」
「カッコ悪いもんな……」
「「「「「うん」」」」」
倒してもいないのに、倒したというか、部屋を通れたなんて言いたくはないだろう。逃げられたということではあるが、逃げたことには変わりない。しかし、選択としてはアリだ。口にしなければ良い。
「……でも、逃げられるなら……」
「うん。それなら別に」
「いやいや、けど、埋めるとか、無理くない?」
「魔導具あったわよ? ちょっとお高かったけど」
「うっ、保険に持ってたらいいかも……」
そんな話をしながら、一同は扉の向こうを覗き込んだ。
「うげ……なんか空気が……」
「見た目悪いわね……なんか壁もドロドロしてる……」
「変な世界入るみたいだわ……」
ゆっくりと扉を通過して、進む。そこですぐ、エリスリリアがベニ達と共に浄化の力を使った。
「消毒よ!」
「瘴気臭いわ」
「嫌だねえ。鼻が曲がるわ」
「汚いね」
そうすると、幾分か空気も良くなる。そして、周りのドロドロが近場だけ消えた。
「え? これなんなの?」
「消えたな……普通に泥じゃないんだ……」
「お~、俺もやるか」
ジンクも参加し、まるで掃除しながらというか、足下にもあるドロドロを消しながら進んだ。
「コウヤくん……ここは……」
リストルスが周りに注意しながらもコウルリーヤに尋ねた。
「うん。異界っぽいね。繋がってるんだと思う」
「繋がって……邪神の世界とですか」
「そうじゃないかな。ゼストパパも、外の世界と繋がってるのが見えたって言ってたからね。ゼストパパも気配に気付かなかったってことは、多分、そういうことなんだよ」
「……こちらに居ないから……ですね」
「多分」
今までゼストラーク達に感知されなかったのは、その繋がっている世界の方に居たからだろう。
そして、その先は外だった。
「え?」
そう。唐突に視界が開けたのだ。神殿の一番上。そこに天井はなく、切り取られたようになっていた。
そして、神殿を囲むように、四方に魔法陣が出現した。
「っ、全員転移させるよ!!」
「コウヤくん!?」
「っ、ちょっ、コウヤちゃん!?」
コウルリーヤは嫌な予感がして、単独で転移できるリストルスやエリスリリア、ベニ達も構わず全員をまとめて転移した。その瞬間に、その四つの魔法陣から黒い力が放たれ、コウルリーヤ達が居た場所に放出されていた。
***********
読んでくださりありがとうございます◎
「じゃあ、そろそろ行こうか」
冒険者達やベニ達は、のんびりピクニック状態で休憩しており、リストルスは瞑想中だった。そんな中でのコウヤの言葉だ。リストルスも目を開ける。
「行くって、繋げられたのですか? ボス……を、倒していませんが」
「うん。問題ないよ。扉出すね。あ、ヅィルちゃんも来る?」
「ジルちゃん?」
《くりゃ~》
「ヅィルちゃんだよ。この子の名前ね。JIじゃなくて、ZIね」
「……よくわかりませんけど……名前付けたんですね……」
「えへへ」
《くらぁぁぁ》
「……」
コウヤが照れたように後ろ頭を掻く隣りで、同じように短い手で後ろ頭を掻くようにして照れるミニゴ◯ラのヅィル。とても可愛いとエリスリリアも目を輝かせていた。
ボスを倒して、次に行く時と同様に、扉が現れる。
「この先は、さっきヅィルちゃんが居た場所ね。もう討伐判定出てるはずだから、次への扉も……ほら、あそこに」
「……討伐判定?」
「なあに? それ」
リストルスが顔を顰め、エリスリリアが首を傾げる。そして、冒険者達も不思議そうにコウルリーヤを見た。
「ん? ああ、これ、裏技なんだよ。あまりやっちゃダメだよ? 死にそうになった時ならいいけど」
内緒ねと指を立てるコウルリーヤに、可愛いとベニ達や冒険者の一部が頬を赤らめる。
「ボス部屋に、ボスがいなくなったイコール、ボスが討伐されたってことでしょ? だから、一定時間ボスを埋めちゃうとか、結界を重ねがけして完全にその気配を絶っちゃうとね? 討伐されたって判断されて、次の扉が開くんだよ」
「「「「「え?」」」」」
「「「「「マジ?」」」」」
「うん。それで逃げられることあるんだよ。ただし、ボスを倒したって討伐報酬も出ないし、階層登録が出来ないけどね」
本来ならば受け取れるボスの討伐報酬は一切出ない。アレは、ボスの体に仕込まれているため、撃破しなくては出現しないのだ。
そして、転移するための階層登録が出来ない。それは、精霊達が認めないからだ。次階層への扉が開くと共に、転移結晶が現れるのだが、それを出さないようになっていた。
「だから、これを奇跡的に経験したことがある人たちも口にしないんだ。証拠はないからね。それに、やっぱり、討伐できなかったって言いたくないもんね」
「カッコ悪いもんな……」
「「「「「うん」」」」」
倒してもいないのに、倒したというか、部屋を通れたなんて言いたくはないだろう。逃げられたということではあるが、逃げたことには変わりない。しかし、選択としてはアリだ。口にしなければ良い。
「……でも、逃げられるなら……」
「うん。それなら別に」
「いやいや、けど、埋めるとか、無理くない?」
「魔導具あったわよ? ちょっとお高かったけど」
「うっ、保険に持ってたらいいかも……」
そんな話をしながら、一同は扉の向こうを覗き込んだ。
「うげ……なんか空気が……」
「見た目悪いわね……なんか壁もドロドロしてる……」
「変な世界入るみたいだわ……」
ゆっくりと扉を通過して、進む。そこですぐ、エリスリリアがベニ達と共に浄化の力を使った。
「消毒よ!」
「瘴気臭いわ」
「嫌だねえ。鼻が曲がるわ」
「汚いね」
そうすると、幾分か空気も良くなる。そして、周りのドロドロが近場だけ消えた。
「え? これなんなの?」
「消えたな……普通に泥じゃないんだ……」
「お~、俺もやるか」
ジンクも参加し、まるで掃除しながらというか、足下にもあるドロドロを消しながら進んだ。
「コウヤくん……ここは……」
リストルスが周りに注意しながらもコウルリーヤに尋ねた。
「うん。異界っぽいね。繋がってるんだと思う」
「繋がって……邪神の世界とですか」
「そうじゃないかな。ゼストパパも、外の世界と繋がってるのが見えたって言ってたからね。ゼストパパも気配に気付かなかったってことは、多分、そういうことなんだよ」
「……こちらに居ないから……ですね」
「多分」
今までゼストラーク達に感知されなかったのは、その繋がっている世界の方に居たからだろう。
そして、その先は外だった。
「え?」
そう。唐突に視界が開けたのだ。神殿の一番上。そこに天井はなく、切り取られたようになっていた。
そして、神殿を囲むように、四方に魔法陣が出現した。
「っ、全員転移させるよ!!」
「コウヤくん!?」
「っ、ちょっ、コウヤちゃん!?」
コウルリーヤは嫌な予感がして、単独で転移できるリストルスやエリスリリア、ベニ達も構わず全員をまとめて転移した。その瞬間に、その四つの魔法陣から黒い力が放たれ、コウルリーヤ達が居た場所に放出されていた。
***********
読んでくださりありがとうございます◎
あなたにおすすめの小説
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った
歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。
だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」
追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。
舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。
一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。
「もう、残業はしません」
本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます
青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。
藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。
溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。
その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。
目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。
前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。
リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。
アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。
当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。
そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。
ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。
彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。
やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。
これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。
空港清掃員58歳、転生先の王宮でも床を磨いたら双子に懐かれ、国王に溺愛される
木風
恋愛
羽田空港で十五年、黙々と床を磨いてきた清掃員・田中幸子(58)は事故死し、没落寸前の子爵令嬢エルシアとして転生する。
婚約破棄の末に家を追われた彼女が選んだのは、王宮の清掃員――前世の技で空気まで変わるほど磨き上げていく仕事だった。
やがて母を亡くした双子王子王女に懐かれ、荒れた執務室の主である喪中の国王とも距離が縮まり……。
「泣くなら俺の胸で」――床も心も磨き直す、清掃令嬢の溺愛成り上がり。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
【短編】婚約破棄?「喜んで!」食い気味に答えたら陛下に泣きつかれたけど、知らんがな
みねバイヤーン
恋愛
「タリーシャ・オーデリンド、そなたとの婚約を破棄す」「喜んで!」
タリーシャが食い気味で答えると、あと一歩で間に合わなかった陛下が、会場の入口で「ああー」と言いながら膝から崩れ落ちた。田舎領地で育ったタリーシャ子爵令嬢が、ヴィシャール第一王子殿下の婚約者に決まったとき、王国は揺れた。王子は荒ぶった。あんな少年のように色気のない体の女はいやだと。タリーシャは密かに陛下と約束を交わした。卒業式までに王子が婚約破棄を望めば、婚約は白紙に戻すと。田舎でのびのび暮らしたいタリーシャと、タリーシャをどうしても王妃にしたい陛下との熾烈を極めた攻防が始まる。