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第十三章
614 心臓に悪い子だ
パチンコを片手に掲げて宣言するレナルカに、コウルリーヤは口をポカンと開けた。
「……え……レナルカ……?」
「ママ! まかせるのよ! レナルカがパチュんとヤルのよ!!」
「……え? えっと? ちょっと待って?」
止めないとヤバいのはわかる。だが、情報が多すぎて動けない。
まず目に付くのは、葉っぱと蔓で編んだらしい猪の魔獣に付けられた武具。武具だ。頭にもトゲトゲした何かがあるし、体にも巻き付いている。
きっと、突進して体当たりされたら、人なら一発で助からないかもしれない。ちょっと凶暴な状態だ。しかし、そんな中でも花が飾られていたりと、華やかさもある。女の子が乗ってもまあ可愛いねと言われる状態だ。見た目だけは。
「さあ! とっしんなのよ! いくのよ! ゲキトツマル!!」
《ブヒヒィィン!!》
止めようと、やっと一歩を踏み出そうとした所で、猪はやる気満々に後ろ足で土を蹴り、スタートダッシュを決めた。
「ちょっ! 激突丸!? なにそれ!? えっ、ちょっ、待って!!」
「ハイヤー!! なのよ!!」
《ブヒヒィィンっ!!》
「「「「えぇぇぇぇぇっ!?」」」」
ゼストラークでさえも予想外過ぎて絶叫した。
「ちょっ、と、こ、コウヤちゃん! 止めないと!」
動揺しながら指をさすエリスリリア。コウルリーヤもあわあわとしていたが、少し考えてそういえばと思う。
「いや……でも、猪は登れないんじゃ……」
これに同意して胸を撫で下ろすのがリクトルスとゼストラークだ。
「そうだよねっ。あ~……良かった。びっくりしますねえ」
「う、うむ……なんとも心臓に悪い子だ……アレが元調停神とは……ん?」
「え?」
「あれ?」
「うそっ!」
真っ直ぐにすごい勢いで、最早半分以下にまで下がった神殿の建物に向かっていく激突丸とレナルカ。まあ、激突してその反動でレナルカがジャンプし、一撃喰らわすのかなと思っていれば、まさかの垂直に壁を駆け上がっていた。
「「猪だよね!?」」
コウルリーヤとリストルスは同時に確認し合った。しかし、お互いそうだと認められない。
「あっ、パックン達がフォローに回るわね。はあ……良かった……」
「足場を作るか……」
「そ、そうだね!」
「本当に心臓に悪い子だねっ!」
コウルリーヤとゼストラークは、戦うには足場が少ないのを気になり、それを広げることにする。
魔法によって淡く光る半透明のフィールドが空中に展開された。あの邪神の要る場所から広げた形だ。
「はあ……ナナイロ。レナルカのフォローをお願い」
羽ペンゴーレムも飛ばし、コウルリーヤ達は、完全に見ものに回る。
「ゼストパパ。テンキ達が納得するまで待ってあげてね」
「あそこまで近付いていては、隙を見て撃つことなど出来んよ。こちらは、アレの作った別次元への道を閉じることに集中しよう」
「うん。魔獣もこれ以上出したくないしね」
そう言って、コウルリーヤとゼストラークは次元の調整に入る。
「なら私はテンキ達の様子を見てるわ。撤退するようになったら言うわね」
「では、私は結界周りの様子を見て回ります。私の鍛えた者達が、あんな醜い魔獣にやられるとは思いませんがね」
リクトルスは冒険者達の様子を見に行った。
「なんか緊張感なくなっちゃったね」
「……最初からなかったように思うが?」
「そうだっけ?」
「……まあ、大事にはならなさそうだ。アレに、かつてしてやられたと思うと、なんとも言えん気持ちだな……」
「うん……」
もう一方的にボコられるだけになっている邪神。それがなんだか哀れで、溜飲が下がるというよりは、どうでも良くなっていた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
「……え……レナルカ……?」
「ママ! まかせるのよ! レナルカがパチュんとヤルのよ!!」
「……え? えっと? ちょっと待って?」
止めないとヤバいのはわかる。だが、情報が多すぎて動けない。
まず目に付くのは、葉っぱと蔓で編んだらしい猪の魔獣に付けられた武具。武具だ。頭にもトゲトゲした何かがあるし、体にも巻き付いている。
きっと、突進して体当たりされたら、人なら一発で助からないかもしれない。ちょっと凶暴な状態だ。しかし、そんな中でも花が飾られていたりと、華やかさもある。女の子が乗ってもまあ可愛いねと言われる状態だ。見た目だけは。
「さあ! とっしんなのよ! いくのよ! ゲキトツマル!!」
《ブヒヒィィン!!》
止めようと、やっと一歩を踏み出そうとした所で、猪はやる気満々に後ろ足で土を蹴り、スタートダッシュを決めた。
「ちょっ! 激突丸!? なにそれ!? えっ、ちょっ、待って!!」
「ハイヤー!! なのよ!!」
《ブヒヒィィンっ!!》
「「「「えぇぇぇぇぇっ!?」」」」
ゼストラークでさえも予想外過ぎて絶叫した。
「ちょっ、と、こ、コウヤちゃん! 止めないと!」
動揺しながら指をさすエリスリリア。コウルリーヤもあわあわとしていたが、少し考えてそういえばと思う。
「いや……でも、猪は登れないんじゃ……」
これに同意して胸を撫で下ろすのがリクトルスとゼストラークだ。
「そうだよねっ。あ~……良かった。びっくりしますねえ」
「う、うむ……なんとも心臓に悪い子だ……アレが元調停神とは……ん?」
「え?」
「あれ?」
「うそっ!」
真っ直ぐにすごい勢いで、最早半分以下にまで下がった神殿の建物に向かっていく激突丸とレナルカ。まあ、激突してその反動でレナルカがジャンプし、一撃喰らわすのかなと思っていれば、まさかの垂直に壁を駆け上がっていた。
「「猪だよね!?」」
コウルリーヤとリストルスは同時に確認し合った。しかし、お互いそうだと認められない。
「あっ、パックン達がフォローに回るわね。はあ……良かった……」
「足場を作るか……」
「そ、そうだね!」
「本当に心臓に悪い子だねっ!」
コウルリーヤとゼストラークは、戦うには足場が少ないのを気になり、それを広げることにする。
魔法によって淡く光る半透明のフィールドが空中に展開された。あの邪神の要る場所から広げた形だ。
「はあ……ナナイロ。レナルカのフォローをお願い」
羽ペンゴーレムも飛ばし、コウルリーヤ達は、完全に見ものに回る。
「ゼストパパ。テンキ達が納得するまで待ってあげてね」
「あそこまで近付いていては、隙を見て撃つことなど出来んよ。こちらは、アレの作った別次元への道を閉じることに集中しよう」
「うん。魔獣もこれ以上出したくないしね」
そう言って、コウルリーヤとゼストラークは次元の調整に入る。
「なら私はテンキ達の様子を見てるわ。撤退するようになったら言うわね」
「では、私は結界周りの様子を見て回ります。私の鍛えた者達が、あんな醜い魔獣にやられるとは思いませんがね」
リクトルスは冒険者達の様子を見に行った。
「なんか緊張感なくなっちゃったね」
「……最初からなかったように思うが?」
「そうだっけ?」
「……まあ、大事にはならなさそうだ。アレに、かつてしてやられたと思うと、なんとも言えん気持ちだな……」
「うん……」
もう一方的にボコられるだけになっている邪神。それがなんだか哀れで、溜飲が下がるというよりは、どうでも良くなっていた。
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