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mission 20
218 適性ありですので
一日異世界体験としては、濃くしっかりとした仕事までした亮司と幸菜は、翌日、清々しい様子を見せていた。
「なんだかすごく調子がいいんだけど?」
「なんでもやれそうな気がするぞっ」
確かに幸菜は肌も艶々しているし、亮司は今にも走り出しそうなくらい晴れやかな顔をしていた。
食堂で朝食の支度をしながら寿子は笑う。
「あらまあ。きっとアレね? 二人とも魔力をたっぷり使ったのが良かったのよ。しっかり体に馴染んだのね」
「魔力……がいいの?」
「そういうもんなのか?」
確かに魔法を使ったが、目に見えたのは、よくわからない魔法陣だけ。魔力を使ったと言われても実感はなかったようだ。
「魔力ってのか、悪いものだって感覚がなかったから良かったんだろうなあ。体とケンカせずに逆に悪かった所も補ったり治したりしてんだよ」
ご飯をよそいながら、宗徳が説明する。
「ケンカ? する人もいるの?」
「いるみたいですわね。こちらの世界の人は特に、あり得ると聞きましたよ。ほら、異物と思ってしまうみたいで」
「アレルギーみたいなものか……」
「そうそうっ。それです」
魔力なんて知らずに生きている者にとっては、それは確かな異物だろう。それに拒絶反応を起こすのは、不思議なことではない。
「まあ、異世界の奴にも、魔力が合わないとか、過剰に摂取し過ぎるとかあると、ダメらしいけどな」
「どの人にも合わない魔力というのもあるみたいですよ。濃度とかでも」
「体臭みたいなもんで、個人的に合わない人とかも魔力に敏感な奴はあるらしい」
「合う合わないがあるんですね……」
「個人差があったりするのか? なら、体質とか問題が出そうだな……」
「ただ便利な力というわけではないんですね……」
使えてすごい便利だと喜んでばかりいていいものではないのだと二人は理解した。
「あら? もしかして、適性って……」
適性がありそうということで、宗徳達がライトクエストに連れて行った二人。実は適性とはなんだとずっと考えていたようだ。
ようやく四人分の朝食が机に並び、席に座った。
「そうよ? 魔力がきちんと使える人じゃなきゃ、あそこには所属できないもの」
「おいおい。昨日使えてなかったらどうしたんだよ」
「何言ってんだ。薔薇様が太鼓判押してんだから、使えないはずねえだろ」
「「あ……そういう……」」
二人とも、薔薇とは毎日のようにお茶会をしている。そこで、大丈夫と言われていた。中々良い素質を持っているとも。それがこれだとは思わなかったらしい。
「さて、いただきます」
「いただきます」
「い、いただきます……俺は……ここに住むためのとかそういうんだと……」
「私も……いただきます。ここでの暮らしに適応できるかどうかだと……」
ここが特殊な場所であることは、二人もわかっている。それを受け入れられるかどうかは、人によるのではないかと思った。だから、薔薇が言うのは、それに適応できるという太鼓判だと思っていたようだ。
その時、ふと幸菜と宗徳が顔を上げた。
「っ……なにか……上に……」
「上から何人か来たな……」
「え……」
「まあ。誰でしょうねえ。複数なんて……魔女さん達ならあなたは分かりますわよね?」
「ああ。誰が来たかもだいたい……」
宗徳は、気配で個人を特定できる。しかし、どうやら知らない人達のようだ。
「三人……」
「あ、薔薇様? おはようございます」
そこに、気怠そうな様子の薔薇がやって来る。
「すまない……古い知り合いが来たようだ……」
「あら。場所は……あっ、お茶を」
「わたくしが」
メイドの藜蘭が現れる。しかし、薔薇は、弱った表情で首を横に振った。
「いや……その……味噌汁はないか?」
「え? コレですか? 沢山ありますよ? え? ご飯でよろしいのですか?」
「ああ……朝食らしいのは良さそうだ。私のも頼めるだろうか」
「もちろんです!」
薔薇はまず朝起きてこない。朝食など当然食べないため、珍しいことだ。
「奥様。ここはわたくしが。お任せください」
「あ、いいの?」
「はい。お仕事もおありですし、お客様の対応はお任せください」
「そう……?」
確かに仕事にも今日行くことになっている。
「構わない。気にせず行って来てくれ……場所は貸してもらうが……」
「良いっスよ。薔薇様ももう家族ですからね」
「っ、家族……そうか……っ」
「うわ~……相変わらずだな。ノリさん……」
「なんだか懐かしいわ……」
「まったくこの人は……」
薔薇相手でも、宗徳はいつも通りだった。
気になりながらも、やって来た三人の客と顔を合わせることなく、宗徳達は今日もライトクエストから異世界へと向かった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
「なんだかすごく調子がいいんだけど?」
「なんでもやれそうな気がするぞっ」
確かに幸菜は肌も艶々しているし、亮司は今にも走り出しそうなくらい晴れやかな顔をしていた。
食堂で朝食の支度をしながら寿子は笑う。
「あらまあ。きっとアレね? 二人とも魔力をたっぷり使ったのが良かったのよ。しっかり体に馴染んだのね」
「魔力……がいいの?」
「そういうもんなのか?」
確かに魔法を使ったが、目に見えたのは、よくわからない魔法陣だけ。魔力を使ったと言われても実感はなかったようだ。
「魔力ってのか、悪いものだって感覚がなかったから良かったんだろうなあ。体とケンカせずに逆に悪かった所も補ったり治したりしてんだよ」
ご飯をよそいながら、宗徳が説明する。
「ケンカ? する人もいるの?」
「いるみたいですわね。こちらの世界の人は特に、あり得ると聞きましたよ。ほら、異物と思ってしまうみたいで」
「アレルギーみたいなものか……」
「そうそうっ。それです」
魔力なんて知らずに生きている者にとっては、それは確かな異物だろう。それに拒絶反応を起こすのは、不思議なことではない。
「まあ、異世界の奴にも、魔力が合わないとか、過剰に摂取し過ぎるとかあると、ダメらしいけどな」
「どの人にも合わない魔力というのもあるみたいですよ。濃度とかでも」
「体臭みたいなもんで、個人的に合わない人とかも魔力に敏感な奴はあるらしい」
「合う合わないがあるんですね……」
「個人差があったりするのか? なら、体質とか問題が出そうだな……」
「ただ便利な力というわけではないんですね……」
使えてすごい便利だと喜んでばかりいていいものではないのだと二人は理解した。
「あら? もしかして、適性って……」
適性がありそうということで、宗徳達がライトクエストに連れて行った二人。実は適性とはなんだとずっと考えていたようだ。
ようやく四人分の朝食が机に並び、席に座った。
「そうよ? 魔力がきちんと使える人じゃなきゃ、あそこには所属できないもの」
「おいおい。昨日使えてなかったらどうしたんだよ」
「何言ってんだ。薔薇様が太鼓判押してんだから、使えないはずねえだろ」
「「あ……そういう……」」
二人とも、薔薇とは毎日のようにお茶会をしている。そこで、大丈夫と言われていた。中々良い素質を持っているとも。それがこれだとは思わなかったらしい。
「さて、いただきます」
「いただきます」
「い、いただきます……俺は……ここに住むためのとかそういうんだと……」
「私も……いただきます。ここでの暮らしに適応できるかどうかだと……」
ここが特殊な場所であることは、二人もわかっている。それを受け入れられるかどうかは、人によるのではないかと思った。だから、薔薇が言うのは、それに適応できるという太鼓判だと思っていたようだ。
その時、ふと幸菜と宗徳が顔を上げた。
「っ……なにか……上に……」
「上から何人か来たな……」
「え……」
「まあ。誰でしょうねえ。複数なんて……魔女さん達ならあなたは分かりますわよね?」
「ああ。誰が来たかもだいたい……」
宗徳は、気配で個人を特定できる。しかし、どうやら知らない人達のようだ。
「三人……」
「あ、薔薇様? おはようございます」
そこに、気怠そうな様子の薔薇がやって来る。
「すまない……古い知り合いが来たようだ……」
「あら。場所は……あっ、お茶を」
「わたくしが」
メイドの藜蘭が現れる。しかし、薔薇は、弱った表情で首を横に振った。
「いや……その……味噌汁はないか?」
「え? コレですか? 沢山ありますよ? え? ご飯でよろしいのですか?」
「ああ……朝食らしいのは良さそうだ。私のも頼めるだろうか」
「もちろんです!」
薔薇はまず朝起きてこない。朝食など当然食べないため、珍しいことだ。
「奥様。ここはわたくしが。お任せください」
「あ、いいの?」
「はい。お仕事もおありですし、お客様の対応はお任せください」
「そう……?」
確かに仕事にも今日行くことになっている。
「構わない。気にせず行って来てくれ……場所は貸してもらうが……」
「良いっスよ。薔薇様ももう家族ですからね」
「っ、家族……そうか……っ」
「うわ~……相変わらずだな。ノリさん……」
「なんだか懐かしいわ……」
「まったくこの人は……」
薔薇相手でも、宗徳はいつも通りだった。
気になりながらも、やって来た三人の客と顔を合わせることなく、宗徳達は今日もライトクエストから異世界へと向かった。
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