シルバーヒーローズ!〜異世界でも現世でもまだまだ現役で大暴れします!〜

紫南

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mission 18

192 昔から変わらない

亮司の顔に覇気はないが、それでもそれほど重症であるようには見えなかった。だが、慎重に、バレないように注意深く見ると、それなりに視えるものもある。

「亮司……お前……酒飲み過ぎたな」
「ははっ。バレたか。まあな。色々に逃げちまったのよ」
「ったく」
「あら。亮司さんは泣き上戸だったでしょう? 暴れるよりは平和ですわね」
「ヒサちゃん……何で知ってる?」
「俺が話したし」
「それもそうか。相変わらず仲が良さそうだ。ははっ。まあ座れや」
「おう」
「お邪魔しま~す」

こんなやり取りも懐かしいと三人で笑い合いながら、それからしばらく昔話に花を咲かせた。

「それにしても、二人は変わらねえなあ。はははっ。若返ってねえか?」
「おう。まあな」
「病気なんかはしてねえのか?」
「してないわねえ。数年前に、年甲斐もなく電柱に登って落ちて、この人が骨折したくらいですよ」
「ノリさん……何してんだよ」
「いやあ。台風で飛んでったシートがちょい上に引っかかってたんだよ。電線にじゃねえし、少し登りゃあ、届く所に巻きついてたんでなあ」
「綺麗に折ったものだと、お医者様に笑われていましたよね」
「ヒビ入るよかポッキリいった方が良いってな」
「いや。年考えろ。若い頃よか治すのにも時間かかるだろうが」
「それがなあ。俺、骨年齢若くてさ」
「何食ってんだ?」
「寿子のメシ」
「羨ましいやつめ」

そんな感じで、笑い合った。しかし、やはり弱っているのだろう。疲れが見え始めた。それを察して、宗徳と寿子は目配せあった。

「なあ。亮司。また一緒に昔みたいにバカやろうや」
「……やりてえなあ……」
「できますよ。この人に振り回されていれば自然と」
「そうだなあ……ノリさん変わってねえし……けどなあ……」

ここで宗徳と寿子は頷き合う。

「今痛いとか感じてるとこあるか?」
「……胸の辺がな……」
「なら、少し失礼しますわね」
「え……」

寿子が亮司の胸辺りにそっと添えるように手を触れ、治癒魔法をかける。

「なっ、んだ? これ……っ」
「少し光ってしまうのは仕様ですわ」
「こればっかりはなあ。いくら隠してもちょい光るんだよな~」

淡く手のひらが光ってしまうのはご愛嬌。まあ、魔法をかけているのが目で見えるのは仕方がない。治癒魔法だけは隠せないらしい。そこを誤魔化すにはスピード勝負だと、魔女達が魔女らしいことを言っていたのを聞いている。何をやってもスピード狂な所が出たりする。

とはいえ、今回はあえて見せることを目的としていた。

「部屋にカメラなくてよかったなあ」
「カメラにも少し映ってしまいますもんねえ」
「いや……これ一体……」

寿子の手から出ている淡い光に手で触れながら、亮司は戸惑っていた。そんなことは気にせず、寿子と宗徳はいつも通りだ。

「さあ。これくらいでしょうね」
「まだ痛みはあるか?」
「は? え? な……っ、ない……」
「よしよし。これは笑いの力だ。笑うと細胞に良い働きがあって、それで治癒力が上がるって研究があってな」
「いやいや。なんだそれ……」
「え? 知らねえの?」
「知らないんですか?」
「その顔……お前ら夫婦のその顔に何度か誤魔化された記憶が……」

揃ってキョトンとし、当たり前のように言ってみせる。これは寿子と宗徳の若い頃からの技だ。そうして色々うやむやにしてきた前科がある。

「心配すんなっ。これホントだから」
「そうですよ? まだまだ検証中ですけど、実際にあっておかしくないものですから、これで誤魔化せます!」
「誤魔化す気満々じゃね?」
「「そんなことは……」」
「そこでわざとらしく目を逸らすんじゃねえよ!」

寿子もついついこれは宗徳と揃ってしまう行動の一つだ。似た者夫婦と言われて嬉しいことでもある。

そこで亮司が噴き出す。

「ぷはっ。あははっ。本当に変わらねえっ。変わらなさ過ぎだろっ」
「ははっ。褒められたなっ」
「やあねっ。亮司さんったら、いつまでも若いよなんてっ」
「言ってねえよ?」
「言ってねえな」
「まあっ。副音声が聞こえないんですか?」
「いや、ねえから。どんな技だよ」
「因みに俺もたまに発現する技だな」

うんうんと宗徳の言葉に得意気に頷く寿子。私にしか分からないんですよと言う様子に、亮司はまた笑った。

「ぶっ! はははっ」
「あははははっ」
「ふふふふふっ」

そうしてしばらく笑い合ったのだ。









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