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2章 怨みの象

21話 料理長の四番弟子

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 先に試合を終えたアミリ達は。

 「や、やっぱり来てくれたわね、カナミさん。信じていて良かったわ」

   「来るのが遅いですの! もう…けど、本当に良かった」

   「間に合って良かったです。これで勝機に繋がれば良いのですが…」

「きっと大丈夫だよー」

 待ちに待ったカナミのお出ましに、それぞれが嬉々していてる。

観客達は。

 「やっぱ最強チーム相手じゃ全然手も足も出ないね! 遅めの登場が…」

 「これが力の差ってやつか。あれって」

 「そうだね。一対四じゃ、勝は無理無理。もしかしなくても」

 観戦客の一番前の端っこで、男女三人が今の在り様を言う。
 そして遅めの登場した彼女を見た三人は言葉を紡ぐ。

「カナミが復活したださ! でもこれは」

 「遅いお出ましだべぇ~ これがどうでるか」

 「良かったみたいだな。少しでも希望が持てる」

 一瞬カナミの登場に喜ぶルゼインだが、状況的には厳しいと。
 なまった喋りの青年とその隣にいた大柄の男も喜び、逆転を願う。

 「グハハハハハ。主役は遅れてやってくる? か。まあ、流石に二人では負けるに決まってるではないか」

 「はああぁ~。カナミ来た。もしかしたらこの戦い逆転あるかも」

 「四対二。微妙な数だけど無理……」

 ルゼインの所の女子たちがネガティブな事を言い出す。

 「ヒョウガ。それにカナミ。君達を信じてるよ!」

 「ここで勝つとカッコいいな」

 「皆気持ち良くなっちゃって。じゃなくて、勝ち目はないけど最後まで頑張れ」

  エデロアたちは彼に一縷いちるな望みを託す。

 「流石最強チームと呼ばれる事は有るよう」

 「でもキセキが起きたら凄い」

「ルアッタの言う通り」

 女性陣も其々が思いを口にする。

そして決勝戦へ戻る。

「それじゃあ、行くぜ! 
       妖魔想像<雪女>」

「させないぞ!
      能力<旋風>!!」

 ガヴェールが雪女を出現させると、ヒョウガへ凍てつく雪を吹かかす。

 透かさずヒョウガは、その技に向けて渦のように巻き上がる風で雪女を吹き飛ばす。

 コロネが片膝を立てて、中央に居るカナミの至近距離へと移動し、素早く刀を抜き放つと。

「逃れることは出来ません。
       武装霊刀奥義<居合業火>」

 地獄の火を纏われて、カナミを斬り倒そうとすると。
 
 「武装想像<水の女神>」

 カナミは事前に想像していた水を司る女神を出現させると、コロネごと水で呑み込む。

「中々やりますね!」

 ずぶ濡れのバトルウェアのコロネがそう称賛しーーー
バトルウェアを乾かす。

「こんなものじゃないよ!」

「それなら妾がやるのじゃ。
      武装神鉈技<神風波斬り>!」

 リーフはヒョウガに向け、右手に持つ神鉈で技を発動。

 幼女は、神が創り出した風の大波で斬りかかり―――。

 ギリギリのところでカナミが躱す。

 代わりにヒョウガだが技を発動。

「んじゃあ、行くぞ! 
    武装二刀剣奥義<風神の嵐乱舞>」

 リーフの目の前に風神を出現させると、そいつが踊り狂うように嵐を起こす。

 ビュオオオオオオ。ビュオオオオオオ。と音を立てて襲い狂い。

「行くぜ! 
    妖魔想像<塗り壁>」

「そうはさせない! 
      武装想像<天空の歌姫>」

 ガヴェールがリーフの前に立ち、塗り壁を出現させて、攻撃を防ごうとする。

 それをカナミが、天空から舞い降りた歌姫を出現させて、音符と歌を武器に変えて塗り壁に突き刺す。

「行くね。
    武装呪銃術<怨念丸>」

 ザクはヒョウガに銃口を向け、引き金を引く。

 放たれた怨念の弾は、一ミリたりともズレることなく猛スピードで飛んで行く。

 「そうはさせないぞ! 能力・・・・・・・」

 能力を発動する間も与えられぬまま、コロネが片膝を立てて、ヒョウガの至近距離に移動し、素早く刀を抜き放つと。

 「覚悟して下さい! 先輩。
     武装霊刀奥義<居合閃光>」

 閃く光を纏わせえて、ヒョウガを斬り倒す。

 「ぐおおおぁ~。痛い痛い痛い痛いぞ! 中々やるな」

 閃光を食らったヒョウガは、激しい痛みが体中を襲い。

「ヒョウガ!? 大丈夫?」

「これで終わりなのじゃ。
          能力<崩壊>」

  次は成功したらしく、ヒョウガ達の立つ地面だけにひびが生じて、やがて崩壊していく。

 この時に限っては、全然地面が戻らない。

 ―――このままじゃ墜落するぞ! 何で地面が戻らないんだ?

 ―――これはチャンスなのじゃ。何故戻らないかは気にしないのじゃじゃ。

 リーフは右手に持つ神鉈と左手に持つ魔斧を構えて飛び降りた。

「ヒョウガ! 大丈夫かな」

「リー。危ないよ!」

 「戻っておいで! リーフちゃん」

 「リーちゃん。何で地面が戻らない」

 三人が呼び掛けるが、リーフは既に空いた地面の下へと落ちて行った後だった。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 これはまだ地面に異変が起きる前へと遡る。

 地面の再生には、装置内にある機関や機軸、機能の全体修復が深く関わっており。

 その設備へと、何者かが侵入したらしく。

 侵入経路は分からぬが、恐らくは能力の類であろう。

 その人物は、色々と機能を弄り、最後にはもの凄い破壊力を持つ腕で再生機関を叩き潰す。
 その間も一言も口を開くこと無く。

 目的を済ませると、煙の如く消えてしまい。

 何と現れて消えるまで約一、二分しか経過していない。

 一体何の目的で、このような真似をしたのだろうか。
 一体その人物は、何を望んでいるのか。
 一体どんな利があるのだろうか。

 それを知りえる方法は、本人に聞かざるおえない。


 異様な事態を目の辺りにしてしまった観衆に紛れ、その人物はにやりと笑う。

               ♢ ♢ ♢ ♢ ◇

 
 そこへ落ちて行ったヒョウガと追いかけるように落ちて行ったリーフの話へと戻る。

  「これ本当に落ちて行ってるけど、大丈夫か?」

 「妾も、思いつきで飛び降りたけど分からないのじゃ」

 と二人が会話している間にも、ごくごくと終わりが見えてきて。

 「リーフ、しっかり摑まれ!」

  「ふぇ!? ど……何処触ってるのじゃ」

「悪い。やっちまった!」

 ヒョウガは、リーフの胸と腰を抱きかかえる形になってしまう。

 そんな状況のまま地面へと着地し、すぐさま幼女から手を放す。

 「貸しなんて思わないのじゃ。だから、借りは返さないのじゃじゃ」

 「別に良いぞ! 何せ君みたいな可愛い子を助けられただけで幸せなんだから。それで何だけど、賭けをしないか?」

  「か…可愛い!?  賭けなのじゃ?」

 「ん・・・・・・!? ああ、そうだ! 君が勝ったら―――まだ考えてないけど、俺が勝ったら、リーフ、俺のものになれ」

 「それってまさか!? プ……プロポーズなのじゃ? ええ・・・・・・ええっ・・・・つまりに妾のことが・・・・・・。どうせ妾たちが勝つのじゃから良いのじゃ」

 ヒョウガの出した条件を聞いた途端、耳元まで真っ赤に染め、リーフは慌てふためきながら言葉を紡ぐ。

 条件に対して「妾が出す条件は」と彼の目を緊張感漂う面持ちで、力を振り絞って言い放つ。

 「何方にしろ同じだから、契約を結んで欲しいのじゃ。それとデートもなのじゃじゃ」

  「ん・・・・・・!? ああ、了解だ!」

   リーフの出した条件を淡々と受け入れ…

 「なあ、ここで戦っても無事にに帰れると思うか?」

 「分からないのじゃ。でもここも安全防御壁内だから、多分大丈夫なのじゃじゃ」

 「んじゃ、ここで決めるのはどうだ? 決着を!  カナミを呼ぶぞ」

 「それは良いアイデアなのじゃ。そうと決まれば仲間を呼ぶのじゃじゃ」

 ヒョウガの提案を呑み込んで、リーフは仲間に通信機で指示を出す。

 場所的に、壊された機関の破砕していたり、機軸が折れているが、戦いには何の影響もないためそう判断したのであろう。

 全員が揃った所で、試合を再開して。

 「それじゃあ、早く決着を着けるのじゃ」

「そうですね」

 「リーフちゃんの言う通りだぜ! とっとと終わらせてやるぜ!」

「そうするか」

其々がそう言うと。

 「私来たばかりだけど仕方ないよね」

 「ああ、そうだな! 良い考えだ」

とヒョウガも肯定して。

 全員が戦闘態勢を取るや、其々が行動に移す。

 「それじゃあ、行くぜ! 
      妖魔想像<天犬あまいぬ>!!」

「行こうか。
     武装呪銃術<三千年の怨み>!」

 ガウェールが赤い毛並みの巨大な狼で、青い翼に黄色の尾、黒色の嘴くちばしを持つそいつが彼へと襲い掛かってきて。

 ザクはヒョウガへと銃口を向け、引き金を引く。

 放たれた三千年もこの世を恨み続けた者たちの弾も、ヒョウガへと飛んで行く。

「能力<暴風>ッ」

 透かさずヒョウガは、体を中心に強い風が吹き荒れさせて、二つの技を吹き飛ばす。

 次にコロネが、ヒョウガに技を発動させるより前に、片膝を立てた。そしてヒョウガの至近距離に移動し、素早く刀を抜き放つと。

「武装霊刀奥義<居合業火>」

 地獄の火を纏わせて、ヒョウガを斬り倒す。

 「ごああぁ~。熱い熱い熱い熱いぞ! それに痛い痛い、痛い痛い!」

 業火を食らったヒョウガは、熱さと痛みで体中を蝕まれてしまい、流血してしまう。



「これで決めるのじゃ」

 「チェレヌちゃんの相手は私ね」

 「態々自ら負けに来るとは…良いのじゃよ」

 カナミがリーフの前に立ち開かる。

 「武装神鉈技<天神斬シエディオス·ブレイドり>!!」

 神鉈から天神を出現させたリーフ。

 幼女の斬りかかる合図で斬りかかって―――。

「武装想像<時の巫女>」

 カナミが突如にして刹那ーーー時空の狭間が現れそこから巫女を出現させる。

 天神から繰り出された斬撃を、時の巫女は文字通り、時間を止めた。更に天神そのものを消し去る。
 止まっているうちに、場所を移す。

少しして時間が動き出す。

  「どう言うことなのじゃ? 確かに技を…それにいつの間に移動したのじゃ?」

とリーフは疑問を抱く。

 もう応援する事しかできないアミリ達は。

 「ね、ねえ、アーティナさん。。ヒョウガ先輩とカナミさんが居るから大丈夫よね?」

 「現状が分からないからなんとも言えないですの。 でもカナミが来たから大丈夫ですの」

 「今までのカナミ先輩とどこか違うように思えたので大丈夫です。」

 「そうだよー」

 地面の下に落ちた事で現在の状況が不明な中、彼女たちはカナミとヒョウガへ全てを託す。

試合に戻る。

 「ま…まさか妾の技を止めたのじゃか!?」 

「うん、そうだよ!」

 一つしかない理由を恐る恐る口にするリーフへ、笑顔で答える。

ヒョウガの方は。

「一気に決めるぜ!」

「ーーーうん」

「そうてしましょう!」

 そう言って三人は一斉に技を発動。

 「妖魔想像<天犬>  妖魔想像<饕餮とうてつ>」
 
 ガウェールが赤い毛並みの巨大な狼で、青い翼に黄色の尾、黒色のくちばしを持つ怪物。それと体は羊のようで、人間に似た顔、曲がった角、虎の爪を持ち、爪先はヒヅメではなく人間の爪を持つ怪物を出現させる。

 そして二つの怪物に、ヒョウガを襲わす。
 
 「行こうか。
      武装呪銃術<三千年の怨み> 武装呪銃術<積怨丸>」

 ザクはヒョウガへと銃口を向け、引き金を引く。

 放たれた三千年もこの世を恨み続けた者たちの弾も、ヒョウガへと飛んで行く。

 更にザクはザクがヒョウガへと銃口を向けて、引き金を引く。

 放たれた積み重なった怨みの弾は、ヒョウガへと飛んで行く。

 四つの攻撃がヒョウガへと襲い狂う。

「能力<旋風>」

 ヒョウガが渦のように巻き上がる風で全ての攻撃を吹き飛ばそうとするが。

 そう簡単に吹き飛ばすことが出来ず、全ての攻撃をもろに食らう。

 「····」 

 ヒョウガは声になら無い声をあげる。

それだけでは終わらない。
 
 続いてコロネが、片膝を立てて、ヒョウガの至近距離に移動し、素早く刀を抜き放つと。

 ーーーま、不味まずい。このままだと本当に終わっちまうぞ! それは嫌だ。こんなところで終わりたくない。けど、確実に次の攻撃で俺は終わる。何とかしたいんだけど

 そうヒョウガが内心で喚いてると。

 何処からか謎の声が聞こえてきーーー。

 『ヒョウガ、こんな所で本当に終わりたいのか?』

―――ん? 誰だ?

 何処からか聞こえてくる聞き覚えの無い声に、そう返すと。

『こうすると分るだろうよ』

  そう言った刹那、目の前に声の主が現れた。

 ―――ん? ふ……風神じゃないか。

 『では、早速は無しに入ろう。単刀直入に言わせて貰うよ。お前に俺様の力を使わせてやろうと言うことうよ』

 ―――風神の力? それって何時ものと違うのか?

ふと、よく使うそれを思い浮べ。

 ―――しかし、そいつは首を横に振り。

『それとは別物だ』

 ―――それなら使わせて貰うぞ!

 ヒョウガの了承を受けた途端、ヒョウガの体の中へと入り込んで、そして消えて行き……。

彼の体中を、風の覇気を包み込む。
 雰囲気も又、何時もと違い、髪が逆立っていて。

 至近距離に居たコロネを凪払う。

「ぐはっ! 」

 コロネは攻撃を食らい、呻き声をあげる。

 「何か先と違うぜ! 気を付けろ」

「気を付けながら行こう」

 ヒョウガの前に二人も加わり囲み込む。

「行くぜ!
      妖魔想像<滑瓢>」

 ガウェールが滑瓢を出現させて、攻撃を仕掛けようとするが―――。

 風で薙ぎることで、滑瓢を消し去って、ガウェールにも同じ攻撃を仕掛けて。
 それを食らった彼は痛みが体中を襲い。

 「ああ、あああぁ~。痛い痛い痛い痛いぜ! 何て威力だ」

「これで終わりにするぞ! 
    風神覇奥義<烈風舞踏スプウェンドダンス

 ヒョウガの周りを、更に非常に強い風で覆い尽す。
 舞い踊るように手に、持つ二つの刀剣でガウェールの心臓と腹へと突き刺すと―――。

大量に血が溢れ出す。

 「がああぁ~。痛い痛い、痛い痛いぜ! ゔぇ~。げホげホ。まさか・・・・・・俺がやられるとはな・・・・・・見事だぜ!・・・・・・」

バタン、その場に倒れ込む。

「僕も行く。
    武装呪銃術<積怨丸>!」

 ザクがヒョウガへと銃口を向け、引き金を引く。

 放たれた積み重なった怨みの弾は、ヒョウガへと飛んで行く。

がしかしーーー

「んな、攻撃効かないぞ!」

 そい言って、風で薙ぎってしまう。

 コロネが片膝を立てて、ヒョウガの至近距離に移動し、素早く刀を抜き放つと。

「行きますね!
      武装霊刀奥義<居合絶息>ッ」

「んな攻撃食らって溜まるか! 
          能力<旋風>」

 ヒョウガの息の根を止めようと試みるも、ヒョウガが渦のように巻き上がる風でコロネごと吹き飛ばす。



「これで決めるぞ!
      風神覇奥義<神風乱舞ゴッドウィンズバラーレ>!!」

 神によって吹き上がる風と共に、コロネへと踊り狂うように襲いかかって―――。
 躱す事も出来ぬまま、コロネは攻撃を食らってしまう。
 体のあちらこちらか途轍もないほどの血が噴き出す。

 「ぐああああ~。痛い痛い痛い痛いです。私まで敗れるなんて・・・・・・なんて技なんでか・・・・・・ゔぇ~。げホげホ・・・・・・」

バタン、その場に倒れ込む。

 遂にに対二となり、焦り出すザクにリーフは示唆する。

 「あの力は風の神力なのじゃ。体力切れになるまで待った方が良いのじゃじゃ」

「分かった」

 「こっちは妾に任せるのじゃ」

 仕掛けて来ない二人。その代わりに彼が仕掛けようとするが、息を切らし、肺呼吸がしずらい。
力のタイムミリットだ。

「これはチャンス。
      武装呪銃術<積怨丸> <幽鬼丸ゆうきがん>!」

 ヒョウガの周りを更に強い風で覆い尽しす。
 舞い踊るように二つの剣でザクを突き刺そうとすると。

 ザクはヒョウガへと銃口を向け、引き金を引く。

 放たれたのは積み重なった怨みの弾と、もう一つは死者の霊の弾で。ヒョウガへと飛んで行く。


「ぐはっ…ゲホゲホ」

 二つの技の銃弾を食らい、口から血を大量吐血する。

「次で決める」

 ―――くっ! 今度こそ本当に不味いぞ!もう駄目

 と彼が又もや悔しそうにしている。その時ーーー

「も~何時まで待たせるの」

 そう言って現れたのは天使―――シナモンだ。

 「ん・・・・・・!? シナモンか。何怒てるんだ?」

 「お‥‥‥怒ってなんかないもん」

 「やっぱり怒ってるんじゃないか。ホント悪かったぞ! 正直言うとすっかり忘れていたんだ」

 「もう良いもん。天使を忘れる天使使いなんて許せないけど」

 もしや機嫌が悪いのでは、と思ったヒョウガはシナモンに尋ねてみると、天使は頬っぺたを膨らませ、稚気な態度を取って。

  その態度から察したヒョウガは、そのことを指摘して謝るが、余計なことまで言ってしまう。

 ―――シナモンはそっぽを向いてしまい。

 そんなことしているうちに相手の準備が整い。 

 「武装呪銃術<三千年の怨み>  武装呪銃術<幽勇丸>  」

 「シナモン。力かしてくれ!」

「うん、分かった」

 と言って天使はヒョウガを包む輝かしい天使の光となってから。


「んじゃあ、行くぞ! 
         能力<旋風>!」

 飛んできた二つの弾を、ヒョウガは渦のように巻き上がる風が、天使の力が加わったことで威力は倍増して、吹き飛ばす。

「中々やる」

 「まだ終わらないぞ!
      天使光輝奥義<天界ヘブンデス四重翼落キャトルウィンズトンベとし>!!」

「武装呪銃術…」

 ヒョウガの天使が天空へと飛んで行くと、巨大な四つの翼をザクへと落とす。

 防ごうと技を出そうとするも、間に合わず。

 そのまま食らい、その場に倒れ込む。

 「ぐああぁ~。ゲホゲホ…」

後はリーフのみ。

 だが、ヒョウガがてを加えなくとも終わりそうだ。


 「フヅキ·カナミ。これでも食らうのじゃ。 
       能力<破壊状態>」

 リーフは能力で、カナミの脳や体中を破壊しようと試す。
しかし効かない。

 「どうなってるのじゃ? 攻撃が効かないはずがないはずなのじゃ」

 「事前に作っておいて良かった」

「??」

 あり得ないと言う風な顔をするリーフへ分かりやすく言う。

「透明な無効壁をね」

 「いつの間に作ったのじゃ?」

 「事前にイメージしといたの」

「!!」

 理由を聞かされたリーフは驚きを隠しきれない。

「次は私から行くね!」

とカナミが言うと。

「武装想像<黒銀ノアジェント獅子リオン>」

 突如カナミの前に全身を黒銀で包まれた獅子が出現。

 「ワオーーーん」と言う咆哮をあげると、リーフへ襲いかかる。

 「そんなの食らわないのじゃ。
     武装魔斧技<薪割り>」

 透かさずリーフは、左手に持つ魔斧で薪割りをするように獅子を割ろうとするのだが―――。

 割り切れずにそのまま斧は吹き飛び、幼女へ獅子が食らい尽くす。

 「ぐはっ…  ゲホゲホ。まさか妾に攻撃を与えるとは…一体どうなってるのじゃ?」

 ダメージを受けたリーフは、血を吐き捨てながらその理由を問う。

 「私にも分からない。けど…」

「けど?」

 「気持ち次第では与えられるよ! そう思うからさ」

 カナミ自信も理由が分かっていないらしい。

「妾も行くのじゃ…」

「武装想像<業火イグニス騎士エクエス>」

 突如カナミの前に業火を纏った騎士が出現。

 その騎士は右手に持つ業火の剣で幼女へ斬りつけた。

「武装神鉈技<神隠し>」」

 リーフが自身の武器である神の輝きを放つ鉈で切裂こうとしーーー

 切り裂くことが出来ず、幼女の軽い躯ごと吹き飛ばされ、今度こそ業火の剣で斬られた。

 「ごあぁぁっ、ゴホッゴホッ。熱い熱い熱い。それに痛い痛い」

 斬られたリーフの躯を熱さと痛みが襲う。

「これで決めるね!
       武装想像<終焉の王>」

 突如カナミの前に終焉の王が出現。
 
 その王が手に持つ絶息杖で、リーフを勢いよく突く。


  「ぐああぁっ…痛い痛いのじゃ。妾に一度も勝ったこと無いやつに…げホげホ。妾が……負ける・・・・・・はずが・・・・・・でももう・・・・・・学園最強なのに・・・・・・一度の負けたこと無いのに・・・・・・ヴぇ~。げホげホ・・・・・・妾の負けじゃ……」


バタン、その場に倒れ込む。

こうして決着はついた。
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