arkⅣ

たける

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5.

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ノナカの説明が良かったのか、それともジョシュ達アルテミス号の働きが良かったのか。ヨラヌスの長達は、あれだけ渋っていた宇宙連邦平和軍への加入をあっさり受け入れた。
ノナカと長達が固い握手を交わすのを眺めていると、ワイズが小脇をつついてきた。

「ん、何?」

「話し合いが終わってしまったぞ。モハンドに場を設けなきゃいけないんじゃないか?」

忘れていた訳ではないが、集会場にモハンドの姿がない。ジョシュは取り敢えずワイズを伴って外へ出ると、辺りを見回してみた。治療を終えたヨラヌス人達があちこちにいて、町は以前とは違い活気に溢れ出している。

「彼女をこっちに呼ぶのか?」
「そうだね。その方がいいだろう。誰かに聞かれたら気まずいからね」

そう言って通信器を取り出したジョシュは、ワイズにモハンドを探してくるよう言った。すると親友は、何か言いた気にジョシュを見てきた。

「どうかした?」
「ジュリアは……本当に断るだろうか?」

不安が顔色に反映し、きっと医者なら彼に鎮静剤を投与するだろう。それぐらいワイズの顔色は悪かった。だがジョシュは医師ではない為、鎮静剤の代わりに言葉を与えた。

「大丈夫さ。きっとジュリアは君を選ぶよ」
「は?おいジョシュ、何で彼女が俺を選ぶって言うんだ?」

青い顔が突如赤くなる。ワイズは丸い目を見開いていた。

「とばけるなって!俺はちゃんとお見通しなんだから。ほら、早く行って!」

片手で困惑するワイズを追い払い、ジョシュはブリッジへと通信器を繋いだ。

『ホップスです』
「デビットだ。ファイは戻ってるか?」

渋々歩いて行く背中は、あっと言う間にヨラヌス人の波に飲み込まれて見えなくなった。それに安心したが、マナ・ホップスの答えに安堵はすぐ、深いため息に変わった。

『副艦長でしたら……いません。多分呼び出しても無理でしょう』
「あぁ……そう言う事ね、分かったよ。じゃあバートン看護婦長に、集会場前へ転送降下してもらってくれ」


──あいつら、もうイチャイチャしてるのか?


だがノッドは、酷く疲れていた筈だが。いやきっと、付ききりで看病でもしているのだ。

『分かりました。すぐ向かってもらいます』
「そうしてくれ、以上」




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